7 魔法をかけられて(その1)
歓迎会という名目だったカオスな時間は午後九時頃お開きになった。今日は私たち母子係だけでなく同じこども家庭課のこども家庭係(主な担当業務は児童虐待防止対策や里親事業など)の歓迎会もどこかで行われていて、そちらの有志と合流して二次会も予定されているようだ。流星と緒方主査の男性陣が二次会にも参加する。私は参加しない代わりに一万円を包んでご祝儀として緒方主査に託した。
遅い時間にもかかわらず、光夜は文句一つ言わずに車で迎えに来てくれた。光夜は朝の白いジャージでなくライトグレーのジャージを着ていた。ジャージが制服だと言い張るだけあって、上下おそろいのジャージを五着持ってるそうだ。
「おいしいお酒を飲めましたか?」
「いろいろあってびっくりしちゃって、結局一滴も飲めなかった」
「びっくり?」
「君と同い年の新採の男の子に告白されてさ。たぶん仕事してる私をそばで見ててかっこいいって勘違いしちゃったんだと思う。もちろん彼氏がいるからって断ったよ」
「僕は小百合さんの仕事してる姿を見たことないですけど、あなたの生き方はかっこいいと思いますよ」
「君は本当に――!」
「なんですか?」
「女をその気にさせるのがうまいなって感心した」
「下心からじゃなくて本心からそう思えたんですけどね」
光夜がモテる理由がよく分かった。イケメンだから。もちろんそれもあるだろう。それより話していて楽しいのだ。褒められているうちに彼に抱かれたいと思えてくる。今の私がそうだ。妊活関係なく私は今猛烈に彼に抱かれたい。この先にどんな絶望が待っていようとも、今この瞬間、すべての私の細胞が彼の与える快楽を求めていた。




