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私、崩壊  作者: 清水幸
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19 浮かれ女の修羅場(その2)

 次に翔君の回答。

 「結婚は二人でするもんなんだから本人同士がよければそれでいいんじゃない? 実のお母さんと縁が切れるわけでもないしね。おれは別に虐待とかされなければ、お父さんが誰と再婚しても気にしない。逆に、おれのためにお母さん以外とは再婚しないって言われる方が嫌だな。自分の人生の決断なのに、子どものおれに責任を押しつけるなよって正直思う」

 まだ七歳だよね、この子……。この妙に達観したドライさは間違いなく桜子譲り。二歳のときからもう五年も桜子と離れて暮らしてるのに。今さらだけど性格も親から子へと遺伝するんだなと知った。

 進と椿姫の結婚の残る障害は進本人の意思だけということか。いくら三度目の結婚でより好みできる立場ではないとはいえ、椿姫は淋しければ誰にでも股を開くビッチ。それを知ってて結婚してくれるとは思えないから、椿姫も桜子もその事実を隠して結婚話を進めたのだろう。私が今それを暴露したら私は椿姫に一生恨まれるに違いない。進には気の毒だが私には見て見ぬ振りをするという選択肢しか残されていないようだ。

 最後に新郎の進から話があった。

 「桜子さんから妹の椿姫さんとの結婚を考えてもらえないかと打診されたときは正直戸惑いました。椿姫さんとはそれまで何度か顔を合わせたことはあっても、ほとんど話したこともありませんでしたから。椿姫さんってどんな人なんですかと聞くと、淋しければ誰にでも股を開くビッチだと言うんです。謙遜するにしても言いすぎじゃないかと言うと、嘘を言って騙したのかと責められたくないと真顔で答えるんです。どうしてそんな人を僕と結婚させようとするのかと聞くと、桜子さんはこんなことを言いました。あの子は本当の愛を知らない。あの子に本当の愛を教えてあげてほしい。妻だった私を捨ててまで、難病で余命いくばくもない千夏さんの最期を看取る道を選択したあなたなら、あの子の生き方を変えることができると」

 話し続けてのどが渇いたタイミングを見計らって、椿姫が立ち上がり進のグラスにビールを注ぐ。進はありがとうと言って、それを一気に飲み干した。

 「とりあえず椿姫さんに会ってみた。千夏の遺言の動画を見て僕のことが好きになったと言ってくれた。君は一言で言うとどんな人なんですか? と聞いたら、淋しければ誰にでも股を開くビッチですと桜子さんと同じ答えが返ってきた。どんな男も私を性の対象としか見なかった。だから私もどんな男も性の対象としか見ないことにしている。そう言う椿姫さんに僕は一つの提案をしてみました。セックス抜きで僕と交際してみませんか、と。いつまでと聞かれたので、あなたが淋しさを感じなくなるまでと答えました。それから僕らは二人でデートして旅行にも行きました。もちろんセックスはしませんでした。僕と椿姫さんはいつしか愛し合うようになり、僕の方からプロポーズしました。ちょうど小百合さんの妊娠と結婚が決まった頃で、椿姫さんが私も子どもを産みたいとせがみ、もう淋しくないのですかと尋ねると、もう淋しくはないと答えたので、セックスなしの縛りもやめることにしました。これが僕らの馴れ初めです。ドラマティックな場面が一度たりともなかったので、聞いていて退屈されたなら申し訳ありません」

 「ブラボー!」

 流星が雄叫びの声を上げ、いつまでも手を叩き続けた。

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