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支援術士「せやっ!! 勇者パーティー追放されたろっ!!」

「おい勇者っ!! 今すぐこのオレを、パーティーから追放してくれっ!!」

「断る」


「な……何故だっ!?」

「俺はむしろ、何故そこで心底衝撃を受けた顔を出来るのかが知りたい。まあ、お前の奇行は今に始まった事じゃないが……取り敢えず支援術士よ、落ち着け」


「落ち着いたっ!! さあっ!!」

「身を乗り出して話を催促する奴は落ち着いてねえんだよ。……まあ良いか。それでお前、何を唐突に『追放してくれ』なんて言い始めたんだよ?」


「それがな、ちまたで『パーティーから追放された奴は人気が出る』って言う話を聞いたんだよ」

「うん、いきなり話の全貌が見えたわ」


「……つまり、オレもこのパーティーから追放されれば、一躍いちやく人気者になれるって寸法よっ!! どうよっ!?」

「要するに、流行に乗っかりたい訳ね……」


「おうっ!! ……おい、何だよっ!! 悪いのかよっ!?」

「いや、何も言ってないんだが……」


「嘘だっ!!」

「何をセミがカナカナと鳴きそうな頃風味に言ってんだ……」


「どーせお前も『まーた安直に流行追っ掛けてる奴現れたわーカッコワライ』と

か、『はあーあ、もうNIPPONの文芸は死んだわーカッコワライ』とか、

『ああウチんとこ、そーゆー軽薄な流行もの排除済みなんでーカッコワライ』と

か言って、オレを馬鹿にするつもりなんだろっ!? でもって、まるっきり無関係の場所や話題であっても、二言目には『まるで昨今のラノベみたいだわーカッコワライ』とか言い始めるようになるんだっ!! そうなんだろっ!?」

「唐突に追放のおねだりを始めたかと思えば、訳の分からん被害妄想に突っ走るとか……。お前は一体、俺に何をして欲しいんだ……」


「……違うのか?」

「取り敢えずは暇な時間にでも、皆様のお手元の機械に『野球害毒論やきゅうがいどくろん』と検索入れてみ? 今も昔も変わらぬ人々の営みが垣間見えて、とても温かな気持ちになれるぞ」


「キカイ? ヤキュウ? ……勇者よ、何を言ってるんだ?」

「お前さっき"NIPPON"て単語ブチかましてたよな? 何を今更アリバイ作りめいた『世界観守ってます』アピールしてんだ。


 ……まあ要するに、新しく登場したものや流行に対する批判は、人の歴史における一種のテンプレって事だ。野球の話も分かりやすい一例ってだけで、特殊な事例って訳じゃない。"互いに死傷する危険が常に付きまとう"木刀での打ち合い稽古(けいこ)が剣術界の常識だった時代、『防具を着けて竹刀で打ち合う、安全で画期的な稽古方法』を実施した剣術の流派が、当初は『邪道』呼ばわりされていたって実例もあ

る。


 ……こう言ったところで適当に耐性付けとくと、色々とはかどるぞ?」


「うむ、分かったっ!! 耐性付いたっ!! ……じゃ、早速追放だなっ!!」

「いや、しねえよ?」


「何故にっ!?」

「何故にって……そもそも俺達には、お前を追放しなきゃならん理由がどこにもない。お前の人気取りのために、俺達が戦力低下を呑まなきゃならん道理もない。従って追放しない。お前には、今後も我がパーティーで活躍して貰わにゃ困る」


「いやだって、オレは支援術士なんだぞっ!? "支援しか"出来ねぇんだ

ぞっ!? そこは『戦闘力皆無の役立たず』ってレッテル貼り付けた上で追い出すもんじゃねーのかっ!?」

「代わりに、支援魔法で俺ら三人の戦闘力を強化してくれているじゃねーか。"支援による戦力の底上げ"は、立派に役立つ能力だ。自信持って良いぞ」


「いや、だけどよっ!! そこは支援って概念を軽視して、直接的な戦闘能力だけで判断するのが筋ってもんだろーがよっ!!」

「知るか、そんな無理筋。実際に戦闘中、お前の支援魔法を受けてる俺から言わせりゃ、素の状態と比べて明らかに調子が違うんだよ。動きも軽いし、剣を振る時の感触も力強い。……そう言やお前、こないだ俺が魔物から攻撃受ける寸前に防御強化の魔法掛けてくれたよな? あれのおかげで、致命打を避ける事が出来たよ。あん時は助かったぜ、サンキューな」


「手前ぇっ!! 何を仲間の功績ばっちりチェックした上で丁寧に労ってくれてんだよぉっ!!」

「初のシチュエーションだわー。仲間の働きに感謝したら、胸ぐら掴まれてマジトーンの激昂されるとか、俺の人生で初めて出会うシチュエーションだわー」


「そこは俺の働きや能力にまるで気付かないって場面だろうがぁっ!!」

「つってもな。何しろ俺らは"四人"パーティーだぞ? たった三人分の能力すら把握出来てないって、お前は俺をどんだけ無能なリーダーだと思ってるんだよ。こっちは命懸けで"魔王討伐の旅"やってるんだぞ? むしろ、仲間の能力をしっかりと把握した上で、それぞれに適切な働きが出来るように計らうのが普通だろ?」


「ぐぅ……っ!!」

「そもそも、だ。この旅に出る際、お前をこのパーティーにスカウトしたのは俺なんだぞ? お前が支援術士、つまりは『支援魔法が取り柄』なんだって事を知った上で、その支援魔法による活躍を期待して仲間に入れたんだ。その上で、お前は俺達が要求している働きを十分にこなしている。……なのに、何でお前を役立たず扱いせにゃならん?」


「ぐぬぬぅ………………あ」

「露骨に『良い事思い付いた』って顔してんなー」


「だけどよっ!! お前らの強さは、もうオレの支援魔法なんて不要なレベルだ

ろっ!? お前らだったら、例えオレがいなくなっても十分に魔物達と渡り合えるはずだっ!!」

「良くもまあ活き活きと、自分が不要な存在だってアピール出来るな……」


「それにオレらのパーティー、前衛がお前一人、後衛がオレと魔術師と治癒術士の三人だっ!! 戦力バランスちょっと悪くないかっ!?」

「ふむ……」


「あ、ちなみに魔術師と治癒術士の出番はないからなっ!! 従って設定とかは全く考えてないっ!! 休み明けのたわわからエターナルナイペッタンまで、各自の脳内で好き勝手に補完してくれっ!!」

「キャラメイク対象が胸だけっておかしいだろ。しかも好き勝手と言いつつ、自動的に性別は女って事になってるし」


「話戻すぞっ!! ……その内、魔術師は魔法攻撃役として超重要っ!! 治癒術士は回復役として不可欠っ!! ……なら後衛で一人外すとしたら、オレ以外にないっ!!」

「ふんふん」


「オレの支援魔法がなくってもこのパーティーはやって行けるんだし、いっそオレを追放して代わりに前衛を一人追加するんだよっ!! そうすりゃ『前衛二人、後衛二人』の好バランスなパーティーの完成だぜっ!! ……これでどうだっ!?」


「……まあ、一理あるな。戦力的に今のままでも十分ではあるが、確かに前衛が二人になれば俺も随分やりやすくなるだろうな……」

「イエスッ!! 良い流れっ!!」


「……けどそれだったら、前衛を一人増やして"五人"パーティーでやって行きゃ良いだけだろ」

「あるぇ――――っ!? 何この流れっ!?」


「そもそもだな。何故お前はパーティー人数を"最大四人まで"だと思い込んでいるんだ?」

「えっ!? いや、だって大抵四人じゃんかっ!?」


「"大抵"なだけだ。……確かにパーティー人数を不必要に増やしても、戦闘の効率はそこまで上がる訳じゃない。仲間と連携して闘うって事は、つまり"仲間の都合を考えて動く"必要があるって事だ。場合によっては、自分の都合を抑えて相手の都合に合わせる必要だって出て来る。例えば『攻撃魔法を敵に叩き込む機会があったとしても、仲間の攻撃を阻害しないために控える』……とかな。


 人数が増えれば総合的な戦力は確かに上がるが、その分一人一人が一〇〇%の能力を出しづらくなる。単純に"人数が二倍なら、戦闘力も二倍"になる訳じゃない。


 その一方で、旅に必要な食料や水、燃料なんかの物資は、人数が増える毎にどんどん増えちまう。あんまり仲間を増やし過ぎると、戦力増強のメリットより、兵站面なんかでのデメリットの方が目立っちまうんだ。少人数での旅を想定するなら、確かに"パーティーメンバーが四人"ってのはそれなりにバランスの取れた人数なんだ」

「おっ、良い流れ復活っ!!」


「……が、四人から五人に増やす程度ならデメリットが特に問題にならない一方、メリットは十分だ。考慮に入れる価値は大いにある」

「良い流れ無慈悲に切断っ!?」


「あ、ちなみに大規模な戦争とかになると、"人数こそパワー"な面も大きくなるんで、そこんとこはヨロシク。

 ……要するに"メンバーを一人増やす"事と、"お前を追放する"事には全く因果関係がない。『いなくてもやって行ける』だって? お前がいれば俺達の戦いはもっと楽になる。"必須"でないだけであって、それを世間一般的に"役立つ"と言うん

だ」


「そ、そこはお前特有のろくでなしっぷりを発揮すりゃ良いだけだろっ!! ほ

ら、例えば『自己中心的な考えで他人の働きをまるで評価しない』とか、『優れた才能を持つ支援術士をやっかんで、おとしめようと企んでいる』とかさっ!!」


「お前は俺を何だと思っていやがる。……OK、十歩譲ってその前提を受け入れてやろう。俺はろくでなしのたぐいだ、そう仮定しよう」

「おうっ!! お前はろくでなしの類だっ!!」


「……でだ。そもそも何でお前は、"俺みたいなろくでなし野郎がリーダーを務めるパーティー"に入ろうと思ったんだ? 今の今までパーティーに所属する事にこだわって、行動を共にし続けて来たんだ? 普通ならもっと早い段階で愛想が尽きるだろうし、その時は適当な理由くっつけて自分からお別れを言って、別のパーティー探すなり何なりした方がお前にとってよっぽど建設的なんじゃないか?」


「あべしっ!?」


「もちろん、メンバーに抜けられる事はパーティー全体に影響を与える。戦術や方針なんかを変更しなきゃいけないからな。だからお前が『抜ける』と言い始めた場合、引き留められる可能性はある。……が、そこで引き留める程度にお前の価値を認めているリーダーが、何で後になって"ろくでもない理由"で追放するんだ? 他のメンバーは何故そんな暴挙を許すんだ? 一体、どう言う事情の変化があったんだ?」


「ひでぶっ!?」


「まず、俺らの場合で考えよう。勇者である俺は、魔王討伐の任を国王陛下から下され、旅を続けている。旅を成功させるには、パーティーの戦闘能力だけでなく、良好な人間関係や仲間同士の綿密な協力関係、言い換えれば"コミュニティとしての強度"にも気を配る必要がある。それに、俺達の旅には大勢の人々の運命が関わっている。これは、俺達だけの問題じゃないんだ。


 だからこそ、メンバーにはある程度の"拘束力"が発生してしまう。一時的な同道とかならともかく、個人が好き勝手な理由で、軽々しくパーティーに入ったり抜けたり追い出したり……なんてのは許されない。もちろん『身体や心に大きな傷を負った』とか、『大技習得のために長期間の離脱が必要』とか、相応の理由があれば話は別だが。


 ……そう言う訳だから、もしもお前が抜けると言った時、俺は可能な限り引き留める。その上でお前の話をじっくり聞いて、お前がパーティーを抜けたがる原因の解消に務める。全ては、コミュニティの強度を守るために。そして当然、リーダーである俺自身にも仲間達からの"拘束力"が発生する。『ろくでもない理由で追放』なんて、軽々しく出来る訳がない。間違いなく、魔術師と治癒術士から止められるだろう。ろくでもない理由とやらでそれを押し切り、お前を追放出来る程の権限なんぞ俺は持っていない」


「たわばっ!?」


「それだけじゃない、俺は"民の目"も意識する必要がある。何しろ、世界のために戦っているんだぞ? 必然、人々からの注目を浴びるし、普段からの立ち振る舞いにも注意しなければならない。演技するにしても、限界ってもんはあるんだぞ。少なくとも、完全に本性を隠し通すのは相当に難しいだろう。


 そんな環境下で、下手に『ろくでもない理由で仲間を追放』なんてすりゃ一体どうなる? 大ヒンシュクを買って、俺や俺を送り出した陛下の評価を下げる事に繋がる。悪評がたたって、道中人々からの必要な支援を受けられなくなるリスクを負うかも知れないし、ひいては肝心の魔王討伐に盛大な悪影響を及ぼすかも知れない。それが原因で討伐に失敗、人類は衰退しました……なんて事になったら、目も当てられない」


「うわらばっ!?」


「また、そもそも何故国王陛下は、そんな『ろくでなし野郎』を勇者に指名したんだ?

 何しろ、魔王討伐って言う一大事業を任せるんだぞ。当然身辺調査は行うだろうし、人格面も対象となるだろう。高い能力はもちろん、まともな人格の持ち主を選ぶのが筋ってもんじゃねーのか?


 一方で実際の俺は、"生まれついての才能によって勇者になる事を宿命付けられた"系だ。いわゆるチート持ちだ。一体どんな法的論拠があるのか知らんが『悲劇的ならセーフ、そうじゃなきゃ卑怯』と判断される、やろうと思えば短編一本分の指摘が書けるんじゃねーの、ってレベルで突っ込みどころ満載な謎の批判を受ける立場だ。


 だから例え人格的な問題があったとしても、俺は討伐役に選ばれていただろう。そもそも選択の余地がないからな。……が、その場合、例えば陛下は『お目付役を同行させる』なりの対策を打つ事だろう。場合によっては、何らかの手段で俺の行動に制限を設ける事だってあるかも知れん。その状況で俺が『ろくでもない理由でお前を追放』するなんて言い始めたら、お目付け役は断固としてそれを阻止するだろうな。少なくとも"人格に問題の認められる勇者"に対し、好き勝手させる権限をホイホイ与える道理なんてあるはずがない」


「あわびゅっ!?」


「次に、ダンジョン探索のために結成したパーティーの場合で考えよう。その場

合、大抵のパーティーメンバーはフリーランスの集まりだ。あるいは"ギルド"と言う超巨大コミュニティの一部だ。いちパーティー単位で見れば、そこまでコミュニティ強度を重視していない奴らだって珍しくないだろう。一回限りのパーティー結成だってあるだろうし、自分の都合だけで入ったり抜けたりも許容されるかも知れない。『ろくでもない理由』で追放するリーダーだっているかも知れない。


 その場合こそ、ちょっと前に言った通り適当な理由でさっさと自分から抜けりゃ良い状況だ。ろくでなしリーダーに対し、追放を言い渡される瞬間まで忠誠を誓い続ける理由が分からない。そして、人格に問題ある奴の元にろくな人間が集まるとも思えん。最終的にパーティー自体が瓦解するか、ろくでなし集団が出来上がって周囲から敬遠されるかのどっちかに落ち着くだろう」


「ちにゃっ!?」


「……まとめるぞ。『ろくでもない理由でメンバーを追放する奴』がリーダーを務めるパーティーなんて、追放(そこ)に辿り着く前に破綻する可能性が高過ぎる。逆に手前味噌ながら、これまでつつがなくパーティーを率いて来た俺が、急にろくでもない理由でお前を追放するとか不自然だろ」


「…………だ……だけどよっ!! 実際にろくでもない奴が上司になったって言うケースは、十分考えられるじゃねーかっ!!」


「うん、悲しむべき事にそれは事実だ。……が、それは『組織としての土台がしっかりしている』事が前提になっている。そのしっかりした土台の上に、ろくでなしが乗っかってるって構図だな。一部に目を向ければ歪んでいるが、全体に目を向ければそれなりに安定しているって訳だ。


 ……一方で、これまでお前が想定していたのは、『ろくでなしが組織の土台そのもの、またはそれに類する立ち位置』ってケースなんだよ。んな組織、早晩崩壊するだろ。その辺りをごっちゃにしてるから、おかしな話になるんだ」


「…………じゃあオレは一体どうすりゃ追放されるんだよぉっ!!」

「逆ギレとか」


「うっせえっ!! お前、散々ケチを付けたからには対案を示せっ!!」

「いや、批判や指摘を行うのに対案の用意は必須ではないんだが……まあ良いか」


「うむっ!! さあ出せっ!!」

「……まず思い付くのは、"追放される当人"に問題があるケースだな。客観的に見て能力が足りない、あるいは癖が強すぎて並のパーティーには扱い切れないとか。あるいは、人格に問題があってパーティーメンバーと重大なトラブルを起こしたとか。


 その場合、追放を言い渡す側の扱いに注意だな。"相手にも理がある"訳なんだから。その辺の事情を無視して相手を一方的に責めちゃ、周囲の人間に"追放された者"への悪印象を与えかねないからな」


「駄目じゃんそれっ!! 相手に理があったら、"ざまぁ"がやりずらくなるじゃ

んっ!! オレを認めずに見下していた元パーティーの鼻を明かしてやると共に、密かにオレがかなめとなっていた元パーティーの、その後の崩壊過程を純粋に楽しめなくなるじゃんっ!!」

「……人様の趣味にケチ付けるのも上等とは言えんが、そうして言葉にするとえらく悪趣味に聞こえるな……」


「だまらっしゃいっ!!」

「分かった、相手側に問題があるケースだな。……だったら、追放者の使う武器や技術、知識や発想の持つ価値を、パーティーメンバーが認めないってのはどうだ。その場合、パーティー内だけの問題じゃなく、その業界の人間の共通認識って風にすりゃ説得力も出るだろ。……実際、あり得るからな……」


「……おい、何を急に遠い目になってるんだ?」


「いや例えば、あくまでも例えばの仮定の話なんだけどな?


 ……とある競技の世界に、権力を持った老人達のオカルトじみた勘と経験則がもてはやされ、それになびく若者だけが取り立てられる組織が仮にあったとしよう。そこに、合理的な数学的根拠を元にした戦術で大活躍する若手が現れた。


 その"自分達が理解出来ない戦術を使う若手"を気に入らない老人達が、寄ってたかってその若手に対するイジメめいた嫌がらせを繰り返した。その上、組織が主催する公式大会に出場した若手に対して理事会は意味不明な理由で失格処分を下し、最終的にその若手を自発的な退会にまで追い込んだ……なんてのはどうだ……?」


「……おい、何を急に死んだ魚のような目になってるんだ?」


「いや、あくまでも架空の話だぞ? ファンタジーやメルヘンじゃあないんだか

ら、そんなプロの連盟が現実に存在するだなんて、そんな訳ないだろ?」

「そうだな、完全に想像を元にしたフィクションだな」


「……他にも色々あるだろうけど、まあ俺が今ぱっと思い付いたのはこんくらいだな。俺が指摘した点に対しても、十分に筋が通った理由を持たせる事が出来る人だっていくらでもいるだろうし……取り敢えずはこれで文句ないか?」


「おうっ!! 褒めてやるっ!!」

「そうか。全く嬉しくない」


「……じゃ、早速前述の理由でオレを追放してくれっ!!」

「断る」


「駄目じゃねーかお前のアイデアッ!!」

「知るか馬鹿っ!! そもそも俺にお前を追放する気はないって、さっきから言ってるだろうがっ!!」


「ええい畜生めっ!! ……これで勝ったと思うなよっ!! 例え今回オレを追放しなくても、またいつか第二第三のオレが現れ、必ずやこのパーティーから追放されてやるからなっ!!」

「例え何度現れようとも、俺は決してお前を追放してやらねえぞっ!!

 ……今宵こよいはここらで良かろうかいっ!! パーティー追放ものっ!! 気張れぇ――っ!! チェストォ――ッ!!」


               〜〜 おわれ 〜〜


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― 新着の感想 ―
[一言] これは、架空のファンタジーの話なので、エッセイにはなりません。
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