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「死病」
死病
ゆびの皮がむけ蝿の様な血の球が騒めく
僕は何人か縊首したひとを見たんだよ
ひとりは自身のあにであるから痛切
ほんとうは詩のなかで書く事では
ないのだろうカミングアウトを
唯したいわけではなくて空白
朧にかすんでしまった感覚
夢ながらかんじてた慟哭
かじかむまえに晒した
僕はそれから病院で
暮らしたこれも猶
不退転のきもち
で書いておく
死病の僕は
詩のなか
流血し
その
血
その
流血は
あながち
唯のちのり
ではないと唯
知らせたいのか
唯それにしても唯
朧であるそれが灼熱
夢はかすれゆくも哀切
貌はなみだながらに降雪
韻律のさばくにきもちさえ
かくして僕はまいごになった
すっきりとした朧のさきのさき
はっきりとした朧めくもやのあと
ほんとうに細胞がぜんぶ蝿にかわり
赤い花と化身してあるいは朧な夢にて
ゆびの皮をはがそう血の球と月が騒めく




