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「苔」
苔
精神のいたみはさながらみどりの苔
敢えてだけど静かな物質に喩えて
すこし気持ちを落ち着かせよう
無痛であることが流行ってて
わたくしは多分ウケが悪い
女が火喰いどりみたいに
繊細野郎と嗤らうので
ひとりでむらさきの
パァカァを羽織り
珈琲に出て行く
とても哀しい
こころ細い
しにたい
綺麗な
鬱蒼
苔
満身
みどり
あかるむ
ゆめをみる
パァカァの奥
肉の底の神経が
血の奥の心臓部が
みどりいろにそまる
敢えてだけど苔に喩え
気持ちを落ち着かせよう
物質はしずかにひかってて
無痛であることはひからない
わたくしは苔におおわれていて
それから雨が降りそうであるけど
精神のいたみはまるで綺麗なひかり




