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「試合」
試合
若い宇宙がわたくしの中に佇む
冬になると人は肌をかくして
明るくない電球の様に皮膚
を変化させてしまうから
獣や樹が皮や毛を纏う
それと同じことだと
喫茶店で思案した
試合は終わった
そろそろ帰る
女は音楽を
鞄に入れ
靴を石
へと
置
いた
その石
は刻む段
を一段一段
はらはらと葉
が散る様に折り
そこを小さな足が
くだってゆく小さな
光それから小さな音楽
小さな試合が終わった後
冬は満遍なく石段に変わり
女はもう其処に消えていくよ
若い宇宙が冬の試合をまた行う




