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天露の神  作者: ライトさん
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和香様の憂鬱

 遅くなりました。

お届け致します


 なんだかんだと色々揉めた?のだけれども落ち着くべき所に落ち着いたようだった。

僕は神化する為の努力を怠らないことを改めて自身に誓い、雨子様はそんな僕を精一杯応援することを誓ってくれた。


 その雨子様のことを和香様が応援すると言ってくれたことは、本当に心強かった。

僕は雨子様と二人並んで和香様に頭を下げて、その力添えを感謝した。


 その後僕は和香様と雨子様から、今回の一連の騒ぎの元となったことについて話を受けた。要は爺様に関係者を招致して貰うのは良いが、女性も多いことで有るからもう少し相手先の都合について考えろと言うことらしい。


 言われてみれば成るほどと思ってしまった。母さんにせよ葉子ねえにせよ、出かける時にはいつも丹念に化粧をしている。言って置くが丹念と言っても厚化粧なわけでは無い、あくまで丁寧にと言う意味なのだ。


 それらのことは彼女らなりの嗜みな訳で、それを無視して余所の地に呼び出すというのは、何かお願いをしたり、協力をして貰う為の段取りとして考えると、いかにも不調法なものだった。


 そこで誰かを此所に招致する前に、僕が一端相手側の所に行って事情を話し、その上でこちらに来てもらうことにした。


 そうやって相手側の都合も考慮しつつ段取りを考えると、このままの流れで即座に皆を招致するより、いっそ日を改めた方が良いのではとなり、結局次の日曜の昼頃行ってはどうかと言うことに成った。


 そうやって予め時間を貰えるのであれば、わざわざ僕が相手先に出向くまでも無く、先に電話で丁寧に説明をしておいて、それで予定時刻に招くと言うことにすれば良いので有るから、案外こちらの方が合理的だった。


 結果今回はこのまま解散と言うことに成ったのだが、突然に和香様が大きな溜息をつく。

それを見た雨子様が心配そうに問いかけるのだった。


「いかがした和香?何をその様に大きな溜息をついて居るのじゃ?」


 すると和香様は恨めしげな目で爺様を見つめながら言った。


「なあ爺様、此所には結構長いこと居るんやけど、外の世界では時間の流れどうなっとるん?」


 すると爺様はきょとんとした顔をしながら言う。


「それはお前達の普段の営みに迷惑を掛けては申し訳ないと思うて居るから、経過時間はほぼゼロに近いはずじゃ。じゃから戻るに当たって何も心配いらぬはずなのじゃがな?」


 すると和香様が膨れながら言葉を返す。


「あんなあ爺様。確かに何か作業をしとって、そのプロセスだけ中断させると言う意味ならそれも正しいと思うで。けどな、作業者の気持ちにも成ってみ?真剣になって神経すり減らしながら頑張っとったんをいきなり中断させられ、他事ほかごとでわいわいすり減らされて、それでまたいきなり作業に戻どらなあかん。精神的には滅茶苦茶大変や、もう勘弁してって言いとうなるわ」


 そう言い終えると大いに剥れていた。

それを見ていた爺様は、最初合点がいかない様子だったが直ぐに理解出来たようだった。


「むぅ、それは済まぬ事をしたな、申し訳なく思う」


 そう爺様が謝罪すると、がっくり肩を落としながら返答する和香様。


「まあええは、ゆうても詮無いことやねん。それはうちも分かってるねん、ごめん爺様。ちょっとぼやきたかっただけや」


 そう言いつつ元気の無い和香様のことを心配した雨子様が問う。


「のう和香、そなたここに来る前に一体何をやっておったのじゃ?その姿を見るに、何やら正式な手順を踏んだ儀式のようで有るがの」


 そう聞く雨子様の言葉に和香様は力なく笑いながら答える。


「聞いてくれるんか雨子ちゃん?やっぱ持つべき者は友やなあ」


 嬉しそうにそう言う和香様に雨子様が苦笑する。


「分かったから何をしていたのか言うが良い」


 雨子様のその言葉に嬉しそうに返答する和香様。


「それがやな、例の騒ぎの時に、隗があっちゃこっちゃで騒ぎ起こしとったやろ?あの余波で昔からあまり良くないものを封じ込めとった結界が、そこいら中でおかしゅうなっとるねん。で、それぞれ一つずつ修復していくのは難しいんよ。しゃあないからまずは大きな網掛けて大事にはならんように安定させる、そう言うちょっと特殊な結界?みたいなもんを発動させる準備をしとったんよ。そしたらこの爺様に」


 そう言うと爺様のことをじとっとした目つきで見た。


「いきなりこないな所に連れてこられて…さっぱりやでほんま…」


 それを聞いていた爺様はさすがに申し訳なさそうに言う。


「いやなんともそれは申し訳ないことをしたな」


「ほんまやで、爺様ももう少し周りのもんが今何やっとるとか、気を配らなあかんと思うで?」


 正にそれはこれから新たな者達を呼び出す場面でも言えることなのだった。

勿論それは緊急の時は除外して然るべき事ではあるのだが…。


 爺様は和香様の苦労話を聞いた後、少しの間何事か考えていた。挙げ句爺様は小さな腕輪のようなものを渡して寄越すのだった。


「なんやのんこれ?」


 その腕輪の正体が分からない和香様は爺様に問うた。


「言ってみれば使い捨ての精のストックリングじゃな」


「ストックリング?」


「うむ、和香については精のエネルギー確保の為に、雨子が何やらやってくれて居るようじゃが、それに頼るのも色々煩雑なようじゃの。故に今回に限り詫びとしてこれをくれてやる。余分に使える精のエネルギーがあれば、然程精妙な術式を構築せんでも、凡その物で十分に効力を発揮出来るじゃろう?」


「どうやって使うのん?」


 そう聞かれた爺様は、数十節の音から成るキーワードを和香様に教えた。


「それをリングに対して唱えれば活性化していつでも使えるようになるじゃろう。少し多めに設定してあるから、余った分は自由に使うが良いぞ」


 爺様からそう言われた和香様は、早速にそのキーとなる言葉を唱えたようだった。


「わわわ!これはえげつないな。これうちらが集める精の一体何年分になるねん?ほんまめっちゃ助かるわ」


 そう言うと嬉しそうににんまりとする和香様。余程嬉しかったのかそのリングに頬ずりまでしている。


「では今日の所は此所までとするか。来たる日、日曜日とか言う休日らしいが、その日の正午に集合させるから、祐二よ、すまんが連絡の労を執ってくれるかな?」


 僕は二つ返事で爺様の要望に応えた。


「分かりました爺様。その時間に皆に不都合が起こらないように、予め根回ししておきますね」


「頼む」


 そう言うと爺様はやれやれというような顔をした。

そんな爺様に僕は頭を下げつつ言った。


「爺様、僕と雨子さんの為に色々とお骨折りを頂き申し訳ありません。どうか今後ともよろしくお願いします」


「うむ、良い気配りじゃ、儂も見習わなくてはの?」


 そう言うと爺様は大きく口を開けて哄笑するのだった。


 その後はもう元居たところに戻されるのを待つばかり。

で、気が付いたら自分のベッドで横たわっていた。傍らにある時計を確認すると、眠りについてから一時間くらいしか経っていない。


 本来であれば寝て直ぐくらいにあの地に連れて行かれて、その後長らくわいわいと騒ぎに巻き込まれて居た訳なのだから、その分疲労感に苛まれていても仕方が無いのだが、何故だか意外と元気だった。


 一応雨子様も戻られたか気になってしまったので、ベッドを降り部屋の扉を開けようとしたところで彼女と鉢合わせすることになった。


「おう、祐二もちゃんと戻っておったか?」


「まあ戻ったと言えば戻っている訳なんですが、あの世界って実際雨子さんの中に在るんですよね?」


 僕がそう言うと雨子様は何とも複雑な表情をしていた。


「むぅ、爺にはまあそう言われては居るのじゃが、我自身にはとんと実感が無いのじゃ。じゃからそれが果たして真実であるかどうかは、我にも分からないのじゃ」


 そこで僕は妙なことを考えた。

仮に雨子様の中にあの世界が在るものとして、その雨子様があの世界の中に入ったら、世界自体はどう言うことになっているのだろう?


 いや無理、これは僕の頭では考えが及ばない。何となく合わせ鏡みたいな状態を思いつかないでも無い。がしかしあくまでもそれは僕の想像でしか無く、根底になる知識が無いから、何事にも意味を持たせることが出来るとは到底思えなかった。


 そんなことを考えて急に黙りこくってしまう僕のことを訝しむ雨子様。


「どうした祐二?何か困りごとか?」


 なんだかとても心配そうな表情をする。

こんなつまらないことで心配させたままで居るのも申し訳ないので、掻い摘まんで説明すると、呆れられてしまった。


「そなた時折本当に妙なことを考え居るな?」


「そうかなあ?」


 僕はそう言いながら苦笑した。


「まあでもそうやって考えること自体は悪いことでは無いの。事実結構良い線まで行って居るやも知れん。また何かの機会があったら爺様に聞いてみるが良い」


「うん、そうしてみるよ」

 

 そう言いながら僕は大きく欠伸をした。何故だか急に疲労感が増してきている感じがする。


「そろそろあそこで飲んだ飲み物の効力が切れてきているのじゃ。無理することは無い、もう寝るのが良いじゃろう」


 そう言うと雨子様はもそもそと僕のベッドに潜り込んでいく。


「え?雨子様?」


 驚いた僕が問うと、半分目が閉じかけている雨子様が面倒臭そうに言う。


「何故か知らぬが我も異常に眠いのじゃ。さっさと寝るぞ?」


 雨子様がそう言う間に僕もまたむちゃくちゃ眠くなってきた。

仕方が無いので僕も傍らに潜り込んでいく、


 すると雨子様が僕の身体をぎゅうっとしたかと思うと、にへらと笑い、そのままくーくーと言う寝息と共に眠りに落ちていった。

 僕もその後を追ったのは言うまでも無いことだ。



 書き上げるのは割と早かったのですが、校正していると直ぐに目が閉じてしまい、

全然前に進まない。本当にまいりました(^^ゞ

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