名前は大事
「そういえば、まだ名乗っていなかったな」
街へ帰る道の途中女騎士がそんなことを言った
「私の名はネイア…ネイアだ」
「私はジャンヌよ」
「クロはクロ、なのです」
各々が自己紹介をする中、焦っているのが一人
(やべぇ、さっきからクリスマス以外なんもおもいだせねぇ…
名前も思い出せねぇってどゆこと?爆発の時の衝撃で記憶
がぶっ飛んだのかぁ…?それより、名前どうすんだぁ…?
目が覚めた時は、湖にいたよなぁ…湖…Lake…レイク…
レイク・あるさ、…! レイク・ア〇サ!?
決まった!)
「貴女の名前は?」
「オレは、エレイン
「そうか、良い名だな」 …あれ?」
「よろしくね、エレインちゃん」
「よろしく、なのです」
(今…口が勝手に動いた…⁉ いや、考えるな触れたら不味い
気がする…)
「・・・ーー、ーーー、聞いているのか?」
「うぇ!?な、なに!?」
「はーぁ、貴女、自分が何処から来たのかわかる?」
「あー、分かんねぇけど、多分ずっと遠くからだな」
「どうして遠くって分かるの?」
「見渡す限り知ってるオブジェがなんもねぇのよ」
「じゃあ、あなたはどんな所に住んでたの?」
(いや不味い、口が裂けても異世界から来たとか言えねぇよな)
上手く誤魔化す言葉が思いつかずにいると、
白く大きく綺麗な壁が見えてきた
「あ!?あれが街か!?」
「いや、あれは古代の王国の首都を囲う城壁だな、
今から1000年ほど前は、この大陸一の大国だったらしい、
今はただの古代遺跡だがな」
「へぇー」
「あの『剣と騎士の王国』のモデルにもなった国らしいですよ、あなたも子供の頃によく聞かされたでしょう?」
「いや、知らねぇな」
「あのおとぎ話をしらない!?
あなた…今までそうとう苦労してきたのね」
(???…そんなに有名なのか?)
話をしている内に城壁の下まで来ていた
「この遺跡の中はダンジョンになっていて危険だが、
この城壁の周りは魔物も寄って来ないから安全になっている。1000年経っても機能が衰えないとは、さすが大陸一の
大国だっただけあるな」
「なぁ、中ってどうなってんだ?」
「どうなっているのだろうな」
「知らねぇの?」
「中を見に行った人は誰も帰ってきてないのです、
なので誰も中を知らないのです」
「大丈夫なのか?そんなとこ通って?」
「普段は城門が閉まっているから大丈夫なのです
開けようとしなければ魔物がでてくることはないのです」
「へぇ~」
「それより、野営の準備を手伝ってほしいのです」
「あ~さっきから何してるかと思えばそういうことか]
テントを張るネイア、鍋をバッグから出すジャンヌを
横目に石の上に足を組んで座るエレイン
「こんな明るい内から野営の準備ってするもんなの?」
「するもんなのです、口を動かすくらいなら
焚火に使えそうな枝を拾うのです」
「へ~い」
準備をしている内にすっかり日が暮れていき、
4人は焚火の上の鍋を囲い円状に座っていた
「何作ってんだ?」
「コンソメスープよ、嫌いな具材はあるかしら?」
「いや、大丈夫だ」
「ならいいわ、もうすぐできるわよ」
出てきたスープはニンジン、玉ねぎ、ジャガイモが
入っており、薄味だったが体が温まった
スープを飲み終わった後
「今日の火の番は私がやるから、貴女たちは寝ててもいい…
ぞ?」
「ならお願いしますね、ほら、エレインちゃんテントいくわよ」
「んぁ~、わかっ…たぁ」
「ちょ、危ないのです!ちゃんと歩くのです!」
「ん、ん~…」
「あらら、ほら、布団についたわよ」
「ん~…おゃす…みぃ」
「布団かけないと風邪ひくですよー」
夜は増々更けていった