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「剥製」「木乃伊」「梟」
剥製
ロジックボムを肌へ埋む
故に総身をきりひらき
あらい雪ぐ青い浴室
聖堂を感ずる無我
だれもかれもが
頭部を喪くし
しかも蝶々
を追いて
剥製と
なる
了
。
木乃伊
ポルノグラフィとして
機能する鏡の中の裸
毛穴が吐く千の舌
蛇玉として無我
タッパ詰めと
なり木乃伊
のきもち
で摘む
真空
了
。
梟
皮膚のさかいめに鍵を失う
ゆえ閉じ匣の奥にねむる
梟は泉の宜さで泡だち
無我となり流れ去る
以心伝心の双生児
互の影を無くす
燐光は形骸の
そととうち
まさぐり
秘鑰は
ない
了
。