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碧き舞い花  作者: ユフォン・ホイコントロ  訳者:御島いる
第三章 ゼィグラーシス

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487:集められた六人

「これし~か集められないとき~に、なんの評議です~か?」メルディンが卵椅子に納まりながら不満を零す。「それに彼~は、評議に顔を出せ~る者じゃない~ですよ~ね」

 そう言って三日月型に笑む瞳が見つめるのはプォルテだ。

「渡界人だから~と、とんだ待遇です~ね」

「いや、この評議においてプォルテは最も重要なんだ、メルディン」ゼィロスは厳かに部屋に集まった者たちに告げる。「これから行うのは裏切り者を暴く評議だ」

「なんとっな!」とテング。

「ついにか」とカッパ。

「つまりはその渡りの民の者が探りし者というわけさ」とヌォンテェ。

「身内のもの~に調べさせたとあって~は、信頼していいもの~かど~か」とメルディン。

「師匠は呼ばれてないですけど、いいんですか?」とテム。

「もしかして、疑いのある者が集められたのか」とンベリカ。

 それぞれに言葉を口にした彼らを、セラとユフォンは隣り合う椅子に納まり見ていた。これがこの評議に集められた面々。セラたち四人も合わせて十人。

「メルディン」ゼィロスはプォルテと二人、中央に立つ。「実はプォルテは渡界人ではないんだ。それに、テム。ここにケン・セイを呼ぶと話が逸れかねないから呼ばなかった。彼とはあとで時間を設けて会わせるべきだと俺は考えている」

 そう言うと彼は目でプォルテに合図を送る。それを受け取った渡界人は偽りを脱ぐ。セラの前でそうしたように。

「コクスウリア……!」

 カッパが零し、招集された各々も驚きを顔に張り付ける。

 探偵は脱いだ皮を懐にしまいながら口を開く。「改めて自己紹介をさせてもらうよ。コクスーリャ・ベンギャ。フィアルムの探偵」

「こうも近くにいたのか」ンベリカが苦笑する。「身を隠すには、一番の場所だな」

「確かに師匠がこの場にいたらややこしくなってましたね。闘気のことで」

 テムの言葉に頷くと、ゼィロスは再び口を開く。「まずは彼と俺の繋がりから話す。裏切り者に関しての調査報告をしてもらうのはそのあとだ」

 こうしてゼィロスは評議会以前より彼に『夜霧』の調査を依頼していたことから、この場に至るまでを明確に伝えた。

「しか~し」笑みを消さずに眉を顰めるメルディン。「いくらフィアルムの者が調べたとして~も、万全の信頼は置けませ~んよ、ゼィロス殿。彼~はヴェィルの呪いもかけられているのでしょ~? 恐怖で偽りを口にするかもしれな~い」

「疑り深い人間がいるのはいいことだ、『界音の指揮者』さん。だから俺がこれから話すことは、全て真実であるという確証を持ってもらうために、俺はある薬を飲む」

 コクスーリャは爽やかに言ってのけ、懐から楕円形の錠剤が入った半透明の箱を取り出した。それを軽快に振る。

「『真実の口』という。フィアルム探偵の七つ道具の一つだ。これを飲むと、嘘が口からでなくなる。その効果はセラフィが身を持って体験しているから本物だ。いくらあなたでも彼女のことはそれなりに信頼しているでしょう?」

「あなたより~は、というだけです~がね」メルディンは肩を竦め、それからヌォンテを見た。「巫女殿、しっかり見抜いてください~ね」

「言われずともさ」

 メルディンとヌォンテェのやり取りに、わずかに間を置いて「充分だ」とコクスーリャは錠剤を口にした。それからセラに目を向け小さく肩を竦めて見せるので、セラは小さく苦笑いを返した。

「ちょっといいか」

 ここでンベリカの手が上がった。それにコクスーリャは目で質問を許可する。

「すまない。その薬、嘘を吐けないと言うが、貴殿が嘘だと思っていなければ口にできるということはないのか?」

「ある」コクスーリャは即答した。「俺が真実だと思っていれば誰もが嘘だと思っていることも口にできる。俺は自分で調べた調査に忠実だ。その調査に嘘が紛れているならば、俺は嘘を真実と思い込みそのことも口にできることになる」

「ならばあまり意味がないではないかのぉ?」とテングが盛大に訝しむ。

「安心してもらいたい。俺の調査は精査審査を繰り返した、限りなく真実そのものの塊だ」

「ほほぉ! 口にしたということは嘘ではないと! なんという自信か! よかよかぁ!」

 テングは一人で手を打ち、大喜びだ。話の進捗を妨げんばかりに。

 年長者が収まるのを待ってから、探偵は語り出す。

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