4 僕は君を軽蔑します(その1)
18年ぶりに恋人ができた。二人目の恋人といっても、前回はつきあい始めて一ヶ月もしないうちに、まだキスもしないうちに振られてしまったから、実際のところ私の初めての恋人は光夜だといっても間違いとは言えないだろう。
お互いのことを何も知らない。ただの遊び相手なら知らないままでいいのだろう。でも光夜は私のことを知ろうとしてくれた。
「今でもトラウマになってるという二十歳のときの恋愛の話を聞かせてくれませんか?」
二度目のセックスのあとそう聞かれて私は悲しくなった。せっかく幸せな気持ちだったのに、一瞬にして涙があふれ出しそうになった。
「嫌な気持ちにさせてすいません。興味本位で聞いたわけじゃないんです。ただ小百合さんとつきあっていくに当たって、あなたの苦しみを共有したいと考えました。僕はもっとあなたのことを知ることができるし、あなたとの距離も縮めることができるのではないかと考えました。今が無理ならいつかその気になったときでいいので教えてもらえたらありがたいです」
そういうことなら話さなくてはならないだろう。でも私はまだ躊躇せざるを得なかった。
「私だって本当は君に洗いざらい全部吐き出したいと思ってた。そうすれば気持ちが楽になれるだろうから。でもそれを打ち明ければ君に嫌われるに決まってる。だから自分から打ち明ける気にはなれなかった」
「振られたそうだから小百合さんにも何か問題があったのでしょう。でもそれは過去の小百合さんであって今の小百合さんじゃない。僕だっていっぱい間違いを犯しました。間違った過去は乗り越えていけばいいんじゃないでしょうか」
「私にとっては死にたくなるくらい恥ずかしい過去なんだ。教えるから、君も君自身のそういう話を今度でいいから私に教えてくれる?」
「教えます」
「ありがとう。じゃあ教えるね」




