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ボディガード・チルドレン  作者: 兎ワンコ
第四章・アマレット
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0.悪夢

 その夢は壊れた映写機のように、瞬間だけを映す。


 優しく微笑む少女。その後ろに広がる故郷の田舎町。


 掌についた真っ赤な血。赤橙。


 暗闇。


 土と汗。「走れ」という怒鳴り声。


 砂と硝煙の匂い。機関銃の音。


 暗闇。


 足元に広がる海。ヘリコプターのローター音。


 銃声。切り刻まれる身体。

 

 暗闇。

 

 白い天井。ガラス張りの向こうの白衣。

 

 鼻につくエタノールの匂い。

 

 暗闇。

 

 苦しそうに睨む見知らぬ少年。

 

 鏡を粉々に割る自分の拳。

 

 血の匂い。


 暗闇。

 

 狭い白い部屋。たくさんの機械。

 

 汗の匂い。

 

 暗闇。

 

 白い硝煙。


 痺れる手。


 血の匂い。





 そこで飛び起きるように目が覚める。

 暗闇の中、隣に寝ている秦に目をやる。小さないびきを掻いてすやすやと眠っている。


 ケータイを開く。時刻はまだ4時。

 寝汗で濡れた寝間着をうっとおしく思いながら、ゆっくりと立ち上がる。


 うんざりだ。


 慶太は音を立てずにそっと部屋を出た。

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