3 与えられた夜(その2)
朝、目覚めると、二日酔いで頭がガンガン痛んだ。いい夢を見たと思って見回すと見覚えのない部屋で、そして私は裸で布団をかぶっていた。
誰かがシャワーを浴びているようだ。しばらくすると下着姿の男がバスルームから出てきた。
「小百合さん、おはようございます」
「お、おはよう……」
どこまでが夢でどこからが現実か分からない。私はこの男と行為して処女を失ったらしい。三年以内に子どもができたら結婚するという契約を交わし、昨日まで38年間処女だった分際で、何度も何度も避妊なしの行為をせがんだような気がする。しまいにはアラフォーの肉体の衰えは隠せず、体力の限界に達してさっさと寝落ちしてしまったようだ。
「ごめんなさい。私、疲れて先に眠ってしまったみたい……」
「謝る必要はないですよ。小百合さんが先に眠ってくれたおかげで、小百合さんのかわいい寝顔を好きなだけ堪能できましたしね」
38歳の女の寝顔がかわいいわけがない。騙されたらダメだ。きっとこの顔だけ無駄にいい若い男は抱いた女に必ずそうリップサービスしているのだ。実際、女に不自由してるとは思えない。思い返してみると、女の体の扱い方がずいぶん手慣れていたように感じた。きっと38歳でキスもしたことないという奇特な女に興味を持ったか同情したかで面白半分に抱いてみただけだ。責任取る気などさらさらないだろう。私の体に飽きるか私が妊娠したらさっさと捨てるに決まってる。
「今さらだけど光夜君って何歳なの?」
「22歳です。十月に23歳になります」
ということは流星と同じ学年か。光夜は大学は出てるのだろうか? いや聞かないでおこう。彼が中卒や高卒だったりしたら聞かれたら傷つくだろうから。
「16歳差か。君が生まれたとき私はもう高校生だったということか」
「さすが事務の仕事やってるだけあって計算早いですね。僕はそういう計算はどうも苦手で」
理知的な顔立ちをしているくせに、実はあまり頭がよくないということだろうか。もし結婚できるなら私だけ働いて、光夜は専業主夫ということでもいい。最悪、家事もしないヒモ同然でもかまわない。年の差を考えたらそれくらい甘やかさなければ私と結婚なんてしてくれないのではないだろうか?




