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軋轢  作者: 森野健一
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酩酊

今年でアラサーになる俺は中卒で仕事を転々としてきた、謂わば社会の無法者である。日当八千円くらいの日雇り労働者であり、その小銭(給料)で安い酒を買っては、この自堕落な人生を送っている。

 静かな夜の公園。俺はビールを飲みながら夜空を見ていた。辺りは人がいるはずもなく、虫の鳴き声しか聞こえてこない。

 ビールを飲みながら適当にスナック菓子をつまみ、もやもやした頭を酒で忘れようと自分自身誤魔化そうとしていた。

 理由は友人の出世である。ある者は結婚し、ある者は仕事で昇格していい暮らしをしている。それは俺には学歴が無いから社会から自然な形ではみだしたのも自分の責任である。しかしどう考えても身分社会に対して、勉強だけができれば人間立派なのかと言えばそうではないと何時もそう不満に思っていた。

「ふざけんじゃねーよコノヤロウー。なにが平等の社会だ莫迦野郎。結局よ、人間学歴ていうブランドをつけないと生きていけない社会じゃねーかよ莫迦野郎」

 握り潰した空き缶を俺は投げた。アスファルトの地面に着地した時、小さなアルミ缶の落下する音がした。

 俺は又ベンチに座り手をポケットに入れると、遊具をなにげなくみていた。酒を飲んだせいで、酩酊になり、意識が朦朧としてくる。はっきりしない視点が何度も続いていた。

 そろそろ帰らないとまずいなと、俺は帰ろうか悩んでいた。たぶん時刻もいいころだと、明日のろくでもないどうでもいい仕事に支障をきたす。

 俺はため息をつきながら立ち上がろうとした。その時大きな笑い声をする少女の声が聞こえてきた。気にする事もなく立ち去ろうとした。が、少女達二人は笑いながら野次を飛ばしてくるのである。

「おい、帰るのかよおっさん。おいおっさん聞いてるのか」と身長の高い少女が言い。

「おっさん帰るじゃねーよ。オカマ。逃げるとかそれでも男かよ」

 と眼鏡を掛けた身長の低い少女が散々罵声を浴びせてくるのである。

 俺は内心(五月蠅いな)と感じでいたが少女二人に本気で相手にして怒るのもどうかと思っていた。

 二人の少女は以前に俺に野次を飛ばしてきたりしていた。一人は身長が高くて目元が細く、スラっとした足を露出した女の子でありグラマーで、もう一人は眼鏡を掛けた身長の低いショートボブの髪型をした女の子で活発的て明るい。

 二人は俺を見かける度になにか仕掛けてくるのである。

 俺は気にすることなく、自転車に乗ってペダルを漕ぎだした。すると少女達の声が遠くから俺の耳に聞こえてくるように張り上げてくるのである。

「おい、とまれ。オカマとまれよ。おいおっさん」

「いくんじゃねーよカス」

(カスで結構)

 そう思いながら俺はゆっくりとペダルを漕いでいた。二人の声は次第に聞こえなくなり、家につくとふらふらした足で玄関の扉を開けて家に入るのであった。

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