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天露の神  作者: ライトさん
199/681

「長い一日」

 誠に、誠に遅くなりました

申し訳ありません


申し訳ありません、一部考え不足の点が有ったので修正をかけました


※雨子様の移動について再修正


「和香様、お忙しいところかと思いますが、咲花様より連絡が入りましてございます」


 無事主敵を討ち果たすことが出来て、喜びに沸いている部屋の中、小和香様は和香様の耳元にそっと急報を告げる。

ただならぬ雰囲気に色を変えた和香様は急ぎ、小和香様の持っていた携帯を受け取り会話を始めた。


「どうしたん?咲花ちゃん?」


「和香様、太平洋側日本近郊にて二隻の潜水艦の浮上を確認しております。なお更に一隻米国カリフォルニア沖にも浮上を確認致しました。加えて四川省、雲南省の各基地に於いて一部ミサイルが活性化されておりまする」


「おおきに咲花ちゃん、その辺の監視はいつまで続けられそう?」


「後一、二時間は続けられるかと思いまするが、何分にもこれほど広範囲にわたりますと、神力の消耗が激しく、状況によっては一時間以内に尽きてしまうやも知れません」


「ごめんしてな咲花ちゃん、偉い苦労掛けてしもうとるな。そやけどここが踏ん張りどきやで!」


「後で思いっきり褒めて下さいませ、お婆様」


 咲花様のその言葉に思わず咽せてしまう和香様。


「おっお婆様って勘弁してえな。日本神話の中ではそうなっとるけど、うちと咲花ちゃんは仲良しこよしの姉妹みたいなもんやんか?お婆様は無いでお婆様は…」


 そうぶつぶつと愚痴を言う和香様。しかしそれを長く続けられるほどの猶予は無かった。


「それで何か有った場合、咲花ちゃんと八重垣で対応できるん?」


 和香様は喫緊の大事について咲花様に問い合わせる。


「はい、既に日本近郊に浮上したものについては…あ、今八重垣様が処理為されました」


「処理ってどないしたん?」


「側面に数発ずつ例の物を当てられたようです。現在開口部からの海水の流入が認められます。それに連れて艦体がどんどん横に傾いて行ってますね」


 和香様はそれを聞くと少し安堵した。


「そうやって傾いていったら多分ミサイルは撃てへんね。先ず一安心や。そやけど米国の方のはどうしたもんやろ。ニー、米軍にコンタクトとって警告したってくれる?」


「承りました」


 ここに来て部屋に詰めていた者達は、和香様達の緊張したやりとりに気がつき始めていた。女性達はともかく、男性達はことの推移に少しずつ理解が行き始め、緊張した面持ちで神様の動きを見守っている。


「和香様、一応匿名と言うことで先方にメッセージを送っておりますが、向こうはこちらの情報の真偽を疑っており、相手にしようとしません。それどころかこちらに対して探知探索行動に入っておりますがいかが致しましょう?」


「こちらがみつからへんかったらええわ、ぷっちんしといてくれる?」


 傍らで七瀨がプリンじゃあるまいしとかなんとか呟いている。


「相手方の干渉切断致しました。尚別部署では既に中国艦の浮上を探知済のようです。対潜機が既に飛び立ったようです。更に対空防衛アラートが開始されております」


 それを聞いていた拓也がぽつり。


「さすが米軍だなあ、やることが早い」


 更にニーからの報告が続く。


「ホワイトハウスから北京へのホットラインが開かれたようです…が、北京側、混乱しているのか誰も出ようとしていません」


「多分、多くの者達は暗示が解けて右往左往して居るのじゃろうな」


 雨子様のその言葉に被さるように、更にニーの次報が入る


「米本土基地、並びにオーストラリア基地における戦略爆撃機の発動ルーチンが開始されました。並びに友邦国に対する連絡が開始されました」


「きっと首相官邸は上を下への大騒ぎなんでしょうね…」


 誠司がぼそりと言う。それに対して拓也は頷きながら言う。


「昔よりは緊急時の対応が素早くなってきているけど、今回は天災じゃ無いからなあ。果たしてどこまで動けることか…」


 それに対して誠司が首を振りながら言う。


「国民が避難するだけの余裕が持てたら良いのだけれども…」


 その言葉に神様達を除く全ての者が顔を見合わせた。皆不安な面持ちで、感情を隠しきれない、隠しようが無いという感じだった。


「北朝鮮ミサイル基地に動きがあります」


 尚もニーの報告が続いていく。


 そこへ八重垣様からの連絡が入る。


「北朝鮮とか言う国のミサイルはもう潰しとくぜ?俺んところから潰すには丁度良い位置関係にあるから…ってはい終了、後残弾十発だ」


 その言葉を聞いて和香様が顔を顰める。


「龍像を討ってしまえば、混乱の中発射されるミサイルがあってもそう大した数にはならへん思っとったんやけど、ちょっと目算が狂いそうやな…」


 和香様、言葉では軽く言っているが、その表情は極めて深刻そうだった。


「残るは中国側のミサイルが一体何発発射されるかってことだね」


 拓也はそう言いながら唇をかむ。拓也のその言葉を聞いていたのかニーが返答してきた。


「中国国内に対する防壁が取り払われた為、こちらから大規模に干渉を行いかなりの数のミサイルの発射ルーチンを停止させました。しかし現状56機のミサイルが尚も発射に向けて動いております。内15機が日本向け、17機がロシア向け、残る24機が米国向けとなっております」


「で、手持ちの迎撃手段は10機分か、些か手駒が足らぬの」


 そう言うと雨子様は和香様に向かって口を開く。


「和香よ、我が出る」


 雨子様のその言葉に和香様が目を丸くする。


「出るって雨子ちゃん?自分どうやってミサイル落とすつもりなん?薙刀でえいやって言う訳にはいかへんねんで?」


 その言葉に皆が頷く。

だが雨子様はにこやかに笑いながら言う。


「祐二?」


 呼ばれた祐二は直ぐに返事をする。


「はい、雨子様、なんでしょう?」


 そう応える祐二のことを見つめながら雨子様は問う。


「祐二に問う、我はいずこの神社の神成るぞ?」


 祐二は問われた質問の意味は分からなかったが、とにかく知っていることを口に出した。


「雨子様は、天露神社あまつゆじんじゃ御祭神ごさいしんです」


 その言葉に雨子様は鷹揚に頷く。


「聞いたか和香?」


 その問いに尚も首を傾げながら応える和香様。


「天露神社の御祭神なんは知っとるけど、それがなんやのん雨子ちゃん?」


 未だ納得の行かなさそうな和香様の様子に雨子様は苦笑しながら言う。


「まあ、永らく非力な神であったからのう、仕方の無いことかも知れぬ。じゃが和香よ、忘れて居らぬか?我が権能の一部が何であったかを」


 そこまで言われて合点がいったのか和香様は大きく目を見開く。


「そう言えば雨子ちゃん、天候を左右する権能もっとったな?」


 和香様のその言葉ににっと笑ってみせる雨子様。


「そうじゃ、ようやっと気がつき居ったか。更にじゃ、今の我には疑似ではあるが宝珠の代わりをするものも有る」


 一抹の希望を見た和香様、しかし果たして可能なのか?こいつばかりは神の身であったとしても先の見えないことだった。


「出来るの?雨子ちゃん?」


「出来なくともやらねばならぬの、出来ねば我らの世界が終わる。そこでじゃ、ユウ、小雨、ニー、ここへ参れ」


 そこまで言うと雨子様は小和香様の方へ振り返る。


「小和香、ありったけの食い物を持ってきてやってくれ。本来であれば食い物で無くとも良いのかも知れぬが、いくら何でもそれは哀れでな」


 そう雨子様は小和香様に言うのだが、言い終えた頃には既に小和香様の姿は無かった。

風を巻いて走り去った小和香様は、瞬く間にいくつものお櫃を小者に持たせて戻ってきた。


「今夕の食事の分のご飯です」


 それを見た小雨が嬉しそうに言う。


「あ!お握りの元でしゅ」


 それを聞いた者達は直ぐに合点が行った。直ちに皆が手を伸ばし、そのお握り成るものを大急ぎで作ろうと試みていく。


「熱っ!何でこんなのが握れるんだよ!」


「うわ!ほんと火傷しちゃう!」


 そう言って音を上げるのは祐二と七瀨。もちろん拓也や誠司も参戦しようとするが、やはり熱くて握れない。生まれてくるのは悲鳴ばかりで、ろくにお握りを握ることが出来ないで居る。


 だがそんな中黙々と握り続ける者が居た。


「何でこんなのが握れないのかしらね?」


「全くよね!」


 そう言いながら続々とお握りを生産していくのは、祐二の母節子と、七瀨の母、聡美の二人だった。


 母はつよしと言うが、熱々のご飯をものともせずに、異様な早さで握っていく。そして出来上がる先からそれを雨子様が分霊達の口の中に突っ込んでいく。


「むぐ!」


「いくら何でもそんなに入れたらむぎゅ」


「あ?あまこぐぎゅ!」


 分霊達は喋る間あらばこそである。咀嚼して必死になって飲み込む端から続々と握り飯を押し込まれていくのである。

 それはもう三体の分霊が目を白黒させ、涙を流しているような所に次から次へと押し込んでいく。


 その様を見ながら祐二はぼそりと言う。


「あれ人間でやったら…」


 それを聞いていた七瀨がその言葉を引き継ぐ。


「うん、絶対に死んじゃう…」


その言葉を更に誠司が引き継ぐ


「だよな…」


 だがさすが分霊と言うべきなのだろうか?いや多分、こんなことでさすがなんてきっと言われたくないだろう。

ともあれ瞬く間に用意されたお櫃を全て空にしてしまい、未だ目を白黒させているところに雨子様が声を掛ける。


「来たれ我が分霊その名はユウ、小雨、ニー!」


 その言葉に続き、残念ながら我々の言語としては表現出来ない言葉が唱えられる。

その全てが唱えられた瞬間、名を呼ばれた分霊達の姿がかき消え、それと共に雨子様が身に纏っているものが霧と化していく。


「はいはい、男達は全員回れ右やで?」


 慌てた和香様が手を叩きながら号令を掛け、同様に焦りまくる男達もこれ以上無いくらいの早さで後ろを向いた。


 だが雨子様が裸体を晒したのはほんの一瞬で、瞬く間に彼女の戦装束なる巫女姿になりかわったのだった。


 ユウは緋袴の巫女装束へ、小雨は勾玉となってその首元へ、ニーは刃に霧を吹いたかのように水滴を纏った薙刀となってその手に収まった。

それと共に凄まじい力の奔流が身体に流入してくるのを感じた雨子様。その荒れ狂う力をぐっと抑えて自らのものにすると雨子様は言った。


「では行って参る…」


 そう言いながら雨子様は、未だ背を向けている祐二の側に行くと、その頬にそっと口づけをする。

驚いて振り返る祐二に雨子様はにっこりと笑みを向けると、丸で霧のようにその姿を消したのだった。




 そして数瞬後姿を現したのは、成層圏高度限界の地表から約50キロの所だった。


 超高速の移動故、皆の目からはまるで消えたかのように見えたのだが、分霊達から供給されるエネルギーの量を思えば比較的容易いことなのだった。


 雨子様は真っ暗な空を見上げながら、独り言う。


「ここらが良さそうじゃな」


 そう言うと雨子様はその場で天歩を使って足場を固め、矢庭に薙刀を天に翳すとぶんぶんと円を描いて振り回し始めた。


 するとその薙刀の穂先から一筋の光りの流れが生まれ、やがてにはその軌跡が繋がり大きな円弧となっていく。更に何度も円を描く雨子様。重なる円弧はやがて面になり、立体になってついには円環と形を変じていった。


 そこまで来た時点で雨子様はその中央部に、一気に薙刀の切っ先を突き上げつつ、特別な言語で呪を唱え続けるのだった。


「龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘龘…」


 残念ながらこの言語は神様達のみに理解されうる高速言語、なので人たる身の理解が及ぶところでは無い。よって特別に翻訳してその一部を記するものとする。


「天露の雨子の名に於いて命ずる。天波乱波蒼天一天より漏らさず巡りて一旬と為す…」


 尚も続くのだが既にじゅは彼方まで先行して追いつけるものでは無いので、以降割愛する。


 だがその呪のもたらす効果は見る間に天に広がっていた。

雨子様によって作られた円環が巨大な大きさに膨れあがり、ほとんど全天を占めるかと思われるようになった後、その円環から激しい稲妻が空に走り、そこを起点に更に地上に向けて巨大な稲妻が降り注いでいく。


 それにより高度10キロメートル近辺の所に膨大な量の積乱雲が発生し始める。

その中の凄まじい上昇気流は、想像を絶する量の静電気を発生させ、雨子様が作り出した稲妻を遙かに凌駕するエネルギーを蓄え始めた。

 

 この事象はいくつかの衛星によって観測されて居たのだが、後の分析によると直径一千キロにも及ぶ凄まじい雲の塊となっていた。

 当然その力は地上にも及ぼされそうになる。だがそうなる前に雨子様の一言で次なるものへと変化していく。幸いこの部位は高速言語では無かったので我々にも理解出来る。


「転じよ!木龍、土龍、水龍、風龍、雷龍、火龍」


 雨子様の言葉と共に、大気に充満していた荒々しい自然の力が全て変換されて、六色の巨大な龍へとその身を変えた。

 木龍は緑、土龍は茶、水龍は青、風龍は黄、雷龍は白、火龍は赤。

それらの六色の巨大な龍が雨子様の周りに集い、その目で彼女のことを見守っている。


 その龍達に雨子様は声を張り上げて命じようとした。


「我雨子の名に於いて、そなたら六龍に命ず…」


 だがそうやって雨子様の命が伝えられようとしていたにもかかわらず、突如としてそれら六龍は天に昇ろうとし始める。


 焦る雨子様。

だが雨子様がいかなる力ある呪を述べようとも、龍達の動きは一切のよどみなく、更なる高みへと上ろうとしていく。


「何故じゃ?何故なのじゃ!」


 思わぬところで呼び起こした力に裏切られた雨子様は、悲痛な声で叫び続けるのだが、龍達は一切その言葉に耳を傾けること無く、ぐるぐると互いに巡り会いながら尚も上っていく。


 そしてもうこれ以上打つ手は無いと、諦めて地上に舞い戻り、祐二達と運命を共にしようと決した雨子様であったが、その時に次の変化が起こった。


 それまで上る一方だった龍達が、ある地点で急に180度方向を変えると、雨子様目がけて急転直下、舞い降りてきているのだった。


「一体何が?」


 そう思って見上げる雨子様。

するとその視線の先で、これまで六体であった龍達が、激しく互いに巻き付き有ったかと思うとその姿がぼやけ、これまでそこに存在していた龍達を遙かに超える大きさの黄金龍となってその姿を現した。


「何者じゃそなたは?」


 その龍の威容に恐れること無く敢然として雨子様はその存在に問うた。


「我か?」


「うむ、そなたに問うて居る」


 すると黄金龍は丸で湖のような巨大な目を閉じつつ言う。


「暫時待て、記憶が混乱して居る」


 だがそう長くは待てない、地上ではついに何機もの核ミサイルが発射されたようだった。

苛立ちを隠せない雨子様だったが、僅かな時間の後黄金龍は目を開き、そして言う。


「お前は雨子だな?」


 突如名を言われた雨子様は驚くが、今はなんともしようが無い。黄金龍が更に言葉を語るのを待つこととした。


「我は彼の国の地下に閉じ込められて居った龍像よ」


「なんじゃと?」


 雨子様は驚きを隠せ無いまま、黄金龍を討とうとすべく身構えた。

その身から残る全ての力を振り絞り、黄金龍に向けて一撃を加えるべく、手に持つ薙刀に加速の呪を次から次へと重ね掛けて行く。

 更には薙刀に身を変じたニーもまた、持てる力の全てを極限まで込めた破壊の力へと変質させていった。


「待て、今の我は人らに害を及ぼすつもりは無い。元より我にそのつもりは無かったのだ。だがあの地にて数多くの人間の妄執を受け続けるにあたり、何時しか囚われの身になってしまい、あのような事態になって居ったのじゃ。じゃが今我はそなたらの力により解き放たれた。感謝する」


 そこで雨子様は地上の側を指差して見せながら言う。


「感謝して居ることは分かった。色々言いたいことも有るが、今は未だその時では無い。だがまずはあれを見よ。そなたの前身を信奉しておった男の狂気が招いた一大事よ。我はあれらに対処する為に龍を呼んだのじゃ、まずはあれをなんとかせよ!」


 そう言うと、黄金龍は地上に目を向け、上昇し既に水平に飛行しつつあるいくつものミサイルのことを見た。


「分かった、確かにあれの後始末をせぬことには、我はそなた達に恩を仇で返すことになりそうだな。良い、我が全て墜とそう」


 そう言うと黄金龍は一瞬真っ白に光ると、数百数千の二回りほど小さな黄金龍へと変貌した。


 それらの黄金龍達から無数の声となって同じ言葉が語られる。


「人が生きて暮らすのに、あのような武器は要らぬであろう…我が責任を持って処理するものなり。終われば我は海の底にて暫く眠る。妄執によって削られた自身の傷を癒やしたいのだ。それで良いか?」


 そう問うてくる黄金龍らに雨子様は応えた。


「了、我らが尽力を尽くしてそなたの眠りが乱されぬようにしよう」


「感謝する」


 黄金龍達はそう言うと、一帯に響き渡る哄笑を残して、眩しい黄金の光りとなって地上に向かって降り注いで行ったので有った。


 その全てを見届ける雨子様。

見渡すにいずこでも核の災禍が見られることは無かった。


 ほっとすると、身体の力の全てが抜け落ち、天歩の足場も維持することが出来なくなり、するりと地表に向かって落下し始める雨子様。


 だが、祐二達の暮らす世界を護ることが出来たと思う雨子様は、安らかな笑みを浮かべ、何ら後悔することは無かった。ただ黄金龍との約束は果たさねばならないので、残った力の全てを掛けて地上に思念でメッセージを送る、事の顛末と黄金龍との約束を載せて。


 そして出来るのは本当にそこまでだった。


 自由落下で重力加速度のまま速度を増し、身体の燃えていくのを感じつつ、やがてに意識を手放そうとする雨子様。今思い出されるのは祐二の顔ばかり、祐二に泣かれるのは嫌だな、そんなことを思いはするのだが、意識はどんどん薄れていく。


 と、その耳元で誰かの声がするのだが幻聴なのだろうか?


「馬鹿者、お前を待って居る者が居るというのに、諦めてどうする?」


 だが雨子様が覚えているのはそこまでなのだった。










長かった・・・

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