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私、崩壊  作者: 清水幸
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エピローグⅡ(その2)


 その後も流星の疑心暗鬼は続いた。高校で三者面談があると聞けば、私は出るな自分が出ると駄々をこねた。ケンカにならないように流星を見張る必要があると考えて、私も面談に行かざるを得ず、三者面談は和泉のときだけ四者面談になった。面談中流星はずっと光夜をにらみつけ、光夜の言うことに揚げ足を取るようにいちいち噛みついていた。

 面談後、和泉がうんざりした顔で流星に抗議した。

 「光夜先生、いい先生なのになんでそんなに目の敵にするの?」

 「教え子に手を出して結婚するような男を信用できるわけないだろう? 和泉やお母さんに何かあったら困るから警戒はするさ」

 〈お母さん〉とは私のこと。ちなみに夫婦二人きりのとき、私は流星を〈流星君〉または〈君〉と呼び、流星は私を〈小百合さん〉または〈あなた〉と呼ぶが、ベッドの上では相変わらず役職名で呼ばれる。役職名で呼びながら私を攻めると興奮するのだそうだ。それを禁止してセックスレスになるのも嫌なので私も仕方なく彼の性癖を受け入れている。

 「女子高生の私はともかく、三十代の光夜先生が五十代のお母さんと恋愛関係なんかになるわけないでしょ。被害妄想強すぎだよ」

 「お父さんは和泉の担任と同い年だが、17歳年上のお母さんと恋愛して結婚までしているけどな」

 「特殊な例を一般化して語らないで!」

 年の差婚の私たち。結婚当初いろいろ陰で言われたものだが、私たちの愛の結晶である娘にまで私たちの恋愛を〈特殊な例〉呼ばわりされるのはけっこうつらいな。

 「それにね、先生が教え子と結婚したといっても交際を始めたのは奥さんが卒業してからだって言ってたよ」

 「どうだか。信用できんね」

 「お父さん、どうしちゃったの? そんな話の通じない人じゃなかったのに……」

 黙り込む流星。かわいい娘に幻滅されても、今もなお光夜を許す気はないということか。私もあまり娘に同調できる立場でないのがつらいところ。それをすればまだ光夜に未練があるのかと邪推されて、よけい面倒なことになるのが目に見えているから。


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