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「稲妻」「鱗」
稲妻
ぎすぎすとぞコォルタァルとまどう
コォルドムゥンを揺る瞳たゆたう
霊薬こぼるる泉の素数あざなう
酩酊はかつてわたくしの培地
黒い細胞であり今は赤い青
マズルカがリハビリとて
内耳道にひびき散華し
夏の前に冬が来てい
卒倒の懐妊処女は
天使の踵を踏み
爪先はつめを
すぼめ臍に
咬ませる
無頭の
稲妻
了
。
鱗
かざりまど光にぬれて空なみだ
いましもの破壊による恒星
わたくしの鱗をかりに
四半世紀の水底へ
沈めちまえば
挫滅三昧
生存
又
生存
事故現場
よどみ寒々と
恋情さえ瓦斯爆発
つまるところ鰐を飼う
ゆるぎなき楔を佳人に打つ
びっしりと釘付けの鱗もつ霊廟
了。