淫魔族な私と小蜥蜴な彼女
一月投稿に間に合いましたヽ(=´▽`=)ノ
小さい朱金色の蜥蜴が私の手のひらの上で眠っている。
腕に抱いた小さなピンクの羊のぬいぐるみがおちそうだ。
私は可愛いその口にキスをして微笑んだ。
あの日、赤本家の王宮の部屋の庭の大きな岩で眠っている朱金の髪と黒い服のものが私から逃げるイゼリアンだと思って声をかけた。
違うと眠そうにいうイゼリアン? に憤って連れ帰ったら意外と軽くてあせった。
イゼリアンは男としては細身だがもっと重かったはずだ。
問いただすと朱金色の小さな蜥蜴になって何者だろうと興味が湧いたので拘束用の鳥籠に閉じ込めた。
それが彼女、リゼアリーエとの出会いだった。
私は淫魔族だ。
加虐の貴公子とよばれている。
別にいじめたりすることが趣味というわけではないが仕事で政敵を冷たく追い詰めたり刺客を残酷? に滅したりしているうちについたあだ名だ。
それでも恋人には事欠かなかった。
冷たい美貌と言われたが……
紅家は淫魔族で基本的に性的行為で力を得る。
私は紅本家でも跡取りでもなく純粋な淫魔族でもないのでその限りではないが……
カツカツと石の床を歩くハイヒールの音がする。
ピンクの髪の若い女がやってきた。
「パルお兄様、そのふくふくの蜥蜴ちゃんは誰ですの〜可愛いですわ〜」
幻分家で優秀な政務官のペルシャが私のかわいい蜥蜴の腹をつついた。
「言っておくが、人型はお前が好きな太った女ではないぞ」
私は可愛い蜥蜴を懐に避難させた。
仕事中の一服に可愛い蜥蜴を見て癒やされてたが……気をつけないとな。
「え~こんなにふくふくなのに〜、どこかに素敵なぽっちゃりな女の子落ちてないでしょうか?」
「白分家の天才軍師はどうした? 」
「海洋生物にガードされてますわ」
ぷっくりふくれてペルシャが書類をおいた。
「海洋生物? 」
「パルお兄様ばかりずるいですわ」
懐に大事に入れたリゼアリーエのぷっくりした手からぽてっと小さいピンクの羊のぬいぐるみが落ちたのを拾いながらペルシャが私を睨んだ。
「最近ぷっくり男とつきあってると聞いたぞ」
「ケルシュヘルトちゃん? お友達ですわ、癒やされますの」
大事な蜥蜴の抱き枕を受け取って腕の間にもたせながら置かれた書類に目を通した。
「オストロフィスが黄地方に現れただと? 」
オストロフィスとは当代魔王陛下に逆らう大罪人だ。
雷虎が本性のあのものは最近白本家の次代当主の婚約者に手を出して捕らえられ、すぐに脱走したうなぎのようなやつらしい。
「ええ、ケルシュヘルトちゃんの実家ですの」
ペルシャがもう一枚書類をおいた。
なるほど、ケルシュヘルトは狼人の一族だったか……
資料を見た時は茶色の髪にモフっとした耳の小柄なぷっくりした男だった。
「紅地方も近い……近く帰るか」
嫁も見せないとだしなとつぶやいて懐の小さな蜥蜴の頭をなでた。
「キュー? 」
どうしたの? と愛しい蜥蜴が目を開けた。
「か、可愛いですわ」
「さわるな」
「キューキューキュー? 」
お姉さん誰なの? 蜥蜴がお腹を撫でるペルシャを見上げた。
「連れて帰りたいですわ」
「うちの奥さんを拉致るな」
ペルシャの手を離させて睨んだ。
ケチーっケチですわ。
と有能政務官は叫んで部屋を出ていった。
「リゼアリーエ、腹が減ったか? 」
「キューキューキューキューキューキュー」
違うの〜目が覚めただけなの〜デリカしいが相変わらずないの〜 ちっちゃい蜥蜴の手が私の胸をペチペチ叩いた。
可愛すぎて鼻血が出そうだがとりあえずこらえて蜥蜴を手のひらに乗せた。
「たまには人型も見たいな」
耳元で囁くと蜥蜴の赤みが増した。
「キュー」
蜥蜴は両手で顔を隠した。
頭にキスを落とした。
「夫婦のふれあいは家でおねがいしますぜ」
妖精族の秘書が私の手のひらからリゼアリーエを奪っていつもの鳥籠にぽいっと放り込んだ。
ぽふっと愛しい蜥蜴が羊布団に埋まった。
「セルラーゼ……」
「キューキュー」
愛しい蜥蜴がちっちゃい手で頑張ってなの〜と手を振ってピンクのフワフワ布団に埋まってまた寝始めた。
卵時代に先の赤本家当主夫妻に母親と猛火を浴びせられたリゼアリーエはあまり活動時間が長くない。
すぐに寝てしまうがこの間の先の赤本家当主夫妻との戦闘で少しは力がふるえるようになったので新陳代謝とか循環が悪いせいかと思っている。
「さっさか仕事して家でイチャイチャすきなだけしてくだせい」
容貌的には夢の様にはかないうす蒼髪の背中に羽根がある美形がどんと書類を置いた。
「わかった」
愛しい蜥蜴の腕に落ちたピンクの羊のぬいぐるみを持たせて仕事に戻った。
いつか医師に見せねばならないと思いながら。
紅地方は魔王都に並ぶ大都市だ。
重なる様に立ち並ぶ歓楽街の建物は高級クラブからスナック、ホストクラブにパブなどたくさんあるが一番多いのは娼館や男娼館だ……まあ淫魔族にとっては飲食店だからな。
精力剤の屋台とか薬局にまじって魔亀料理とかの飲食店もある。
昼間の今はしずかなものだが……
その大都市の中心の高い塔が連なる建物が紅本家だ。
「すごい」
朱金色の肩までの髪に赤い目の華奢な美少年風の女……私の愛しい蜥蜴が建物を見上げた。
珍しく人型をとってるのは紅本家に行くかららしい。
イゼリアンが用意したらしい黒銀のスーツに白い肌が映えて綺麗だ。
リゼアリーエはよろけて転びかけた。
「大丈夫か? 」
思わず抱きとめた。
「パルさ……」
愛しい蜥蜴がうるうるした目で見上げたのでたまらず抱き上げた。
なんで今日に限って人型なんだ、蜥蜴型なら懐にいれて誰にも見せないのに。
「行くぞ」
子供抱きのまま歓楽街を通り過ぎる。
途中で馴染みの連中に声をかけられたが無視した。
こんなことなら直接転移した方が良かったか?
だが愛しい蜥蜴がお出かけ嬉しいのと私の指にしがみついて可愛く笑ったのを見たからついな……
引きこもりがちな生活だったリゼアリーエには里帰りも旅行で嬉しそうだ。
今度白地方や黄地方の景勝地にでもつれて行くか?
そんな事をおもいながら紅本家本邸のまえにきた。
バタンと扉が開いた紅色の長い髪と紫瞳の見覚えある女が立ちふさがった。
ポルティア姉上だ。
「パルディアス、赤家から駄蜥蜴を押し付けられたって本当? 」
「駄蜥蜴……姉上は赤本家の駄女とお知り合いでしたか? 」
あの淫魔に魅了を使おうとしていた露出が中途半端な女を思い出した。
「オルフィアンは頭が軽いけど付き合うにはいい娘なのよ」
それで駄蜥蜴はどこなの? キラキラした目で私を見て子ども抱っこで怯えているリゼアリーエに目を留めた。
「可愛い〜隠し子〜? 」
おばちゃんのところにおいで〜と姉上が手を伸ばした。
リゼアリーエのことか?
……子ども抱っこすると幼く見えるのか?
ふるえてしがみついてるし。
「姉上」
隠し子ってどこからその発想が出た?
「それとも同性の恋人? 」
「キュ、キュー」
驚きすぎてリゼアリーエは蜥蜴語しか出なかったらしい。
「良いわ〜美少年とめくるめく愛の生活〜」
うっとりと私達を見た姉上にたじろぎながら私は口を開いた。
「これは私の妻です」
「美少年は花嫁様ね」
素敵〜と姉上がうっとりと私と愛しい蜥蜴を見つめた。
「キュー」
「ポルティア、蜥蜴嫁は来たのか? 」
「駄蜥蜴どころじゃないわ」
おばちゃんが素敵な花嫁衣装を準備しますからねと鼻息荒くポルティア姉上は出てきた夫のワイラーンを押しのけて奥にかけていった。
直後限界の愛しい蜥蜴が朱金色の炎蜥蜴に変化した。
あわてて手のひらに乗せるとブルブルふるえている。
「それが蜥蜴嫁か」
「キューキュー」
パルディアス様〜と蜥蜴が私の指にしがみついた。
グリフォン族のワイラーンの目が怖いらしい。
「食いでがありそうな丸い……」
ワイラーンが蜥蜴の丸い腹を見てヨダレを拭いた。
夫婦共々気をつけないとな。
蜥蜴の照り焼きとか聞こえたぞ。
ポルティア姉上は次代当主でワイラーン・空・旧姓ファーイリアは空家から婿入りしてきたが……こんなに食い意地がはっていたか?
ふるえる蜥蜴に懐から出したピンクの羊のぬいぐるみを抱かせてついでに懐に抱え込んだ。
紅家の居間は赤からピンクの薄絹が垂れ下がる下に寝椅子がいくつも準備してある。
寝椅子の上で熱烈に抱き合ってキスしてるのは間違いなく当主の母上……相手は父上……でよかった。
愛しい蜥蜴が真っ赤になって羊のぬいぐるみに顔を押し付けた。
「あらおかえりなさい」
「相変わらず色気のない格好をしてるな」
透け透けで布がとぼしい格好の二人にとって透けて無いの格好の息子は色気がなく映るようだ。
魔王城では歩くわいせつ物扱いされていた時期もあるんだが……
まあ、今は蜥蜴だけだからな。
「あら、お土産? 蜥蜴のぬいぐるみ? 」
「振動しているが……マッサージ器か? 」
懐から顔をちょっとだけだした蜥蜴が震えてるのがわかった。
そんなに恐ろしければのぞかなければいいのに……私だけみてれば……
「キューキュー」
はじめましてリゼアリーエともうし……
と可愛い蜥蜴が顔を出したとたん母上につかまれた。
「しゃべるぬいぐるみ? 可愛い〜……で嫁はどこ? 」
「この羊のぬいぐるみが付属品? 」
パニックを起こしている蜥蜴をひっくり返して夫婦そろって楽しそうだ。
「その蜥蜴が嫁です」
私は蜥蜴を取り返した。
蜥蜴は怖かったのーと私にしがみついた。
「ええー炎蜥蜴ってもっと大きいわ」
付き合った時大きくて大変だったのよ。
君は本当に節操がないねと愛しそうに父上が母上に口づけた。
「ドレス持ってきたわよー美少年花嫁はどこ行ったの〜」
「マジックスパイス……肌に良いハーブオイルを用意した」
姉夫婦は今日も自分の欲望に忠実だ。
たしかに蜥蜴の腹は丸々……
きゅ? と羊のぬいぐるみを抱えて小首をかしげた蜥蜴は食いたくなるほど可愛かった。
とりあえず蜥蜴を紹介したら夜の街にくりだされた。
手のひらに乗った蜥蜴に明らかに調味料露店の商品を義理の兄がみせている。
「この黒い液体は体にいいんだぞ」
「キュ? 」
そうですのと蜥蜴が小首をかしげた。
だまされるなそれはテリヤキソースだ。
腹に良い照りがついてなと義理の兄がヨダレをぬぐった。
「たしかに蜥蜴の照り焼きに合いそうだな」
のんきな声に寒気を感じて振り向くと虎耳の獣人が私の可愛い蜥蜴の腹にヨダレをたらしてた。
「キューキュー」
蜥蜴が羊のぬいぐるみを抱えて懐に逃げるこむ前に虎耳男につまみ上げられる。
ぽてと羊のぬいぐるみが地面に落ちた。
「キューキューキューキューキューキュー」
「美味そうで力になりそうな炎蜥蜴だな」
「たぬき汁でも食ってろ……たぬきはどこだ? 」
ワイラーンが虎耳男をにらみつけた。
あいつは間諜だからおいてきたと虎耳男が蜥蜴をぶら下げて笑った。
おかしい、なぜこんなに恐怖を覚えるんだ。
「妻を返してくれ」
「妻? 蜥蜴の照り焼きの食材だろう? 」
蜥蜴の照り焼きだと? この愛らしさがわからないのか? リエアリーエが震えながら小さな炎を吐き出した。
ポッと炎が虎耳男の手に当たり愛しい蜥蜴が放り出された。
慌てて懐に抱え込んだ。
「アチ、悪かったよ……」
「さすが超上級炎蜥蜴……機能不全でもオストロフィスにやけどを負わせるとは」
ワイラーンが笑いながら冷風を虎耳男の赤くなった手に当てた。
オストロフィスだと? ワイラーンはどこでそんな大罪人と……
婿に入る前は魔界空軍にいたはずだろう?
「ねぇ~コスプレスナックで美少年の半ズボンを堪能しましょうよ」
リー君も半ズボンはいてさと姉上が能天気に顔を出した。
「キュー」
そんなのしないのですと蜥蜴が胸にしがみついた。
「人型になってサービスしてよ〜」
「ポルのショタ好きは変わんねぇか」
オストロフィス(仮)が腕組みして笑った。
「……オー君? 」
「まあな、それよりえいえいおー龍の動向はしってるか? 」
「あのご隠居龍? この間、白本家の次代と結婚したわよ」
姉上が蜥蜴をつかもうと手を伸ばした、少しこわばった顔をしている……オストロフィスと何か……
オストロフィス(仮)があ~あのえいえいおー龍が結婚かよとつぶやいた。
えいえいおー龍にぞっこんと聞いたが執着してるように見えないな。
オストロフィスをチラチラ見てる姉上の態度も気になる。
「まあ、いいやとりあえず蜥蜴の照り焼きをつまみに飲もうぜ」
可愛い蜥蜴をみてオストロフィス(仮)はニヤリとした。
蜥蜴はついに懐に入りこんでチラリと尻尾を出したままふるえている。
あら、可愛いわね〜頭隠して尻尾隠せず。
それを言うなら頭隠して尻尾隠さずだろ。
と姉夫婦がいちゃつき出した。
それを言うなら頭隠して尻隠さずだ。
姉上が今ひとつ不自然だが。
「仲いいなぁ」
首の後ろに両腕を組んでオストロフィス(仮)が笑った。
本当に……オストロフィス? なんだとしたら……
ん? なんだ? と私の視線を感じたのかオストロフィス? がこっちを見た。
ところで雷鳴がとどろいた。
雷撃がオストロフィス(仮)に直撃したように見えた。
プスプスと何か焦げる匂いがした。
オストロフィス(仮)にいたところの地面が陥没している。
黒々とどろりとしたものが広がる……まさか?
「偽モンが偉そうにしてんじゃねーよ」
圧倒的な殺気をまとってオストロフィス(仮)とよく似た虎人がゆっくりと人ごみの間から現れた。
威圧的な闘気にあたりが凍りついた。
オー君がもう一人と姉上の視線が現れたオストロフィス? に釘付けだ。
オストロフィスはそんな姉上をチラッと見た。
「にせもの……」
私は思わず懐の蜥蜴を守るように抱え込んだ。
「俺様の偽モンなんかのさばらせてる紅地方なんざ滅びりゃいい」
巨大な雷球を頭の上に出現させゴミを見るような目で紅地方の民たちを見た。
滅しなとつぶやいて雷球が落とされる。
スローモーションのように雷が落ちてくる……ああ、滅するのかと漠然と思った。
「キューキューキュー」
旦那様は私が守るのー
愛しい蜥蜴が懐から転げ落ちて炎を放った。
雷球に炎が当たる……焼石に水……いや、諦めてはいけないのか。
雷球が蜥蜴の炎を押し返す……羊のぬいぐるみが炎に包まれたのが一瞬目に焼き付いた。
「リゼアリーエ〜」
「キュー」
負けないの〜と蜥蜴が火力を増して雷球を包む。
小さな蜥蜴が頑張ってるのに……私は……
幻影の結界を……
「生意気な照り焼き」
雷球を押されだしたオストロフィスが眉を吊り上げた。
力を込めたのか蜥蜴の炎がふたたび押されてる。
結界を早く……蜥蜴の周りに透明のドームを出現させる。
俺を受け入れねぇ紅地方と共に滅しやがれーとオストロフィスが更に力を込めたのがわかった。
支えられない……リゼアリーエだけでも……
姉上がワイラーンに抱えられながらオストロフィスにみいっている。
次代当主の姉上が力を使えばシールドが貼れるかもしれないのに……あれでは……
もはやこれまでか? 私はせめて蜥蜴を抱き込もうと一歩踏み出した。
その時銀色の何かが空を飛んだ。
「クソーいてじゃねぇか」
右肩を短剣でつらぬかれたオストロフィスがわめいた。
雷球が水鉄砲に直撃されて消滅する。
緑の冷たい目をした緑の短い髪の軍服の竜人がスタッと地面に降り立った。
「外したか」
「ライ武官、殺しちゃだめですよ〜」
感情なくつぶやく竜人に黒髪のぽっちゃりした女龍人軍人が水色の髪のがっしりした男軍人と物陰から出てきた。
男の方はオストロフィス(仮)と少し感じが似ている。
「テメー生きてたか、どうやって」
あの雷撃を逃れやがったと水色の男軍人……どうやら水系魔族らしい……に叫んだ。
「わ……丸ちゃんの作戦すごい」
「グリシス少将が水木偶術を使えたから」
グリシス少将のほうがすごいですと丸い軍人が頬に手を当てた。
水木偶は身代わりの術だから完全にそっくりにならないんだよなと水色の軍人が頬をかいた。
「イチャイチャしてないで海洋生物、いけ」
竜人は剣を鞘から抜いてオストロフィスに切りかかった。
水色の軍人がトライデントをかまえて水に乗ってオストロフィスを狙った。
物陰から軍人がパラパラと出てきてオストロフィスを追い詰める。
オストロフィスが空中を飛ぶと大鷲に変化したワイラーンが鋭い爪で蹴りつけてるのが見えた。
ワイラーンも秘密司令が出てたのか?
呆然自失の姉上を護衛が回収していくのが見えた。
丸い軍人がそこに壁を立ち上げてくださいと支持してる後ろで紅地方の治安維持軍が住人たちを避難させてる脇を金髪の人型魔族が青緑の鱗の竜人に止められるのを振り切って逆走するのが見えた。
魔王様? いや違う……魔力が圧倒的に少ない。
まあ、いいそれより避難しようと愛しい蜥蜴に目を向けた。
愛しい蜥蜴のちっちゃい身体が地面に崩れ落ちるように倒れた。
「リゼアリーエ! 」
私はあわてて懐に抱えた。
愛しい蜥蜴は魔力切れを起こして気絶していた。
私を守るためになんて健気なんだ。
潰さないようにだ抱きしめて懐に入れた。
遠くで網を持てーという声を聞きながら私は紅本家に転移した。
「本当に今日は千客万来だわ〜、可愛い蜥蜴ちゃんに凛々しい戦士に麗しいトラウマ青年に……かつて我が領の次代婿候補殿だったはずの大罪人……」
転移の間に上下別れた水着のような鎧をつけ薄物のマントをつけて杖を持った母上が立っていた。
かつての次代の婿候補殿? 姉上のか?
もぞりと懐が動いて愛しい蜥蜴が顔を出した。
「キュー? 」
ここはどこなのと少し意識が混濁してるようだ。
「パルディアスここの守りは任せたわ」
ポルティアは役に立たなそうだからと母上は当主の役目の為に転移の陣に飛び込んだ。
雷鳴轟く様子が大きな窓から見えた。
姉上と大罪人に何があったか知らないが……私はここを守らなければならない。
キューと私にしがみつく蜥蜴をなでながら、まずはこの可愛いリゼアリーエを回復させなければと口付けた。
蜥蜴に魔力を移すと少しだけ疲労感を感じた。
さすが超上級炎蜥蜴だけあると元気を回復した蜥蜴を抱きしめた。
遠くで雷鳴が何回か轟いた。
捕まえたと言う叫び声が聞こえた気がした。
キューキューと蜥蜴が私の懐に頭を入れ羊ちゃんがいないのーと顔をあげて叫んだ。
私の懐は蜥蜴のぬいぐるみいればじゃ……
そういえば……高火力でお気に入りの羊のぬいぐるみが焼失したの見たような……
わーん羊ちゃ〜んと大粒の涙をポロポロこぼす蜥蜴をなでながら今度、また買ってあげるからとなだめる。
羊ちゃんの弔い合戦するの〜と涙をにじませたまま顔を上げた蜥蜴の向こうの窓から網でグルグル巻にされた大罪人が大鷲に掴まれたまま連行されて行くのが見えた。
蜥蜴……リゼアリーエどう見ても無理そうだ。
八つ当たりするのにちょうどよい虎のぬいぐるみも買ってあげるから我慢しなさいと頭に口付ける。
羊ちゃ〜んとうるうるする可愛い蜥蜴は自主的に懐に潜り込んで私の胸にしがみついたのを感じながら……姉上はどうしてるのかとふと思った。
夜の紅地方はあかあかと灯が灯り何処かざわついていた。
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