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「味覚」
味覚
わたくしは濃い味のがすきで多分
死病の速度は一定であることを
わすれたいがために味覚を朧
夢のなかにうずめたいと唯
そんなきもちのはたらき
かしらん素晴らしく膚
がうるむやさしい貌
そんなおんなに猶
ものたりなさを
かんじていて
雪がふるの
夏あたり
くらい
から
唯
まつ
ふぜい
はなしは
いま有意に
そらしてみた
おんなのはなし
にくたいたちの琴
とりたちさえずる音
靴をぬいでゆかを歩く
素足をきみのなかの暁暗
そこへことわりもなく沈め
ことわりのかきねを超えて朧
わたくしは味の濃い暁月を喰む




