お約束の塊
前回の仕事から数日後に呼び出しがあったので馳せ参じるといつもの部屋には玩具が大量においてあった。
「またおもちゃ系の世界ですか?」
「いやぁ今回はおもちゃというより特撮の世界ですね」
「ニチアサってヤツですか?」
「……そんな感じですよ、ココにあるのはその変身玩具ですよ」
確かに玩具をよく見ると見た事ような形状をしている。
「今回はこの変身ヒーロ―の世界に転生した人の所に行ってもらおうかと思います」
「その変身ヒーローって最終回まで終わっているんですか?」
「ずいぶん前に終わってますね、なんなら変身アイテムも何度かリメイクされているのでこんな数になってます」
「確かに同じようなアイテムがありますね」
「でも今回行く世界はまだマシですよ、作品によっては変身アイテムが大量にあるのもありますからね、この部屋に入りきるかどうか……」
「そんなにあるんですか?」
「さすがにアレは当時多数の親子が争奪戦に参加していましたねぇ」
それを語る瞳はどこか遠くを見ていた、もしかして争奪戦に参加したのだろうか……。
「とりあえずその変身アイテムは行く世界で本物として出てくるからある程度予習してから行きましょう、タイミングはそちらに任せます、何ならしばらく遊んでいてもいいですよ」
お言葉に甘えて丁寧にあつかいながら遊んでいく、サヨもガチャガチャできるのがお気に入りらしい。
「さて行きますか」
一通り遊び尽くして満足したのでさっそくその世界に向かう。
異世界に到着すると大きなビルの裏路地的な所で都会で人の視線に映らない所にいくにはココしかなかったのだろう、遠くの方からパトカーのサイレントが近づいて来る音が聞こえてきた、この世界は日本がベースになっているので何かしらの戦闘行為はしない方がいいだろう。
野次馬になるためにサイレンがなる方向へ向かう、人々がすれ違って行く、悲鳴を上げる人をかき分けて進んでいくと怪人と恐らく変身ヒーローが戦っていた。
変身ヒーローの方は確か一番最初の形態だったと思う、怪人の方は玩具でしか知らない自分にとってはどのタイミングで出てきた敵かわからないので渡り合えるかは分からない。
しかし見ている感じ怪人が優勢でヒーローの方は押されているようだ。
しばらくすると警察が到着し変身ヒーローと怪人に対して発砲を仕掛ける、どうやらこの世界では怪人と変身ヒーローの区別が無いらしく、2体とも攻撃を受けており、怪人の方は撤退していき、ヒーローの方も武器を爆発されて近くに避難していった。