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「冷却管」「冥府」「砂粒」
冷却管
冷却管である言語の潜熱を
君のうつくしい前髪へと
硝子の状態でそと重ね
われなければと祈る
それは柔らかな頰
林檎めいた粘膜
熱く赤く裂く
だろうから
不倶戴天
我の中
の我
了
。
冥府
冥府のけものをてのひらに飼う
それでも未だわたくしは毒杯
それを呷りなすり感覚器を
燃焼させることをやめぬ
はは硝子で拵えた錨は
波濤に崩れてゆくし
深海魚はみな君の
貌を膚をしてい
不虞の霧も又
君の乳房の
色を成す
くだる
螺旋
了
。
砂粒
懸想したあいだ崩壊のあいだ
砂粒のぬれるあいだ砂粒は
にえたぎる砂時計の暗愚
それはまだいい砂時計
それは化身をわすれ
つばさを喪くして
ただ砂粒である
それ自体すら
亡失してい
もう頃合
けむり
沈む
了
。




