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「靴」
靴
わたくしは道をあるいているよ
道の名前はない否あるのかも
だが知らないそれで良いよ
靴を履いているが靴にも
名前はないそれで良い
靴は裸でかわいそう
わたくしのいたみ
君が受けている
きよらかな羊
傷だらけの
もう一人
の自己
蝶々
夢
反転
地球儀
サイズ感
かんたんな
自己同一性の
ものがたりさえ
わたくしには難儀
名前がないわたくし
すりへらしていく靴の
さけびごえは耳にはない
名前がない道の亀裂のいろ
それはあかぐろいマグマだし
道のしたには無名の土があえぐ




