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天露の神  作者: ライトさん
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お花畑へ

滅茶苦茶遅くなりました。

なんだか頭がボケボケで上手く書けなかったり、書いても上げる時間が無かったり

諸々悪条件が重なってしまいました。申し訳ありません


 さて翌日曜日のお昼頃、僕の予めの根回しによって何が起こるのかを既に理解している者達が我が家に集っていた。

 そう狭い訳では無い我が家のリビングだったが、さすがにこの人数が集まると手狭に感じてしまう。


 爺様曰く、別に態々僕の家に集まるなどしなくとも、それぞれの居場所から転送するなど容易いことなんだそうだ。


 けれども爺様のことを良く見知っているならともかく、そうで無い者達にとっては不安に思うことも多く、同じ行くなら一緒にと言う発想になったとしても、ごく自然なことなのでは無いかなっと思った。


 都合この場に集ったのは全部で九名。

オブザーバー役を買って出てくれた和香様を始めとして、両親に葉子ねえ一家に七瀨に僕に雨子様、これが一同の顔ぶれだった。


 元々僕が爺様の所に連れて行こうと思ったのは、あくまで家族だけのつもりだった。

ところがその旨を葉子ねえに話すと、誠司さんを連れて行くことを当然のこととして言われ、そうなると美代を連れて行かない訳に行かない。


 また両親に同道して貰うことを話すと、母さんからあゆみちゃんも連れて行きなさいと言われた。


 不思議に思ってその訳を聞くと、彼女は既に十分にあなたの人生に関わっているでしょうとのこと。果たしてどの位関わればそう言えるのか、僕には今一分からないことなのだったが、アドバイスとして受け取り、七瀨と話をすることにしたのだった。


 七瀨に事の次第を話すと、(彼女には学校からの帰り道で話した)これ以上無いくらいに大きく目を見開き、ついでに口も開いたまま暫く凝視された。

 そして是が非でも行くとのこと。その後彼女は一緒に歩いていた雨子様を横に引っ張っていくと、僕に先に帰れという。

 

 なにやら彼女らだけで話すことが在るのだそうだ。一体何を話そうとして居るのか僕にはとんと想像の付かないことだったが、雨子様にまで手でしっしとされては帰らない訳に行かなかった、


 そんなこんなでこの九名になったのだが、爺様の指定した時間までもう余りない。

果たして一体どのように連れて行かれるのだろう?今まで僕達が連れて行かれた時のようにただ唐突に転移させられるのだろうか?


「すいません節子さん、お茶もう一杯貰えへんかなあ?」


 とは和香様。雨子様が母さんのことを節子と呼ぶことから、今や彼女もすっかり節子呼びとなっている。

 早速母さんが和香様に新たなお茶を供するのだが。


「おおきに。ほんまこちらで頂くお茶は何でこんなに美味しいんやろね?」


 さすがに和香様ともなれば、この様な状況でも実にのんびりしたものだった。

その和香様…。


「ん?なんか来たみたいやで?」


 そう言うとテーブルの上に飲みかけの湯飲みをとんと置いた。


 和香様がそう言って間もなく、皆が集まるその場の丁度中央部分に、ぽっかりと小さな光りの玉が二つ現れた。


「むぅ、アーマニとティーマニじゃな?」とは雨子様。


「きたぁ~」


「きたよぉ~」


「爺様が連れて来いってぇ~」


「来いってぇ~」


 なんだか実に間延びした口調である。彼らの人格システムが未だ直されていないと言うことは爺様は忙しいのだろうか?


 そんなアーマニとティーマニのことを皆興味津々に見守っている。

ぐいぐいと僕の脇腹を肘で突きながら七瀨が聞いてくる。


「あれ何なの?」


「お手伝いさん?」


 何となく感覚でそう言ってしまった僕は、和香様や雨子様に信じられない程笑われることになってしまった。


 和香様に至っては床に突っ伏して涙を流す程に笑っている。

一方雨子様は何とも言えない顔をして苦笑している。


「爺様の代理として星々も滅ぼさんと言う力を持つあやつらも、祐二の前では形無しじゃの?」


 そんなことは丸で知らない僕は慌てた。


「え?そうなの?」


「うむ、あのような形ではあるが、爺様の命令を全てこなすだけの力と権限を持って居るでな」


 だが僕達のそんな会話についてはアーマニもティーマニも全くお構いなしだった。


「準備良い?」


「準備良いの?」


 そう言う彼らに雨子様が皆を代表して言う。


「うむ、用意出来て居るぞ」


 雨子様のその言葉を聞くと、彼らはぐるりと皆の周りを一周した。その後中央に来るや否や、互いに相手の周りを回り出し、やがてに高速に回転し始めた。


 その速度はどんどん加速していき、ついには丸で光るドーナツのような見かけになった。

そのドーナツから声がする。


「この中に入るよ」


「向こうに着くよ」


そう言うとその光るドーナツは水平から垂直に軸を移し、更にはその直径を次第に大きくしていく。


 その真ん中の部分にはドーナツの反対側の部屋では無く、何度か行った爺様の花畑の風景が見えるのだった。


「あそこに行けば良いのかしら?」とは母さん。


「なんだかとっても綺麗なところなのね?」とは七瀨。


「…!」というのは父さんと誠司さんだった。


 その反応の違いに僕は少し笑ってしまった。


 もういっそ魔法のような感覚で見ている七瀨や母さん、それに葉子ねえの方が軽く受け入れているのに対して、色々な科学についてよく知っていたり、SFなんかに造詣が深い父さんや誠司さんの方が大きなショックを受けている。


「それであそこに行くのに靴は要らないのかしら?」とは母さん。


 その台詞を聞いた雨子様と和香様が互いに顔を見合わせて、目をぎょろぎょろとさせている。なんだか余りにその挙動が不審だったので聞いてみた。


「和香様、雨子様、一体どうされたんです?」


 すると和香様が大きく溜息を吐くと言った。


「あのな祐二君、男性二人の反応はともかく、女性達のあの反応は何なん?一昔前ならそれこそ神威に打たれて平伏したりしていたもんなんやけど、靴て…」


 和香様のその言葉を聞いていた雨子様は、下を向いて真っ赤になっている。どうやら和香様の言葉を聞いて笑いが込み上げてきているのを、必死になって抑えているらしい。


 それが余りに苦労していそうなので、ついついいたずら心が湧いてしまって、堪えているその脇腹をつんと突いてしまった。


「ぶわはははは!」


 とうとう吹き出したのだけれども、吹き出しながらもその雨子様に頭をぺしりと叩かれてしまった。


「何をするのじゃ祐二は?」


 そう怒っているのだけれども、未だ笑いが収められないらしく、ちっとも迫力が無い。

やがて笑いを抑えることに成功した頃には、すっかり笑いに消耗しきっていたせいか、怒る元気もなくなってしまったようだった。


 そうこうする内にアーマニティーマニの作る輪が十分に大きくなり、身体の大きな父さんや誠司さんでもかがまずに通れるくらいになっていた。


 そしてその向こうには花畑が目の届く限り彼方まで広がっているのだけれども、これから歩こうとする場所には濃い緑の絨毯のような物が敷き詰められている。


「これは明らかに爺様、聞いていたのじゃな?」


 そう言いながら雨子様は先に立ってまずその輪をくぐるのだった。







ああ、やっと安らかな時間が訪れるw

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