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第四章 大魔王の告白 その1

 俺と大魔王はトボトボと歩きながら、ノブヲの家に向かっていた。


 俺は大魔王の念力に圧倒され、その威力に屈服した。

 歩きながら、大魔王は自分の能力を見せつけるかの如く、スカートをめくりまくった。


 これは犯罪なのでは? と思ったが、傍から見れば、ただの『風のイタズラ』なわけで、誰も大魔王が念力でスカートをめくっているなどとは思わない。

 何という完全犯罪なのだ。


 大魔王は、小さく手を前にかざして、力を入れるだけで、簡単にスカートをまくることができた。

 大魔王曰く、この能力をだいぶ使い慣れてきたそうだ。


「ほれ、あの長いスカート。あれはなかなか難しいと思うじゃろ?」


 大魔王は楽しそうだ。

 長いスカートをはいた五十代のおばさんの「ぎゃっ」という声がして、おばさんのパンツが見えた。

 これは萌えない。

 全く萌えない。


 どうやら、大魔王はパンチラにはあまり興味がなく、自分の存在を俺が認めたことが嬉しくて、はしゃいでいるようだ。


「おっ、あれは結構簡単にいけると思うじゃろ?」


 ひざ上十数センチはあるミニスカートにニーソックス、もろ萌え系じゃねえか。

 しかもまだ中学生っぽい。

 こりゃ犯罪だぞ、まじ。と俺は心の中で呟いたが、大魔王を静止することはしない。

 だって、男とは皆エロい生き物なのだから。


「あっ、おやっ?」


「ん? んんん?」


 俺と大魔王はほぼ同時に声を上げた。

 中学生っぽい女の子のミニスカートは、全くめくれなかったのだ。


 何ということだぁ、あのニーソは俺のドストライクなのにぃ!


「ちょっと、大魔王、どうなってんの?」


「ん? おかしいのぉ。えいっ」


 やはり、ひらひら萌え萌えのミニスカートはぴくりとも動かない。


「大魔王、その念力、使いこなせてないんじゃないの?」


「うーむ、ほぼ百パーOKなはずなんじゃがのぉ」


「ったく、つかえねぇなぁ~」


 そのとき、萌え萌えニーソ娘が突然振り向き、


「あっ、やっぱりこの声、マコト先輩じゃないですかぁ」


 こんなロリロリニーソっ娘に知り合いはいねぇぞ。だ、誰だ?

 俺は固まって、考えた。


「あたしですっ! 舞島ヒメカですよぉ。ひど~い、先輩、忘れちゃったんだぁ」


 おっ、おおおおお~。


 ヒメカ、舞島ヒメカ、キリカの妹じゃねえか。


 俺が中三のとき中一で、科学部に入部してきた舞島ヒメカかぁ。

 やべえ、あのときは中一だからって全然相手にしてなかったが、可愛くなってんじゃないか。

 しかも、くそ真面目な姉と違って、垢抜けてやがる。


 細い足に横縞ニーソとは、俺の理想でもある。

 ん? ってえか、キリカの妹に萌えてどうすんだ、俺。

 ある意味スカートがめくれなくて良かったのかもしれないな……。


「おお、ヒメちゃん? 覚えてる、覚えてる。なんか可愛くなっちゃったから全然気がつかなかったよ!」


 ヒメカはとびきりの笑顔を見せて、


「もうっ、先輩ったらっ! 中一のときにチョコあげたのに何も返事くれなかったくせにぃ」


 あれ? そうだっけ? ヒメカからチョコなんか貰ったっけ? というよりも、中学生の頃はヒメカを女としては見てなかったよなぁ。

 こんな可愛くなるなら、あのとき俺のモノにしておけばよかったか? いや、だめだ、だめだ。

 俺はモトミ様一筋だった……。

 でもあの頃はモトミ様のことも知らなかったしなぁ。


「そうだっけ? 中学んときのことなんて、もう忘れちゃったよ」


 俺は少しとぼけてみせた。

 まともに相手をしていると好きになってしまうかもしれないくらい、この中学三年生は魅力的な変身を遂げているのだ。


 たしか、中一の頃はまだオカッパのような髪型で、もちろん校則ピッタリのひざ下スカート、白く中途半端なソックスというような格好だったと思う。


 誰もが中一なんてそんなもんだ。

 だから、女としての魅力などを語るものではない。

 しかし、あれから二年が経ち、この子は女子力を大幅に増強中である。


 髪は姉のキリカと同じで長い黒髪だが、ポニーテールだ。

 これは可愛い。

 まじ可愛い。

 まじ萌えちゃう。


「あれ? マコト先輩のパパ?」


 あっ、やばい。

 俺、大魔王と一緒だったんだ。


 確かに、この立派なヒゲと偉そうな顔は俺のオヤジと言ってもいいくらい、貫禄がある。

 が、コイツはその風体からは想像できないほど、幼稚な思考回路だ。

 全く大人らしくない。ん? ってぇか、何て言おう?


「ありゃりゃ、こりゃお嬢さん、お知り合いですかな。ワシは大魔っ、うぐっ」


「オヤジじゃない、全然オヤジなんかじゃないよ。ちょっと道を聞かれたから、ついでに送ってってやってるだけ。全然無関係」


 俺は大魔王の首に手を回して口をふさいで、ヒメカから遠ざけようとした。

 このオッサンは警察沙汰を嫌がるくせに、余計なコトを言いやがる。

 スカートをめくろうとしてたなんて言われたら、俺まで変態扱いだ。


「へぇ、マコト先輩はやっぱり優しいんですねっ」


 よしっ、ヒメカが納得しているうちに逃げよう。ってか、なんで俺が逃げんだよ。


「じゃ、じゃあ、またね、ヒメちゃん。俺、ちょっと急いでるからっ!」


「はぁ~い、先輩、こんど遊んでくださいねぇ」


 遊ぶ! ぜってえに遊ぶからな! ヒメカ! と俺は心の中で叫びながら、大魔王を引っ張って急いでヒメカから離れた。


「おっ、おい、なにするんじゃ。離さんかいっ」


「おい、オッサン、いいか! 勝手に俺の知り合いに話しかけるなっ! 面倒くさいことになるんだよ。大体、オッサンの念力を信じる奴が俺以外にいると思うか? 変態扱いして警察呼ばれるぞ」


 大魔王は急に申し訳なさそうな顔になり、


「け、警察は困るわい。トラブルになると、ワシ、どうしたらいいか……」


 意外と素直な反応だ。

 しかし、このオッサンは本当に弱っちぃ。

 これが大魔王?

 突然変異でスカートめくりの念力が使えるようになっただけじゃないのか?

 ってかさ、俺は科学の知識には少しは自信のある人間だぞ。

 その俺が何で念力なんて信じなきゃなんねぇんだよ。


 でもなぁ、あのスカートめくりは……、ほかに説明ができないしなぁ。

 やっぱり、ヒデヨの力を借りるしかなさそうだなぁ。

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