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「色相球」「百足」「林檎」
色相球
精神はいっこの色相球だと
そんな言い方ではなにも
嗚呼そうかその間にも
時の粒は出血しゆく
ただ空はつめたく
きりりと青いよ
脈はあかいよ
心臓は象牙
目玉は虹
色相球
ただ
了
。
百足
連綿とあしをながす百足
うつくしいか醜いかと
考える間もなく此の
いのちもまた百足
そのものだろう
化身した肉片
不動明王の
天地眼を
あまく
受く
了
。
林檎
林檎のかじりあとに生の痕跡
あるいは君の装いに巴や卍
皺の様にきざむ刃痕にも
糸をつむいで糸をきる
まあかい果を落とす
重力や意思が働く
果皮をきらきら
むき剥がして
象牙質の牙
沈めつつ
明暗を
測る
了
。




