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「露」
露
眠れない夜が傷の筋みたいにかさなり
月は貌の筋肉を垂れ下がらせている
わたくしはてのひらに錠剤を置き
かなしいことを忘れようとする
今宵は満月だと話すテレビは
わたくしの皮膚に芽に似た
感染性の生物を植えつけ
それから女をうつした
たくさんの女の子達
何を感じるべきか
よくわからない
被害的感情か
宇宙的俯瞰
快楽物質
零点壱
ふふ
ふ
ふふ
ふふふ
ふるえる
忙しない影
己と影の舞踏
肺のなかの酸素
心臓のなかの血液
給与明細書婚姻制度
刺青をついているころ
純粋ないたみをおぼえた
そのいたみはここには無い
傷は鍵穴だろうとかんがえる
皮膚のうちがわ皮膚のそとがわ
傷があればふたつは繋がり燦燦と
いたみを伴いながら真実の露を創る
眠れない夜が傷の筋みたいにかさなる




