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ユーニスの長い旅  作者: 高槻創
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プロローグ

初めて小説というものを書いております。創作というのをしてみたかったんだよ


ちょっと出だしがアレだなということで根本的に改稿です。

 ここはアルムの街より南に3日ほどの森の中。

 アルムからやってきた5つの冒険者のパーティは、その先にあるオークの営巣地攻略のための会議を行っていた。

 「ハイメとキリアが偵察から帰ってきました。どうやら予想以上に大きな集団のようです。」

 説明しているのは今回のオーク討伐隊の指揮を任せられたテレサパーティのリーダー、テレサ=メイベル。

 アルムの領主の長女であり、この世界では珍しい貴族の冒険者だ。

 上品に設えられた皮鎧にミスリル製のプレートアーマーパーツで要所を守り、銀色に輝くミスリルの剣と同じく耳に輝くミスリルのイヤリング。華美に偏らず、むしろシンプルに抑えることでこの少女のブロンドの髪色と碧眼を引き立たせていた。

 「集落の回りには木製の柵があり、柵の中には櫓が二つ。奥は岩場で洞窟があり、恐らくその洞窟がオークたちのねぐらとなっているようです。オークの頭数に関しては洞窟があるため未確認。ギルドの報告より少ないという事はないでしょう。」

 一息ついて会議のメンバーを見まわすテレサ。集まっているのは各パーティのリーダーたちだ。聖職者レイラ、テイマーのエリック、弓師マリナ、剣士リノ。他のメンバーはそれを遠巻きに眺めている。

 「それでは作戦を説明します。櫓は上部に3~4頭ほども登れるもので、攻撃の拠点ともなり得るものです。弓や魔術を放たれる可能性がありますので、まずは櫓を落とします。その後、正面の柵を突破して集落内の広場に突入し、あとは各パーティごとにオークを殲滅するという事で良いですか。」

 シンプルだが格下相手なら十分とも言える、相手が普通のオークだけならば。

 だが気になるところがある。レイラは問う。

 「今回はオークロードの存在が予想されています。数も解らない状況で、パーティを分散させるのは危険では?」

 「オークロードに対しては臨機応変に対応するしかないでしょう。もし居れば、ですが。」

 

 しばし考えたレイラは、「ではもう少し数を減らして様子を見るのかいかがですか?」

 「私たちのパーティで柵を突破し、突入します。その後一旦敵を引き連れて柵の外へおびき寄せます。外に出てきたオークを皆でたたき、数を減らしつつ相手の出方を伺ってみるのはどうでしょう。」

 

 ここまで来て焦る必要が無いのは確か。そして今回の攻略メンバーの中で、リノのパーティは経験も浅くオークに囲まれると危険が無いわけではない。冒険者の安全を考えるのも指揮官の役割ですわね。テレサはそう冷静に判断すると、

 「では遠距離攻撃で櫓を攻略した後にレイラのパーティで柵を突破し、オークたちを釣り出してもらいましょう。釣り出されたオークを皆で殲滅後、改めて突入の指示を出します。それでよろしいですね?」

 「はい」と答えるレイラとリノ。

 「オレっちのレプトルたちは狭いところが苦手でな。柵の中で暴れさせるがいいか?」とエリック。

 そしてマリナも「私の弓も洞窟より外が良いな。」

 「ならば広場の方を殲滅後、エリックとマリナのPTは広場に残って洞窟から出てきたオークたちを殲滅してください。他の3パーティはそれぞれ洞窟内の掃討という事にしましょう。」

 「了解した。」「ういーす。」とマリナとエリック。

 

 「レイラ、初撃はあなたのパーティの魔術師の奴隷に左側の櫓を任せます。」

 「はい、ローズにやっていただきます。」あえて名前を強調して返答するレイラ。レイラにとってパーティメンバーは奴隷ではないということを態度で示しているのであろう。だがテレサはそれを意識することなく、

 「右側の櫓は私のパーティのエルネストと、あとマリナの弓で撃ち落とします。マリナもお願いしますね。」

 「ああ、櫓そのものは落とせないが、上に居るオークは落として見せよう。」

 

 オークの営巣地、そこは既に砦という風体を示していた。

 組み合わされた丸太で作られた柵が周りを取り囲み、櫓が左右に二つ。

 見張りと柵の外への遠距離攻撃の場所としてあるのだろう。

 柵の手前側は木が切りはらわれ、草地となっている。

 あちこちに切り取られ打ち捨てられた枯草の山があった。

 柵の外側の障害物を取り除いた防衛ための陣容なのだろう。

 

 初劇の魔術師二人がそろりそろりと草陰から近づく。マリナはそれより後方の木の陰から右の櫓を狙う。

 距離はあるが、A級冒険者のマリナならば狙える範囲だ。

 それぞれの櫓には2頭ずつのオークが上がっており、周りを見渡していた。

 魔術師二人が目線を交わし、同時に詠唱を開始する。そして後方ではマリナが弓を引き絞る。

 

 「劫火!」「炎弾!」二人の魔術師がそれぞれの攻撃魔法を飛ばす。

 左側の櫓に飛び掛かる劫火の魔法。青白く光るその球体は驚くオークの足元に着弾し、櫓を爆散、炎上させた。

 同時に右側へ飛ぶ炎弾は赤く燃える炎の塊。劫火よりも大きなその炎の塊がゆっくり櫓に近づくと、オークたちは慌てて櫓の上から逃げ落ちようとする。そこに狙いすまされた矢が突き刺さる。2頭のオークはそれぞれ頭に矢を一本ずつ受け、そして炎の餌食となるのだった。

 

 「よし、レイラパーティ、突撃!」

 テレサの号令でレイラパーティから、ハーフオーガの奴隷剣士ソーゴが柵に接近。初劇後すぐに詠唱を開始していたダークエルフの奴隷魔術師ローズがファイアバレットの魔法をソーゴ前方の柵に打ち込み、突破口を開ける。

 ソーゴはそのまま柵を突破、「ぅおおおおおおお!!」と声を上げる。

 突然の魔法攻撃にざわつくオークの営巣地。突入して叫ぶソーゴを見てオークたちは攻撃の的が目の前にあることを理解した。

 「ぶぼおぉお」とあちこちから上がるオークの雄たけびでさらに騒然となる宿営地の中で、迫りくるオークをソーゴは見惚れるような剣劇で次々に斬り飛ばす。周りに飛び散るオークの血煙、それが更なる興奮をオークたちにもたらし始め、た頃、潮時とばかりにソーゴは宿営地から脱出し走った。

 ソーゴの背後に殺到するオークたち、しかし宿営地から柵を超え外に出てきたのは僅か3頭。

 「ちぃ・・・」ソーゴが唇を噛む。

 「少ない・・・」誰しもがそうつぶやき疑問に思うものの、皆その目の前の獲物に視線を集中し、狙いをつけていた。

 

 あまりに少ない獲物、弓師マリナは自分の攻撃の必要はないと判断し、ふと先ほどまで狙っていた櫓に視線を移す。そこで奇妙な違和感に気づく。燃えていたはずの櫓の火が消えているのだ。そして櫓に登るオーク達。

 「オークが櫓に登っているぞーっ!!」

 大声で注意を喚起する。同時にそのオークを再び狙い始めた。

 

 3頭のオークに殺到するそれぞれのパーティの近接職たち。

 仕掛ける丁度そのタイミングでマリナの声が響く。

 「なんだってんだ!?」最後尾だったリノが思わず反応する。

 

 それを少し離れたところで観ていた後衛職たちは、一瞬目を離してオークの宿営地の方向を見た。

 そして宿営地から次々と上がる魔法の火と矢に気づいた。

 恐らくそれを見た者の中で最も速く反応したキリアが叫ぶ。

 「敵襲!! 矢と火。めくら撃ちだよっ!!」

 

 「くそっ、ペドロ、防御だ!」「任せろ」テレサパーティの剣士と盾職がその場で体制を変更し、遠距離攻撃に対応しつつオークを迎え撃つ。他のパーティでもその辺りの連携は問題ない。もともとオークの3頭に対しては過剰戦力なのだ。まだ余裕がある。

 

 だがしかし、魔法の火がそこらじゅうの地面に着弾してもともとあった枯草が派手に燃え上がると、煙で一気に視界が悪くなった。

 「これ、まずいんじゃない? もしかして元々これを狙ってたのかも。」とキリアが周りを見回す。

 「ローズ、煙を飛ばしてください」とレイラが指示を出し、ローズが風魔法の詠唱に入る。

 

 3頭のオークに対応していた前衛職たちは問題なく次々とオークを倒していた。

 「こいつら、死兵だっていうのか?」めくら撃ちの矢が時折飛んでくる中での戦闘、だが密度は薄い。

 「所詮オークだ、連携だっていうほど・・・」と言いかけた時、

 「きゃああああああー!!」若い女の悲鳴が煙の背後から響いた。

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