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私、崩壊  作者: 清水幸
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8 私は浮気相手だった(その2)


 「主幹、これ読んでください」

 光夜との焼肉デートの翌日の昼休み、流星が白い封筒を私に手渡していった。

 それは流星が個人的に受けた不妊検査の検査結果。精子の数も運動量も問題なし。性病も罹患していない。妊活するなら若い自分とする方がいいですよというアピールらしい。流星は私の彼氏が自分と同い年の男だとは知らない。ふだんなら、

 「気持ち悪いことはやめて!」

 と文句を言うところだが、あんなにいっぱい行為したのに生理になってショックを受けている最中だったから、真剣に検査結果を読んでしまった。コピーを取って原本を流星に返した。

 「ありがとう。参考になった」

 「参考になってよかったです」

 仕事上の書類をやり取りしたときのような挨拶を言い合った。


 不妊検査をいっしょに受けてほしいと言うと、光夜は二つ返事でOKしてくれた。

 「小百合さんがあせる気持ちは理解してますよ」

 光夜は土曜日の午前の仕事を、誰かにお願いして代わってもらえたそうだ。

 六月最初の土曜日の午前九時、私たちはレディースクリニックを訪問した。前夜も長時間激しく行為した。ちょっと前まで処女だったくせに今は生理期間以外はほぼ毎日会って、会えば光夜が限界だと言うまで彼の元気な子種を私の痩せた畑に撒き散らさせている。

 光夜は浮気相手(私のことらしい)と別れろと迫る彼の家族の要求を拒否。絶縁するかどうかの瀬戸際まで追い込まれていると聞いた。私が光夜の家族に頭を下げて話が丸く収まるならそうするが、罵倒されて嫌な思いをさせるだけだからお勧めできないと光夜に釘を刺された。

 クリニックの先生は若い女医さんで、いきなり直球で来た。

 「お二人はご夫婦ではないんですね」

 「私が妊娠したら結婚することになってます」

 女医は少し間を開けて、なるほどと答えた。不妊検査には性病検査も含まれていて、費用は男性が一万円くらい、女性は二万五千円くらい。意外と安いんだなと思った。特定不妊治療費助成も私の係の業務の一つだけど、今まで私とは無関係の物事だと思ってたからまったく関心なかった。来週土曜日にまた来て検査結果を聞くことになった。治療方針は検査結果を受けて決めましょうと女医は天使のような笑顔で提案した。


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