ここでもサヨは強かった
「【龍機械娘 サヨ】は相手のカード効果を受けない!」
「なにぃ!」
自分でもこの効果はおかしいと思う。
「【龍機械娘 サヨ】で敵のキャラクターに攻撃!」
どこからともなくガトリングが出現し【歴戦の戦士】を吹き飛ばす。
4枚もコストにするのか威力が高い、おかげで相手の体力がのこり12点になった、強くね?
「さらにトリガーカード発動!」
「まだあるのか!」
なんか後に引けない感じがしたので一気にたたみかける。
「【マイナーチェンジ】発動、この効果により【龍機械娘 サヨ】をデッキに戻して【龍機械娘 サヨver.1.2】を召喚!」
自分で出しておいてなんだがver.1.2ってなんだよってなる、再び召喚されたサヨは見た目に一切変化がない。
「【龍機械娘 サヨver.1.2】で攻撃!」
相手は自分を守る物が無いため【龍機械娘 サヨver.1.2】の攻撃点をダイレクトに受ける、これで相手の体力が0になり勝利できた、いつの間にか手札とか場のカードとかがデッキに戻っていた。
「さぁ、お前が負けたんだからデッキをよこしな」
「クソっ!」
男がデッキを取り出し僕に投げつける、散らばらずに一塊の状態で手に収まった。
カードゲームの勝敗でなんでも決まるような世界だからこそ威張れる、周囲には負けた男に対する同情の視線はなかった、どちらかというとかわいそうな物を見る目だ、カードゲームに負けただけでこのざまである、事前にルールを覚えてきたから良かったものの、完全初見だと、サヨは奪われて人としての尊厳すらあったかも怪しい。
本当にあの人に感謝しなければ…。
「たとえ勝負に負けたとはいえ、デッキまるごとはおかしいんじゃあいか?」
野次馬の中から13歳ほどの少女がいちゃもんをつけてくる。
「これは互いが合意の上で行った、無関係のあんたが首をつっこむ物じゃない」
よく見ると、いや見なくてもやたら目立つ髪型と髪飾りをしていた。
「だからって人の魂とも言えるデッキを奪うなんて…」
「仕掛けてきたのはこの男だし、この男は僕の魂そのものを奪おうとしていた」
「だからってデッキなんて」
「じゃあ君は僕の魂を奪われても問題ないと?」
「それは…、ええい勝負で決着をつけてやる!」
「反論できなくなったら力でねじ伏せるんだな」
「うるさい、お前も構えろ!」
「じゃあ、君は何を賭けるんだ?」
「え…」
「一応もうこれは僕の物なんだよ、君が勝ったらこのデッキを元の持ち主に返す、じゃあ僕が勝ったら、君は何をくれるんだ? まさか何もないなんて事はないよね、それじゃあ勝負にならないからね」
「ううぅ…だったら私も私のデッキを賭ける!」
「御嬢さん、俺のためにそこまで…」
完全に自分が悪者みたいになってるんだが。
「ストップストップ、さくらちゃんそんな奴にデッキまで賭ける必要がないよ」
突然現れた青年に勝負を中断させられる。
「カイト、でもこいつが…」
人に対して指を指すのはどうかと思う。
「こいつじゃありません、この人が最後に使っていたカード覚えてる?」
「そりゃあ覚えているよ、めっちゃ強いカードだった」
「おそらくだけどこの男はその強いカードを勝負して奪おうとしたんじゃないかな?」
「え?!」
さっき自分でもいったんだがなぁ、自分の言葉は信じられないんだろうな。
「だからその人は自衛のために勝負した、そうだよね」
「そうだな…」
「そうだったのか…」
カイトという青年のおかげで少女の暴走は鎮火された、てかこの青年と少女が話の主人公とヒロインに見えなくもない感じがする。
2人の空間が形成されつつあったので、ギャラリーもこっちを向いていなので退散させてもらった。
そういえばこの腕にるいているタブレットっぽい物はいつの間についたんだ、サヨもカード化してるし。
考えても答えがでないので、考える事を放棄する。
幸いな事に仕事の拠点に使っている日本のお金がこちらの世界で使えたので、自動販売機で飲み物を買って適当にベンチに座り休憩する。
そういえばこの世界で何をすればいいのだろう、担当の人がカードゲームばかりに注目して結局、仕事の内容がよく分からないまま飛ばされた、そういえば前回の仕事も目的があったような無かったような…。
「ねぇ、君さっきの勝負すごかったね」
いかにも優男風な12歳くらいの男の子が話しかけてくる、あぁそうか、作品自体が子供向けで制作されているから、登場人物も必然的に年齢が下がるのか。
「あぁ、どうも」
ここで気の利いた返しができないのが僕クオリティ、もとい普通に目の前の少年は僕よりかは賢そうだった。
「君はそのカードをどこで手に入れたのかな?」
初対面の年上に向かってその話し方は無いと思ったが、もう会う事はないと思うので適当にあしらう。
「気づいたらあったよ、僕の魂さ」
「へー…」
すごくキラキラした目で見つめてくる。
「すごいや、子供しか選ばれないハズなのに君も選ばれたんだね!」
この少年が何を言っているのか待ったく分からなかった。




