第十九章 伝説の…… その2
キリカの後ろに立つ、十七歳のオッサンは目を丸くして叫んだ。
「ぱ、パパぁ~!」
「は?」
「えっ?」
全員、事態が飲み込めていない。
死んだと思った俺が、変なオッサンと突然目の前に現れ、そのオッサンは大魔王のパパだと?
一体……、何がどうなっているんだ?
「すまんのぅ……、説明している暇は無いんじゃ……。全員一緒に、ココを今すぐ離れるぞ」
大魔王のパパがそう言うと、青い光りは拡大してドッキングしているロボスーツとトランポ全てを包み込み、またまたすっげえ速さで移動を開始した。
「うっ、うわぁぁ~!」(皆)
《ブンッ! ドヒューンッ!》
俺たちは大魔王のパパに連れられて、随分と遠くまでやって来た。
飛行時間は三分くらいだったけど、今までの移動速度とは明らかに次元の違うスピードだった。
そこは森と湖の世界で、延々と続く緑豊かな森にいくつもの湖が点在している自然溢れる場所だった。
断崖絶壁のある谷のような場所の上空に止まると、青い光に包まれた俺たちはゆっくりと下降した。
森は谷底にも広がっており、美しい見たこともないような綺麗な色の湖があった。
岩の壁には洞窟の入り口が何個も存在している。
湖のすぐ前の草地に着陸すると同時に、青い光りは消え、俺たちの身体に重力が戻った感じがした。
大魔王のパパと、俺たち、AEトランポとロボスーツに加えて、手足を縛られたひとりの女の子が横たわっていた。
「り、リアンヌっ!」
大魔王がそう叫ぶ。
見覚えのあるレースクィーンのような格好、スカート部分はめくれており、ホットパンツのようなアンダーウェアから見える細くキレイな足は、とても白い。
お尻もキュートだね……。
そういう意味では、アンダーウェアとかホットパンツとか、これもなかなかいいよね……。
ってか、俺はついさっき死に掛けたっていうのに、何を考えているんだぁ!
今は謎だらけなんだぞ……。
「このオテンバ娘を助けるのに時間がかかってのぅ、お客人を助けるのがギリギリになってしまった。すまぬのぅ」
「い、いえ……。助けてくれてありがとう……。アナタは大魔王のお父さんなんですか?」
「うむ……、そうじゃ。ワシは先代念力大王、マキシマム・ズーズー六十世じゃ。夜露死苦じゃな。はははっ」
「先代? アナタが念力大王なんですか?」
「そうじゃ……が……?」
「そ、そうなんだぁ。ってことは王族一家ってことかぁ~」
「うむ……、息子からは何も聞いてないんじゃな……」
念力大王はギロリと息子である大魔王のコトを睨んだ。
大魔王は下を向いて、その視線を避ける。
大魔王から聞いていた話はどうも嘘が多い……。
というより、結構「聞いてないっ!」 ってことが多いぞ。
「すまんな……、お客人たち。息子は昔からウジウジとしているところがあっての、念力のエネルギーは最高レベルなのに、どうも弱々しいんじゃよ。強くなってもらおうと、早くして王位を譲ったんじゃがな……」
「お、おい……、大魔王っ! おまえ、自分が強すぎて王位を奪取したみたいなコト言ってなかったか?」
「ま、まあな……。マコト殿……、まあ、実際はそんなトコロじゃよ……、ハハッ」
本物の王様の貫禄を持った念力大王の登場で、大魔王の存在は小さくなってしまった。
「あ、あの……、はじめまして。アタシはキリカって言います。大魔王さんから念力使いの人たちが人間界へ攻めてくるって聞いてココに来ました。マコトやアタシたちを救って頂いて、ありがとうございます」
「いやいや、こちらこそ、バカ息子を連れてきてもらって感謝しとるよ」
「娘さんは……、リアンヌさんは大丈夫ですか?」
「うむ……、薬で眠らされているだけじゃろう。そのうち起きるはずじゃ」
「よ、良かった……」
キリカが安堵の表情を浮かべる。
あれだけ言い合いしたのに、心配してたんだな。
「聞きたいことがたくさんあるんです。教えてもらってもいいですか?」
「うむ、もちろんじゃ。ワシも話すべきことがあるしの……」




