行きつく先はシンプル
「まぁ、いろいろありまして…、それよりその体はどうしたんのですか?」
「きみたちは本当に来たばかりなんだね、この世界には性別がないんだ」
「え、でも今の姿…」
「性格には生まれついての性別がないってことさ、この世界の人間はペアになった人間の片方が女性にもう片方が男性になるのさ」
そんな世界もあるんだ。
「もちろん、ペアにならなくも性別事態を変える事はできるさ」
「何か、便利?な世界ですね」
「便利…ねぇ、うん、まぁそうかな…」
「あれ、そういえば私に対して何か言ってませんでした?」
「あぁ…、この世界はほとんどの人間が男性に姿をしているんだ」
確かに1つの村しか見ていないが男性が多かったような、そんな気がする。
「ま、この辺だと単純に力仕事が出来るからだな、この辺で女の姿をしているのは身ごもっているヤツくらいさ」
サヨが勢いよくこっちを振り向いたあとに下腹部を見る…、そしてまたこちらを見る。
「初手から嫁がいるからこの世界の仕様に気が付かなかったんだろう、もしかしたらお前の嫁がいなくなったらお前が女になるかもな」
「私は絶対に離れません!」
「それがいいよ」
…それ以前にこの世界の人間じゃないので多分性別が変化しないと思う。
「さて、困った元に戻れないな」
落ち着いたのかたゆっくりと立ち上がる。
「え、じゃあ」
「そういう事らしい…、もともと僕…私は野垂れ死にかけた所を助けてもらった身さ、立場は下の下、以下だよ」
「だからさっき」
「あぁ、筋力でも勝てないしね、だから炊事や野草採取をやってたさ」
「それでも自分達をかばってくれたんですか」
「うん、まぁペアになってるしもともと村の外面はいいからね」
「お、ま…、えら」
後ろで麻痺させられていた男が声を絞り出す。
「あ、忘れてた、てか効きすぎじゃね?」
「え、でもそんなに強い麻痺にさせた覚えがないけど」
「あ”あ”あ”あ”アアア"ア"ア"ア"ア"ッッッッ!!!!」
男は口から人が出せないような悲鳴と黒い煙を吐き出し、だんだんと干からびていく。
「え、この世界の人って死ぬとこうなるの?!」
「いや、こんな死に方は…ウグ」
「え、大丈夫ですか」
下腹部を抑え込み苦しみだす。
「あれは取りつかれてたな、さっきの麻痺攻撃で中のが死んでついでに道連れされていたな」
「取りつかれてるって」
言いかけて詰まる、しかし首を振りボソボソと発する。
「…インキュバス」
「は…」
「…この世界の人間は簡単に性別を変えられるせいかしらないが、他の世界より魔物になりやすいんだ、おそらくだけど、その証拠にこの世界に現存する有名な魔物の2割は元々人間と言われているほどだ」
「…マジっすか」
「アレにされたってことは…、私もあの種族になってしまうらしい、グッ…、どれだけ盛っていたんだか…」
立っていられないようで、うずくまる、いつの間にか下腹部が大きく膨らんでいた。
「魔物になってしまうと…人格が変わってしまい、その人では、なくなるらしい…私が、私じゃあなくなる前に、最後にお願いがある…」
「なんですか…、出来るかぎり協力しますよ!」
「ありがとう…、醤油を、舐めさせて欲しい、できれば焼いた魚にかけて食べたい…」
「サヨ!」
サヨはその一言で理解したのか一瞬で動き、音もなく川で魚を数匹捕まえ、口から火を吐き、一気に焼き上げ転生者に渡す、自分は醤油の蓋をあけペットボトルごと渡す。
「ありがとう」
焼き魚に豪快に醤油をかけ、思いっきりむさぶりつく。
「グウウゥゥ!!」
爪が伸び、翼と尻尾が生えてもなお焼き魚を貪り続ける。
「ウウゥゥゥゥゥゥゥッッッッッ……うまい!、……あれ」
見た目はすでにサキュバスの姿だめっちゃエロい、しかし理性などが普通に残っているようだ。
「あれ、おかしいな……、以前に魔物になった人がいた時は完全に理性が蒸発していたんがだ……、あ私の転生特典ってもしかして魔物化しても理性を保っていられること、なのか……、あ醤油」
適当に持っていた、既に中身が半分以上無くなっている醤油を大切そうに持ち返る。
「すまん、めっちゃ使ってしまった…」
「い、やぁ…、助かってなによりですよ」
「とりあえず、数人がこちらに近づいてきます」
気まずくなっていた雰囲気をぶち壊してくれて助かった、そりゃあんな絶叫してたら気づくわな、おそらく異変に気が付いて複数人で様子を見に来たのだろう。
「また迎え撃つ?」
「サヨ、複数人が来たら殲滅するという考えはやめなさい」
「はーい、でもどうするの?」
「逃げの一択でしょ」
「それに賛成だ」
もともと広げている物もなかったのでサヨにつかまりこの場から早々に立ち去る、転生者を襲っていた男の死体はそのままにしておくことにした、これであの男が魔物になって暴れまわったという事になって早々に解散になるだろう。
「そういえば名前、どうしますその姿になったし改名した方がいいのでは…?」
「そうだな…まおいおい考えるよ」
こうして僕の任務は終わった、報告内容は「問題なし」だ、サキュバスになった転生者の物語は始まったばかりだし、今後の事は僕たちの管轄外なのである。
「はい、おつかれさまでした」
本当になんの前触れなく移動するこのシステムは改善した方が良いと思った。




