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天露の神  作者: ライトさん
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新たな出会い

今日はちょこっと短いです


 茶屋での休息で元気を取り戻した僕達は、お土産に名物の梅干しを購入すると出発することにした。


 往路とは異なり、復路は一貫して舗装された道となる。

この道は急な傾斜で有名なところなので、のんびり気持ちに余裕を持っていかないと後で大変なことになる。


 そのことを知っている僕は、道を急ぎがちな雨子様に何度もストップを掛けていた。


「何じゃ祐二は?登りと違って下りは降りさえすれば良いのじゃから楽なものじゃろう?」


 本当の下りの恐ろしさを知らない雨子様は、そう言いながら僕の歩みを促す。


「雨子さん、下りを舐めていると大変なことになりますよ?」


 だがその時点の雨子様には僕の言っていることが丸で理解出来て居らず、ぶつぶつと文句を言いながら僕の歩みに合わせて歩くのだった。


 だがそんな雨子様も暫く行く内に、次第に僕の言っていた言葉が理解出来るようになってきたらしい。


「ゆ、祐二?もしかすると我にもやっとそなたの言っていた意味が分かるようになったかも知れぬ…」


「分かりましたか?」


「うむ、下りに足に力が入らぬようになってきて、なにやらかくかくしてしまうのじゃ」


 そんな雨子様の言葉に僕は笑いながら、と有ることを説明した。


「そう言う風にかくかくと足が成ることを僕達人間は、足が笑うって言っているんですよ」


「あ?足が笑う?ぷふぅ!確かにそうじゃの、正に笑い居る」


 そうやって笑ってしまうと、余計に力が入らないのか、かくかくと坂道を降りる速度が増していきそうになる。


 こうなると危ないので僕はその手を持って引き留めた。


「多分雨子さん、人の身で楽しもうと思って頑張って居られるのだと思いますが、さすがにもう危ないですから、少し気の力を使った方が良いかもしれませんよ?」


 そう言う僕に雨子様は少し悔しそうにしながら言う。


「祐二は平気なのかえ?」


「まあ男の子ですし、最近は例の修行とかで結構鍛えているからかな?」


「成る程の…」


 そう言いつつ雨子様は気を巡らし始めたのだろう、足下のふらつきが無くなってきたようだった。


「何となくではあるが狡をして居るようで、どうにもの…」


 そう言いながら苦笑する雨子様。でもこう言う時ばかりは仕方無いでしょう?


「こんな傾斜の坂道で、転んだりする危険を考えたら必要なことだって思います。本当は父さんの登山用のステッキとかを持ってくることも考えたのですが、多分雨子さんは嫌がると思って…」


 恐らくステッキと聞いて、老人が付く杖のことを思い浮かべたのだと思う、雨子様は速攻で否の返事を寄越してきた。


「うむ、確かにその…ちょっと持つのははばかるの」


 と、丁度タイムリーに前方からその登山ステッキを二本持って、坂道を上がってきた年配の女性に行き会った。


「こんにちは」


「こんにちは」


 とどちらとも無く相互に声を掛け合う。

雨子様も同様に声に出して挨拶を交わしながら、その目が女性の持つ二本のステッキに留まる。


「祐二よ、もしかしてそなたがステッキと申して居った物はあれのことかや?」


「そうですよ?」


 僕が笑いながら言うと、雨子様は得心したかのような表情で言った。


「うむ、あれならば良いのじゃ。格好良いでは無いか?」


 そう言いながら雨子様はステッキを付きながら、颯爽と坂道を上がっていく女性の姿を見送った。


「むぅ、登りもあれなら随分楽そうじゃ。次また来る機会があらば我は必ず借りてくるのじゃ」


 そんなことを独りちする雨子様。う~ん、気を遣うことが出来るんだから、必要ないと思うのだけれどもなあ?


 さてそうやって下り行く舗装路の傍らは渓谷になっているのだけれども、その底には小さいけれども綺麗な清水を勢いよくほとばしらせる谷川が在った。


 渓谷は道行くにつれ次第に浅くなってきて、少し行くと直ぐ側に流れる水が見える程になっていた。


 確かもう少し先に行くとお堂のようなものがあって、そこまで行くとこの谷川の水に届くようになっているはずだったので、雨子様に触れさせて上げようかな?そんなことを思って居た。


そして歩く内にそのお堂らしき物が見えてきたので、雨子様に声を掛けようとしたのだが、その前にお堂の方を二度見してしまった。


 何か居る?


 思わず手庇を作って目を凝らす。その所作が雨子様の興味を引いたのか、僕と同じようにその場所に向けて目を凝らしていた。


「何じゃあれは?龍では無いか?」


「え?あれが龍?」


 僕の目ではとてもじゃないが龍のようには見えない。だって龍と言えば様々な文物にあるように勇壮にして巨大、天地を跋扈するイメージがあるのだ。

 其れが目の前に居る物と来たら凡そ一メートルも無いくらいで、太さも僕の親指くらい?頭に小さな膨らみがあって口には鯉のような髭がちょろんと生えている。


「うむ、あれは蚪龍と言うて龍に成り立ててそう経たないものなのじゃ」


 そう言いながら雨子様は、すたすたとその蚪龍と称するものに近づいていく。

あれが龍ねえ?未だ首を捻りながら僕は、雨子様の後ろから付いていくのだった。




龍にも色々な位があるのですねえ(^^ゞ

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