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恋に恋せよ恋愛探偵!  作者: ツネ吉
第4章 なぜ勉強をして来なかったんだろう?
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エリカ様

申し訳ありません。

この話を更新時に間違えて完結済み設定をしてしまいました。

この小説はまだまだ続きますので、これからもよろしくお願いします。

「……なんです部長?」


 部長を散々無視した守谷は、俺たちが彼女のもとへ行くとようやくスマホから顔を上げた。よくよく考えれば当事者のはずだよな? 


 しかし近くで見るとやっぱとんでもない美人だな。金髪もキレイだが何よりその眼、切れ長で少し睨んでいるように見えるその目の迫力がすごい。


 俺も自分の眼に関してはよく、なんで睨んでんの? 無駄に鋭くて怖い、お金払うので許してください、等と言われるが、同じ人間でもここまで変わるのか。


「この2人を紹介したくてね」

「……この2人?」


 そう言って守谷は怪訝そうな視線を隠そうともせず俺たちに向ける。


 おおっ、美人に睨まれるとゾクッとくるな。


 そして守谷は軽くため息をつき口を開く。


「部長……いくら友達がいないからといって、この汚い金髪はやめたほうがいいです。」

「も、守谷さん!?」


 ……あれ? 俺と守谷って初対面だよな?


「ダメですよ部長。こんなのと連んでるのを他の人が見たらどう思われるかわかってます? 気弱な陰キャとそれをいじめるチンピラです」

「守谷さん、ちょ、ちょっとーー」

「ただでさえ部長パッとしないのに、横にこんな無駄にでかくて柄の悪いのがいたら存在が霞んで消えてしまいますよ」

「……守谷、俺Mじゃないから手加減して欲しいんだけど」


 初めて会話する人間にここまで罵倒された経験なんてない。桐花の時ですらもうちょいマイルドだったはずだ。


 ていうか俺への罵倒と合わせて地味に部長さんのことも攻撃してる。あまりの毒舌の技術に怒りよりも先に感心がきてしまう。


 学園の女王エリカ様の噂以上の辛辣さに戦慄が走っている俺を押しのける形で桐花が前に出る。


「初めまして守谷さん。私、相談部の桐花です」

「相談部、あなたが先生の言ってた助っ人?」

「そうです。清水先生の頼みで合唱部が抱えている問題を解決しにきました」


 そう言って桐花は胸を張る。


「ちなみに隣にいる大男は、ドラッグストアで売ってるやっすいブリーチで髪傷みまくりの将来若ハゲ確定の私の助手です。名前は覚えなくていいです。犬とでも呼んでください」

「……お前何ちょっと張り合ってんだよ」


 普段の5割り増しくらいで俺のことをディスってきやがる。一体何に対する対抗心なんだ。


「事件があった日のことを詳しく教えてほしんですけど」


 ようやく桐花が本題に入る。


「いいけど、どうせなら()()らも呼んだほうがいいんじゃない?」


 そう言った守谷は目線だけでいまだに揉め続けている伊達、飛田の下僕コンビを指し示す。言い争いはヒートアップしすぎてお互い顔が真っ赤になっている。


「えー、アレですか? 正直もうちょっと落ち着くまで待ちたかったんですが。吉岡さん、呼んできてくださいよ」

「やだよ。巻き込まれたくない。お前がいけよ」


 火中の栗を拾うようなもんだ。


「エリカちゃんが呼んだら? すぐ来てくれるよ」

「いやよ、めんどくさい」


 岸本の言葉に本当に嫌そうな表情をする守谷。視界に入れるのも嫌なのか言い争いを続る2人から完全に背を向けている。


「でもこのままじゃ話進まないよ。それにいい加減止めないとそろそろ殴り合いになりそうだし」

「……ゆかりがそこまで言うなら」


 渋々といった様子で2人に顔を向ける。


「2人とも、ちょっと」


 発した言葉は小さく短い。普通であれば全く意図が伝わらないどころか、そもそも相手の耳に届かないだろう。


 しかし、下僕2人にはそれだけで十分だったようだ。


 守谷が呼ぶやいなや、2人はピタリと言い争いをやめてきっちり揃った動きで守谷に近づいてきた。


「呼びましたか、エリカ様?」

「ご用件はなんでしょう、エリカ様?」


 軍隊かおのれら。あまりにも馬鹿らしい光景に力が抜ける。


 呆れ返っていると、下僕2人は守谷の近くにいる俺の存在に気づいた。


「な、お前は吉岡アツシ!!」

「なぜあなたのような不良がここにいるのですか!?」


 俺と守谷の間に割って入り、守谷を守ろうと警戒した様子でこちらを睨みつける。


 大した忠誠心だ。大抵の生徒は俺にビビるだけで立ち向かおうとする奴なんてそうそういない。とういうか今の今まで俺の存在に気づかなかったんかい。


「さすが吉岡さん。完全に猛獣の扱いですね」

「猛獣言うなや」


 何が楽しいのかニヤニヤ笑いながら桐花が寄ってくる。


「伊達さん、飛田さん。この猛獣は気にしないでください。それよりも、お聞きしたいことがーー」

「ヒィっ! き、桐花咲!?」

「な、なぜあなたが合唱部に!? こ、来ないでください!!」

「ーーってちょっと、なんで吉岡さんよりも私の時の方が酷い反応をするんですか!!」


 恐れ慄いた様子を見せる2人。完全に腰がひけて青ざめている。


「まあそりゃそうだろ。俺が猛獣ならお前は妖怪とか化物とかそっち系だもん」

「女の子相手になんて言い草ですか!!」


 八つ当たり気味に脛を蹴り飛ばされる。


 その後、恐れ慄く下僕たち、オロオロする部長さんと岸本、憤慨する桐花、そして我関せずの守谷とめんどくさい地獄が広がり、収束するまでしばらくかかった。

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