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碧き舞い花  作者: ユフォン・ホイコントロ  訳者:御島いる
第二章 賢者評議会

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356/535

351:参戦

 本部野営地からの白輝評議会連合軍の行軍は早くも遅くもなく、敵味方の本丸の中間地点に近いところで止まった。敵陣が目前に現れたからだ。

 テムいわく、これまでもわずかにどちらかの本丸に近くなることはあったが、中央戦線はおおむね中間地点で相見えるのだという。

 辺りに水気はない。両軍が乾いた風を受けながらわずかな時間睨み合うのを、セラは隊列の最後尾から見守る。

 そうして気配を読み合ってか、『夜霧』、白輝、評議会のンベリカ、それぞれの将が示し合わせたかのようにぴったりと声を合わせ、かけ声を上げると、一斉に戦士たちは動き出した。

 開戦だ。

 セラは『夜霧』の本丸がかすかに遠くに見える中央戦線で開戦を迎えた。

「とりあえずまたあとでなセラ」

「うん」

 ズィーやテムも駆け出して行く中、セラはすぐには動かなかった。目的である、劣勢の戦線への跳躍のために広く感覚を研ぎ澄ます。

 中央戦線で戦士たちが戦いをはじめるに続いて、次第に他の戦線各所でも戦闘がはじまってゆく音を彼女は感じた。

 キノセの向かった西側の戦線を注意深く感じ取っては見たが、彼らが援軍として参戦したことで窮地というわけではなさそうだった。あそこはキノセに任せよう。

 セラはそうして感覚の集中を緩め、中央戦線に交わることを決めた。

「ヅォイァさん。とりあえずはこの場で戦います」

「うむ。では参ろうか」

 ヅォイァがサクッと棒を大地に打ち鳴らす。そんな彼と共に戦線を見つめ、セラはオーウィンを抜いた。


 二人は駆け出し、黒き雲海織りの衣に身を包む『夜霧』の兵たちを薙ぎ倒していく。そうして白刃飛び交う戦闘の真っただ中まで進むと、セラはヅォイァに指示を出す。

「押されてる人たちの助けを」

「承知した」

 二人は手分けして、助太刀をはじめる。

 彼女の周囲には名のある将はおらず、一方的に敵をねじ伏せる展開が続く。中には彼女の背後より不意を狙ってくる敵もいたが、それが不意打ちになっていないということを果てていく命の中でやっと知ったことだろう。

 そうこうしているうちに、彼女とヅォイァを中心として過疎地帯が生まれはじまる。二人それぞれを『夜霧』が囲む。

 囲むのだが、じりじりと攻めあぐね、しびれを切らして中心人物に襲い掛かるも返り討ちに合う。

「ジルェアス嬢、そろそろ前へ」

「はい」

 隣の人垣の中からの老人の声に答え、セラは彼女を囲む兵たちを半ば無視して前進をはじめる。と、そこへ彼女の右耳にテムからの通信が入った。

『セラ姉ちゃん、今ズィプの兄貴が敵将と戦ってる。第六部隊のガルオン・ビルティ! ごめんっ俺、行けそうにないっ』

「わたしが行く。テムは前の敵に集中して」

『ほんと、ごめ――』

 通信が途切れた。気配は消えてない。しかし多くの敵に囲まれ、孤軍奮闘状態と言えた。

「ヅォイァさん! テムのところへ」

「承知」

 彼の返事を聞くと、セラは『紅蓮騎士』の気配のもとへと跳んだ。

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