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天露の神  作者: ライトさん
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どんな神様になるん?

 本日は帝国にお届けします


「ところで祐二君は、成れるならどんな神様になりたいのん?」


 って和香様、ちょっと切替早すぎじゃ無いですか?そう思わないでも無かったのだけれども、結構大事なことだなと思い直して真剣に考えた。


 しかし考えては見たものの、たかだか高校生でしか無い僕に、そんなことを考えられる程の知識がある訳でも無く、いきなり行き詰まることになってしまった。


 普段はこうやって実に軽く見える和香様なのだけれども、いざ皆の願いを聞いたり適えたりする段になると、正に神様然としていて、自然に拝みたくなってしまう。

あれを見ていたら僕に何か出来るかもなんてなかなか思えることでは無かった。


「どないしたん?何も思いつかへん?」


「はい、何せ皆さん神様方が普段どんなことをしているのかって言うこと自体、ほとんど知らないんですから、ちょっとどうしようも無いですよ?」


 すると和香様はきょとんとしながら目を丸くした。


「え?何で知らへんの?君ら人間はいつでもうちら神様に色々なこと願ってるやん?うちらがやっているのはその願いを叶えるって事やで?そらもちろん皆が皆適えるって言う訳には行かへんけど、それでも適えるのは君らの願いに基づいてや。そしたらそこから類推することかって出来るやろ?」


「成る程そう言われてみたらそうですね。合格祈願とか交通安全に安産とか…」


 そうやってぶつぶつ言っていたら急に周りが静かになっているのに気がついた。


 なんだかおかしいなって思ってふと見ると、和香様と小和香様、二柱して何とも妙な顔つきをしている。


「あの、どうか為されました?」


「どうもこうもあらへんわ。祐二君がいきなり安産とか言い出すから、てっきりそっちの神様目指すんかと思って固まっとったんや」


「ええ?」


 逆にこっちが驚いてしまう。何をどう考えたらそう言う話になるんだろうか?


「いくら何でも…普通一般に神様に願うことのたとえ話ですよ。僕がそうなりたいって言うことで言ったのじゃ無いです」


「何やそうやったんかいな、偉いびっくりしたけど、ほっとしたで」


「びっくりしたのはこっちですよ。ところで雨子様は一体どう言う神様なんですか?」


「え、祐二君知らへんの?」


「いえ神社の名前からして天候を司っているのかなとは思って居たのですが…」


「うん、その通りやで。でも自分とこの周り田畑がまるっきり無くなってしもうてるやろ?」


「そうですね」


「そやからいつの間にか拝みに来る人が全然居らん様に成ってしもうとるみたいなんよ」


「あっちゃあ」


「そんなもんやから精がのうなって消えかけるような目におうとるんよ。実際話聞いてうちめちゃくちゃ驚いたは。まさかそんなことで昔からの友人無くしてしまうとか思わへんよ? 」


「でも天候を司るって言うのはもっと全国的な扱いなのじゃ無いのですか?」


「うん、ほんまやったらそうやよね。そやけどあの子、そんな広い地域受け持つの嫌がったんよね。まあ元々引っ込み思案な子やったし、昔はどこ行っても田んぼだらけやったから、それもええかなと思うたんやけどもなあ…」


 考えてみれば神様というのはほとんど寿命とは関係の無い生き方をしている、その時間感覚からすると、多分江戸時代とかつい昨日のことの様に思えるのだろうなって思った。

 

 雨子様なんかその極みって言うくらいに色々疎いから、気がついたら周りに田畑が無くなっていて、気がついたらお参りに来る人が居なくなっていた。結果、精をやり取りする人が居なくなって困窮していた、そんな感じだったのだろうなと思った。


 思わずはぁっと溜息をついてしまう。もしかすると僕がしっかりして行かなければならないのかも知れないなあ。


「どないしたん?何か思うことでも出来たん?」


 和香様が少し心配そうに僕の顔を覗き込んだ。


「いや~、色々話を聞いていたら、僕自身もしっかりしないといけないかなって思って…」


 すると和香様は急にまじめな顔になったかと思うと、目をきょろきょろさせ始めた。

それを見ていた小和香様が苦笑しながら言葉を発する。


「和香様、いくら何でも挙動不審ですよ?」


「きょ、挙動不審てそんな…。でもな小和香、身内のことでうっかりと変なこと言われへんやん」


「もしかしてそれって雨子様のことを考えておられます?」


 僕がそう言うと和香様は見るからに慌て始めた。


「あわわわわ、はて?何のことかなあ?」


「和香様、それってちっとも否定していることになってませんよ?寧ろ暗に肯定してしまっているような…」


 小和香様にそう指摘されて目を白黒させている和香様だった。


「あの子はなあ、物凄う賢いねん」


 僕もそのことは良く分かるような気がするので黙って頷いて見せた。


「そやけどな、そうやからこそ、逆に枝葉末節しようまっせつにこだわりすぎて全体が見えてへんことがよう有るねん。うん、だからこそやねん」


 そういうと和香様は僕の手を両の手で掴んだ。


「君みたいな子が側に居って上手い具合に見守ってくれてたらめっちゃ安心やねん。うちが雨子ちゃんに分霊を付けると言うことも考えたことはあるんやけど、雨子ちゃんそれめっちゃ嫌がるねん。そやから凡そどないな事でも対等にしていける君の存在って、物凄い貴重やねんで?」


「はぁ」


 たかだか人間でしか無い僕が雨子様のことを見守るなんて、本末転倒のような気もしないでも無いが、まあ和香様がああ言うからにはそう言うことも有るのだろう。


 それに諺にも、割れ鍋にも綴じ蓋って言うのが有るし、いや決して雨子様が割れ鍋だなんて言うつもりは無い。まあ馬が合うと言うことで良しとしよう。


「それで神様になってから何するかについて何やけど」


 そういうと和香様はにっこりと微笑んだ。


「祐二君は人間やろ?」


「それはもちろんそうなんですけれど」


「そのことが一番君にとって役に立つんと違うのかな?いずれ神になった時、元人間やった君がどの神よりも良く人間のことを分かって上げられるんと違う?それって物凄い有利なことやないかって思うで?」


「成る程、そう言われてみたらそうなのかも知れないですね?」


「うちらがいくら事細かに君らの話を聞いても、その基本になる部分が大きく異なっとるんやから、その願いに寄り添うにも限界が有ると思うねん。そこに行くと君やったら、ベースが人間なんやから、等身大のレベルで人の願いを聞いて上げられるんと違うかな?」


「和香様の仰られる通りなのかも知れません。だとしたら実際僕が神になるまでの間に、どれだけ自分自身を磨いて人を理解出来るようにしておくかって言うことになるのかな?ふ~~む」


「な、見てみ小和香、この子はこう言う子なんよ。こうしたらええのと違うのって言うたら、必ずその先まで見てくれる。うちはこの子が神の仲間になってくれるの大賛成やわ」


 和香様のその言葉に小和香様はうんうんと頷きながら言った。


「それに私達の時間と人間の時間の流れの違いを、上手く均して下さるかも知れませんね」


「成る程、言われてみたらそうやな。これはますます早う神に成って貰わんと…」


 等とあーだこうだと話しておられる御二柱なんだけれども、当面僕にも出来ると言うか、僕ならではの仕事が出来るかもと言う思いが、神様に成った後の僕に新たな展望をくれたように思った。

ほっと一息であります

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