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「毬」
毬
むりなくねむりしないでねと月がひかる
ふりきっていく今日は硬く靴の中の石
はいいろのみちを靴であるいていく
オンナは毬のあるまるい球みたい
うつくしゅう銀色にわたくしを
つきさしてつきはなし雨模様
模様は複雑な感受の装飾を
やわらかい皮膚に刺した
わたくしは血をながし
それは昼間の月同様
だれにもみえない
雨模様の部屋に
月があるんだ
ひらかれて
ひかる傷
傷は銀
銀の
傷
キス
常緑樹
嫦娥の膚
すべりだす
ひかりのかげ
無風地帯にいて
無血革命をのぞむ
痛覚や不和さえをも
わたくしは描くだろう
それは昼間の月同様の線
だれにみえるともない線で
ことによるとわたくしにすら
みえないのかもしれないけれど
はいいろのみちに靴をおいていく
はいいろのみちを靴であるいていく
ふりきっていく明日は柔い靴の中の石
むりなくねむりしないでねと月がひかる




