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「海百合」「残光」「房」
海百合
明暗をはかる指の深度に
すなつぶは人魚のかみ
また君も我も海百合
その様に明示あり
水棲の視界を得
自転車を押す
結晶を崩す
君は色相
成して
化身
了
。
残光
あまいあまい恋ぢゃくをべたり
さびた十字にやどる精霊の舌
エロスですらなく残光の様
くらいくらい部屋に浮く
やらかい球の君は満月
しかも残光だけの月
お月見きぶんで朧
散ってゆく輝き
それは死んだ
しかも生く
不可思議
不明の
化身
了
。
房
おふざけの様
むらさきの
ぶどうの
房を唯
刻む
了
。




