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ラブノート

作者: 9741

 ラブノート。 

 傘のイラストを描き、その下に男の名前と女の名前を書くと、その二人は両思いになる。 


 その昔、デスノートの漫画にハマった恋の神様が、遊び半分で作ったアイテムである。 

 だが恋神様はあまり頭が良くない。故にデスノートのような細かいルールは無い。顔を知っている人間の名前さえ書けば両思いになる、ルールはそれだけだ。  






 中学生の佐々木進には、片思いの女子がいた。杉浦亜衣、進と同じクラスの女子生徒だ。 

 だが奥手な進は、自分の心情を伝えられずにいた。 


 そんな時、進はラブノートを拾った。進の前にも誰か使ったのか、最初のページ一枚が破れていた。 


 もちろん進は最初、ただのノートだと思っていた。 

 しかし試しに、ジョニーズのアイドルとAV女優の名前を書いてみたら、その数時間後、二人のスキャンダルが報道された。ニュースを見た進は確信した、このノートは本物である、と。 


 さっそく、進は私欲のためにノートを使った。 

 ページに相合傘を描き、自分と杉浦亜衣の名前を書いた。


「これで杉浦さんと……」 


 進はニヤケ顔が止まらなかった。  


 その次の日。 

 杉浦亜衣に進は誰もいない校舎の屋上に呼び出された。


「佐々木君……私と付き合ってください!!」 


 彼女は進に告白した。 

 もちろん、進の返事はOKだ。


「やった、やったぁ!!」 


 杉浦はまるで子供のようにピョンピョン跳び、喜びを表現した。 

 だがその気持ちは進も同じだった。 

 彼も今にもスキップしたくなる心境だった。 


 その時だった。 

 彼女のポケットから、綺麗に畳まれた紙切れのようなものが落ちた。まだ喜んでいる彼女はそれに気付いていないようだ。 

 

 進はそれを拾い上げ、なんとなく、図らずも、ふいに、その紙を広げた。


『杉浦亜衣、佐々木進』 


 紙には、二人の名前が相合傘の中に入っていた。


「(え、どうしてこの紙が……ラブノートは教室にあるはず……まさか!!)」 


 そう。破れたラブノートの最初のページ、それがこの紙だ。 

 最初にノートを拾ったのは、佐々木進ではなく杉浦亜衣だった。 

 彼女は自分と進の名前を書き、そのページを破って御守り代わりにしていたのだ。


「どうしたの、佐々木君?」 


 青い顔をした進を杉浦が心配そうに見つめる。


「(え、じゃあ俺の恋心は……杉浦さんが好きっていう気持ちは、ノートによるものなのか……?)」 


 そのことに気付いた少年は、絶望の叫びを上げた。  


 最初、進は彼女の告白をOKした。 

 しかし、自分の恋心がノートによるものだと知り、進は本気で杉浦亜衣を愛せず彼女と別れた。 


 そして進は、自分のようにノートに心を操られる者がこれ以上現れないように、ノートを燃やした。試験的に名前を書いてしまった、ジョニーズアイドルとAV女優に詫びながら。 


 だがノートを燃やしても、彼の彼女への好きという気持ちは消えることはなく、進は他の女性を誰も愛すことができなかった。 

 そして杉浦亜衣は彼のストーカーとなった。

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