表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私、崩壊  作者: 清水幸
51/84

13 ミサンガをつけた二人(その3)

 香織がここにしましょうと言って入っていったのは、すごくおいしいけど安いランチでも三千円は取られるフレンチの有名店。香織は慣れた様子でワインまで注文しだした。

 「光夜君とよく来たお店なんですか?」

 「彼とは一回もないかな」

 友達同士で気軽に来れるような価格帯のお店じゃない。家族でしょっちゅう来るお店ということか。どうやら香織の家はお金持ちらしい。

 「名前で呼んでいいですか? 私のことも名前呼びでいいので」

 「いいですよ」

 「小百合さん、こう見えて私悔しいんですよ」

 「すいません」

 「いや、光夜を盗られたこともだけど、一番悔しいのはアラフォーのおばさんに私は負けたんだなってこと。今日はどんなすごい人が出てくるのかと思ったら、どこから見ても普通の人で二度びっくり」

 確かにワインを飲み始めてはいるが、さすがにこんな早くは酔いが回らないだろう。香織さんってこんなストレートに自分の感情をむき出しにする人だったのか。今まで持っていたイメージと違いすぎたので私は内心戸惑っていた。

 「何度考えても分からないんですよ。小百合さんは県庁のエリートらしいからお金は持ってるんだろうけど、光夜はお金で釣られるタイプじゃない。そうなるとやっぱりセックスですか? 独身生活が長かった分おつきあいした男性も多かったんですよね。長年の経験に培われた小百合さんの夜のテクニックに光夜は骨抜きにされちゃったんですかね?」

 実態を言えば骨抜きにされてるのは私の方なんですけど、そう言ったところで信じてもらえそうにない。それにしてもこの手の話はするなとは言わないけど、せめてもう少し小声でやってくれないだろうか。隣のテーブル席の若いカップルから汚物を見るような視線でさっきから見られてることに、早く気づいてほしい。

 そのとき、バイブにしていたスマホが震えだして、ちょっとトイレにと言って席を外した。トイレで確認すると、田所主事からLINEのメッセージが届いていた。


 《主幹、今どこにいるんですか?》


 今回の香織との面会をセッティングしたのは彼女だが、香織とどこに行ったかをいちいち報告しなければならないのか? ちょっとムッとしたが、彼女は光夜の姉。おとなしく返信しておいた。


 〈香織さん馴染みのフレンチのお店。たぶんおいしいんだろうけど、酔っ払った香織さんに絡まれて料理を楽しむどころじゃなくなってる〉


 とだけ入力して送信した。トイレを出るときまたスマホが震えだしたが、どうせたいした要件じゃないでしょと決めつけて無視した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ