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天露の神  作者: ライトさん
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ニーの準備

  今日も何とか無事更新することが出来ました。

ものを書く時に何が問題化って言うと、一番は眠気ですね。

どうやってその眠気を解消するのか?顔を洗ったり歯を磨いたり、珈琲を飲んだり動き回ってみたり。

でも一番良いのはとっとと寝ることですね(^^ゞ

寝て起きてそれでまた書くのが何より良さそうです


「それでニーよ、そなたには一時預かった管理権限を返して居る訳なのじゃが、その後はどうなのじゃ?」


そう問われたニーは、狛犬のようになりながら雨子様の問いに応えた。


「お陰様で雨子様達に頂いた能力により、今まで守勢にしか回れなかった状態から、今は積極的守勢というか、守れる部分を以前より遙かに増大させつつあります。そして今はまだ少し残っていますが、もう後少し時間を掛けることが出来れば、彼らの領域を国境の部位まで押し上げることも出来るかと思います」


「なるほどの、そこまで押し上げることが出来れば上々と言えようの」


雨子様はとても満足そうに微笑むと言った。


「ただあちら側もその状態の打破に動いているようで、次から次へと力の増強を行っているのを感じています」


それを聞いて和香様が口を挟む。


「それってニーが脅威を感じるほどなん?」


和香様のその言葉を聞くとニーが例の笑い顔をしながら答えた。


「ご冗談を。神様方にバージョンアップして頂いたこの身体の性能は、そんな生易しいものではございません。その程度など大岩にアザミの綿毛が風に吹かれて触れる程度のものです」


「そうなんや」


そう言いながら和香様は苦笑した。


「なー雨子ちゃん、うちら少しばかり頑張り過ぎたんかも知れへんね?」


それを聞いた雨子様も苦笑いしながら頭を掻き掻き言った。


「今更ながらその話を聞くとそう思えるの。しかし問題はこのさきじゃよ和香。我らはニーに神の杖の制御も任せる算段で有ったであろ?」


「ああ、なるほどそうやったね。で、ニー、神の杖の方は自分でも制御出来そうなん?」


そう聞かれたニーはゆっくりと頭を振って見せた。


「はい、この身体で有るならば、十二分に可能かと思います。しかしそうであったとしても持てる能力の凡そ半分を使うことにはなりますが」


「そらまあ仕方無いはな、今回の相手だけでなく、人類全ての目を交わして、あくまで自然現象の一端とするんやから、制限多いしな。しかも落下地点への誤差を数センチ以内にするとなったら、神業やで。って、うちらその神様と言うことに成っとるんやけどな」


そう言うと和香様は自ら言った言葉で破顔した。


「宇宙空間での様々な影響、塵やら重力の問題、将来起こりうる太陽風等を含め、更には地球の回転斑やら、大気の密度斑に風の影響など諸々のこと考えたら、神業と言えるほどの能力が必要となるのは当然のことよの」


 その時僕は雨子様の言葉の中に聞き慣れないものがあったので、それについての疑問を口にした。


「ちょっと待って下さい雨子様。今地球の自転速度に斑があるようなことを仰っていたみたいなんですけれども、そうなんですか?」


その質問に対して雨子様はにこやかに笑みながら応えてくれる。


「うむ、そうじゃぞ。しかしまあ普段の生活においては気になるようなレベルでは有らぬが故に、凡そ人々のうちでそのことを知るものはほとんど居らぬであろうな」


「うへえ、そうなんだ」


心底驚いた僕は普段なら口にしないような言葉でその思いを表現してしまった。


「これには地球と月の距離の変動の他、それに影響された海洋や地球内部の変動等、それはもう恐ろしいほどの変数が関与して居る。勿論これらのものを感知する手法はニーは持って居らぬから、その情報については我らの補助が必要になるがな。じゃがその一点のみ我らに頼ることがあるとは言っても、唯々としてそれらの変数を演算し、最初の一押しの為に必要な力と方向、そなた等の言葉では一言でベクトルと申すのじゃな?を決めるのはニーじゃ」


 SF好きな僕としては今言ったようなことを考えるのは好きだ。好きではあるのだけれども、現実にそのことを為す為に必要な操作のことを考えると、余りの膨大さを感じて何だか気持ちが悪くなってしまった。


 実際普通に考えたら、絶対に無理という答えになって然るべきものだった。


「それでニー、自分がゆうてたタングステン購入の為の資金の方はどうなん?」


「ああ、それについての作業は既に終わっております。現在は懸念を及ぼすことが無い量を算出して、それらを別々に手配して一カ所に集積しつつある状態です。もうあと二週間もあれば必要量が集まるものと考えます。しかしその量を集めるだけでよろしいので?加工の必要は無いのですか?」


 ニーの質問に和香様が手をそっとおとがいに当てながら答える。


 その様が普段いつもおちゃらけている和香様のイメージとは異なって、とても穏やかで優しく、信じられぬほど美しいので、僕は思わず見とれてしまった。


 すると服の裾を両側から引っ張られるのを感じて我に返る。

見るとそれは片や雨子様、片や七瀬だった。


「これ祐二、何を呆けたような顔をして和香のことを見つめて居る?まるで魂でも抜かれて居るようじゃぞ?」


「そうよそうよ、もう少しで涎が垂れるわよ?」


「よっ?涎って!」


 僕は慌てて手の甲で口元を擦るがそんな事実は全くない。


 すると彼女達二人は大笑いしながら言う。


「愚か者、もののたとえじゃ」


 そんなこんなでわいわい言っている僕達のことを見つめながら、和香様は一人何だかとっても嬉しそうな表情をしながらじっと黙していた。


「さて…」


そう言う和香様はいつも通りの和香様だった。


「そしたらニー、全量揃わんでもええから、少しずつ揃うた分からここに運び込んでくれるかな?」


「分かりました。それでは仰せの通り順次こちらに運び入れるように致します」


「受け取りの方は榊さんを通じて小和香がすることにするから、受け取り主は榊さんにしといてな」


「了解です」


それを聞くと和香様がパンと手を打つ。


「これでまずは杖の材料については何とかなりそうやな。そしてこちら側の情報の守りについても然り。また落下についての制御ももう問題無しやと思う」


「残るは出来上がった杖の所定位置への搬送じゃな?」


「そこなんよね、問題は」


 そう言うと和香様は頭を抱えた。


「何じゃ和香よ、未だにそなたはあやつのことが苦手なのかや?」


 和香様にそう言う雨子様はやれやれと言った感じの苦笑顔だった。


「そやかて雨子ちゃん、そないなこと言われても誰にでも苦手ってあるやろ?うちにとってはあいつってことなだけや」


「そうは言うがお前にとって彼奴きゃつは弟であろ?何をそのように苦手とせねばならぬのじゃ?」


「そないに言うけど、あいつ少し乱暴過ぎやねん。そら昨今は大分大人しなってきたって言うけど、駄々捏ねたらそこいらの山くらい簡単にひっくり返ってしまうで?」


 うはぁ、なんかとんでもないこと聞いた。駄々で山をひっくり返されたりしたら、周りに住んでいる人とかたまったもんじゃ無い。傍らを見ると七瀬が固まっている。


「おい、大丈夫か七瀬?」


七瀬は少し顔を青くしながらゆっくりと頷いた。


「うん、大丈夫。でも神様の存在って本当は恐ろしいものなんだね…」


 するとその言葉を聞きつけた雨子様と和香様が七瀬のことを取り囲んだ。


「何を馬鹿なことを言うて居るのじゃあゆみは?」


「そうやそうや、ほんまやで七瀬ちゃん?うちらがそないに怖い思てんの?」


「だって…」


そう口ごもる七瀬のことを雨子様はしっかと抱きしめた。


「確かに遠い過去、神代の頃ならそのようなことも有ったかもしれん。じゃがそれは互いにきちんと言葉を交わせぬ頃のことじゃ。もっとも今日日は余り神と人の間で言葉を交わせて居るとは言えぬかも知れぬが、それでも人の子等は足繁く神々の元に祈りを捧げに参って居るじゃろ?そんな子等のことをどうして神々が憎く思うであろうか?」


「ほんまやで七瀬ちゃん、そやからあいつかて乱暴この上ない奴やった癖に、最近は息子んとこ入り浸って、男女の間を取り持つ仕事せっせと手伝うとるらしいで?ほんまびっくりしてしまうけどそれだけ可愛いって思とるんよ」


「男女を取り持つ?それって、もがぁ…」


 僕は開いた口を七瀬から身を離した雨子様の手の平で押さえられ、その先を言うことが出来無かった。


「祐二よ、言わぬが花という言葉があるじゃろ?」


僕は雨子様に口元を押さえられたままうんうんと頷いた。


「して八重垣はどう言っておるのじゃ?」


雨子様が和香様に問う。八重垣というのはどうやら彼女達の間での呼び名らしい。


「うん、協力についてはなんぼでもしてくれるって」


「それで?」


 それでって何なんだろう?僕はごくりとつばを飲み込んだ。


「それくらいのことならこちらにこんでもやってくれるってゆうとったは」


「なんとそうであったか…」


 そう言うと雨子様は僕から離れ、ほっと胸を撫で下ろしていた。見ると和香様も何となくでは有るが嬉しそうである。


「しかし酷いねんで、ニーのこと説明したらそないなもん役に立つんかって言うし、それでも借りてきた猫くらいには役に立つんやろなって言って、散々笑うんやで?な?あったま来るやろ?」


 僕はその言葉を聞いて初めて合点がいった。暫く前に和香様が借りてきた猫云々と言ってプリプリと怒っていたことがあったのだけれども、その原因は今八重垣と呼ばれているその神様が原因だったのだ。


「まあ、あやつならそうであろうな」


 そう言う雨子様は苦笑している、おそらくその八重垣という神様だけでは無く和香様のことも。なんだかんだ言ってもこの二柱の神様方は仲が良いのだろう。端で聞いていて仲が良いからこその愚痴のようにも聞こえるのだった。


 僕が頭の中でそんなことを考えながらうんうんと頷いていると、雨子様がそんな僕の耳元に口を寄せ小さな声で囁く。


『祐二が今考えて居ることは絶対に口に出すでは無いぞ?和香はあやつと仲が良いと言われると途端に臍を曲げ居るからな』


そう聞いた僕は目を見開いてただうんうんと頷くしか無かった。





 先達て京都に行ってきまして、国宝の弥勒菩薩像を見てきてその美しさに胸を打たれました。

祐二が和香様の物思う姿を美しいと思ってみていた時は、その辺りのことを想像して下さると良いかもしれません

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