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私、崩壊  作者: 清水幸
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7 魔法をかけられて(その2)


 それから三十分後にはもう私たちは一つになっていた。光夜は何度も何度も愛してると叫んでくれた。この上なくクールな顔をした男に愛してると情熱的に声をかけられて、私の女としてのプライドは完全に満たされていた。

 流星とセックスしてもこうはならないだろう。かつての彼女と同じように流星はきっと私にも尽くしてくれる。でも私は尽くしてほしいのではない。見たことない魔法で私のすべてを包んでほしかった。私はもう魔法を知らなかった以前の私には戻れない。あなたの恋人でいるより彼のセフレでいたいと吐き捨てて流星を振った女の気持ちが少しだけ分かる気がした。流星には悪いけどね。

 愛の強さと年齢に相関はないが、妊活するなら相手は若い男の方がいい。そんな当たり前の事実を再確認させてくれるほど、流星は私という使用期限の迫った壊れかけの器に繰り返し子種を注いでくれた。

 「明日は土曜日だけど、やっぱり夜しか会えないのかな」

 「すいません」

 「光夜君が忙しいならマンションでも借りていっしょに住まない? もっと君と長くいっしょにいたい。ダメかな?」

 「考えてみます」

 あまり前向きでない回答が返ってきて正直ショックだった。私はそれを表情に出さず、

 「そうして」

 と笑顔で答えた。


 二日ぶりに帰宅すると、午前一時過ぎなのに桜子も椿姫もまだ起きていた。

 「歓迎会、一次会だけで帰るつもりが、二次会の最後まで帰してもらえなくて……」

 「昨日は帰ってこなくて今日は午前様。真面目だけが取り柄の百合ねえが不良になっちゃった」

 「しかも見え透いた嘘までついて。あんたもいい年なんだから、男と会ってたなら会ってたって正直に言えばいいじゃない。それとも私たちに言えないようなワケアリの男なの?」

 「消臭スプレー振りかけたみたいだけど、男の精液のにおい全然隠しきれてないよ」

 「待ってて! 着替えてくるから」

 犬みたいにくんくんにおいを嗅ぎだした椿姫がうっとうしくて、いったん自分の部屋に逃げ込んでナイトウェアに着替えて、また二人の待つリビングに戻った。

 「それで百合ねえの今度の彼氏ってどんな人? やっぱり癒やし系?」

 癒やし系ではないな。一言で言えば鬼畜系? 心配かけるようなことは言わない方がいいよね。

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