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ボディガード・チルドレン  作者: 兎ワンコ
第四章・アマレット
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27.パーティーにようこそ!

 日没寸前。



 森の中に様々なトラップを設置し、二人は戦闘の準備を始める。

 秦はサマージャケットの上から防弾プレートの入ったタクティカルベストを羽織り、備え付けられたポーチに予備のマガジンや手榴弾を差していく。


  さらに爆薬の入ったバックパックも背負うとかなりの重量になったが、それでも問題ない。秦はR8リボルバーの弾倉内を確認してホルスターに収める。


 慶太も右肩にストック当てがついたコンバットベストを羽織り、背中にショットガンが収まったホルスターを背負い、その上からバックパックを背負う。


「悪いが秦。今から人殺しになってもらうぞ」と慶太。


 秦はUMP45のマガジンを差し込み、チャンバーレバーを前後に動かす。


「もとい、そのつもりだ。どうせ俺は善人でもないし。いつか、こうせざろう得ないとは思ってたからな」


 互いに見つめ合い、頷くとすぐに行動を開始した。

 二人は転がっていた迫撃砲を設置し、基地に向けて調整する。


 秦も慶太のレクチャーにより迫撃砲の撃ち方を教わり、迫撃砲の準備をする。

 慶太が一瞥する。


「カウントする。合図で撃ち込め」


「おうよっ!」と秦。


 秦が榴弾を筒の入り口で構える。横では慶太が腕時計を確認しながらカウントを開始する。


「三、二、一……撃てっ!」


 二人は一斉に迫撃砲の榴弾を滑り込ませ、すぐに頭を両手で抱える。

 ポン、という軽い音と共に榴弾が発射され、風を切る音が少しした後に、ジープやトラックに着弾する。


「秦、右に八度ずらせ。角度三十二度だ」


 指示により、秦は角度を慎重に動かしながら撃ち込む。

 一方の慶太は素早く自分の迫撃砲の位置を微調整し、その着弾地点を巧みに動かす。慶太の迫撃砲の扱いに驚いたが、今は気にする事ではない。


  何発か撃ち込んでいると、セットしてあった自動砲塔とスピーカーが作動する。敵が完全に混乱状態に陥るの確認した二人は、立ち上がってそれぞれの武器を持つ。


「行くぞっ!」


 慶太の掛け声で二人は森の中を駆け抜ける。地雷原のある森は昼のうちにルートを何度も確認し、地雷を踏まない位置を徹底的に身体に覚えさせた。


 自動砲塔によって敵の注意が引いている間に、二人は注意の向いていない東側のフェンスの前まで駆け込む。


  フェンスをバックパックから取り出した大型ニッパーで裂き、基地内に侵入する。幸いにも兵士たちは銃声の方に引かれ、こちらに気付いていない。

 二人は物陰から物陰へと移動し、見つからないようにそのまま屋敷へと走り抜ける。


 物陰の向こうでは兵士たちが森の中に向かって応戦し始めている。二人はそのまま屋敷の正面玄関まで駆け込んでいく。


 大きな玄関を抜け、エントランスホールに飛び込む。


 広いエントランスホールの左右にはいくつものコンテナやケースが積まれ、そこに武器が並べられている。三名ほどの兵士がケースから武器を取り出している。


 慶太と秦はそのまま銃を構えたままホールに入り、こちらに気付いていない近くの兵士に狙いを定める。


 一人の兵士が侵入してきた秦達に気付き、目を大きく見開き驚きの表情を浮かべた。その瞬間に慶太がM4の引金を引く。サイレンサーによってバシュ、バシュと低い音を立てて弾丸が発射され、兵士を射殺する。


 すぐに他の二名が気付き、立てかけてあった銃に慌てて手を伸ばそうとするが、それを阻止するように射殺する。


 一方で秦はホールの上に銃口を向け、2階の連絡橋にいた兵士に向けて引金を引く。

 慶太のM4カービンよりは小さい銃声が響き、兵士は手摺りの向こうで弾丸を受け、絶命した。


「クリア!」


 二人は互いに周囲を見回していう。まだ他の部屋にも人の気配はある。周囲を警戒しながら進む。


「正面の大広間だ。気を付けろ」


 慶太が注意を促す。秦は「あぁ」と応え、正面の大広間へ続く扉まで移動する。


 扉の前に慶太が立ち、その背後を警戒するように秦が立つ。ひとしきり見回した後、慶太の方へ向き直り、肩を二回叩いた。


 すかさず慶太がドアを開ける。大広間はフットサルが出来るくらい広く、エントランスホール同様に武器コンテナやケースがいくつも並んでいる。七名ほどの兵士が無線に怒鳴ったり、折り畳みの簡易テーブルでパソコンを操作していた。


 目の前でパソコンを操作していた兵士が慶太たちに気付き、即座に立ち上がってヒップホルスターに差してあったハンドガンを抜こうとする。すかさず慶太が反応し、射殺する。

 それを合図に周囲で作業していた兵士たちが異変に気付き、秦達の存在に気付いた。


「敵だっ!」


 そう叫んだ兵士を秦が素早く射殺する。


 他の兵士たちも応戦しようと慌てて銃を抜こうとしたり、掴もうとするが、二人によって射殺されていく。ドアを開けてから僅か二秒も経たないうちに四名の兵士を射殺した。


 残った三名の兵士は狙いを付けずにアサルトライフルやサブマシンガンを乱射しながら近くの物陰に飛び込む。


 二人も姿勢を低くしながらコンテナや木箱を縫うように進んでいく。不思議と恐怖はなかった。

 秦は木箱の後ろに隠れた兵士の死角に入り、こちらに気付いていないのと分かると、すぐに狙いを定め射殺する。


 それに気付いたもう一人の兵士が秦に向けて移動する。その背後を慶太が取り、M4の引金を数回引き、背後から射殺した。それと同時にボルトキャリアーが後退したまま止まった。弾切れを合図だ。


 次の瞬間、最後にいた兵士が物陰から飛び出し、慶太に飛び掛かろうと走り出す。


 リロードするには時間がない。瞬時にM4を投げ付ける。


 重いカービンライフルを顔面に食らった兵士が(ひる)んだ隙に、背中のホルスターに差していたM870ショットガンを引き抜き、射殺する。


 ポンプを引いて次弾を装填すると、近くの扉が開き二名の兵士が突入してきた。

 一人は近距離で慶太のショットガンを受けて絶命したが、もう一人の兵士を撃ち漏らした。


 兵士はナイフを引き抜き、慶太に飛び掛かる。慶太はすぐにM870を横向きに持ち、ナイフを持った相手の腕を止める。


 そのまま床に押し倒され、相手のナイフの刃先が眼前に迫る。


 秦が駆け出し、相手の背後まで行くとUMP45の銃床(ストック)で後頭部を殴りつける。相手はそのまま慶太の横に倒れる。


 秦の手を借りて慶太は起き上がると、秦の背後の扉を勢いよく開けた兵士が目に入り、素早くショットガンを構えて射殺する。


 射撃の反動を利用し、半身を捻りながらポンプを引き、先程殴り倒された兵士に銃口を向ける。兵士は傷みから覚醒仕掛けた直後だ。慶太は躊躇なく引金を引いて絶命させる。


 また先程開いた扉の向こうから新たな兵士がアサルトライフルを腰だめで乱射しながら入ってきた。秦は相手に対して斜め前に飛び込み、フルオートで撃ち込む。

 弾丸を食らった兵士はのけ反るようにそのまま仰向けに絶命する。


 息を切らしながらも秦はUMP45の弾倉を交換する。


「ハァハァ……慶太ぁ…ハァ……生きてるかぁ?」


「……当たり前だ。フゥ…こんな所で、死んで溜まるか」


 秦の問い掛けにショットガンのポンプを引きながら答える。連続して続いた戦闘に、慶太も肩で息をしていた。

 この先、レイブンの部下はどれくらい残っているのかは分からない。だが確実に仕留めて進むしかないようだ。


 投げ付けたM4カービンの事など気にせず、慶太はショットガンを構えたまま秦に促し、先を進む。

 二人は大広間を早足だが、周囲を警戒しながら進んでいく。

 すぐさま新たな敵が飛び出すのを秦が捉える。


「慶太、四時の方向に敵っ!」


 慶太が反応し、迫ってくる二名の敵に素早くショットガンで応戦し、射殺する。慶太も秦のすぐ左脇から飛び出す敵に気付く。


「秦、十時の方向から来るぞっ!」


 秦も素早く反応し、物陰を移動していた敵に銃弾を撃ち込む。撃たれた敵は反撃することもなく、床に崩れ落ちた。

 外で応戦する銃声の数が少なくなっている事に気付いた。


「そろそろ外の兵士どもが戻ってきそうだな」


「あぁ、急ぐぞっ!」


 大広間の出口まで近づいた時、両開きのドアが開いて三名の兵士が飛び込んできた。


 即座に秦が兵士に向けて引金を引く。二人の兵士は弾丸を食らって倒れたが、一名は即座に出口の近くにメタルコンテナの影に飛び込んだ。


 秦が兵士が隠れたメタルコンテナに向かって引金を引き続ける。敵が動けない間に反対側から慶太が走り込み、兵士が見える位置に移動すると気付かれる前に射殺した。


 二人はそのまま開いたドアまで近づき、敵がいない事を確認すると、互いの銃を構えながら大広間を出るドアを抜ける。

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