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「だれのための物でもない木が、僕のあしのあいだで美しく呼吸する」
だれのための物でもない木が、僕の
あしのあいだで美しく呼吸する。
皮膚のそとの時間が、僕の、
皮膚のなかの時間を削る。
人妻のあしを舐めたら、
あしのあいだには顔、
美しい木に似た顔
、それが部屋の
まんなかで
、笑う。
硬い
眼
硬い
芽と肉
木の肉が
神さまの泉
よりも澄んで
輝いているよ。
部屋はさむいね。
赤信号がにんげん
をしばったりして、
青信号がにんげんを、
しなせていくね、この
部屋の木や顔と同じ一日
のまんなかで。営業メール
、法規、にごった川、皮膚の
そとがわにながれていくことは
僕の木に殺鼠剤をむすんでいく。
だれの物でもない木を僕はさわる。




