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碧き舞い花  作者: ユフォン・ホイコントロ  訳者:御島いる
第二章 賢者評議会

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338:近況把握

 ヒュエリがセラの部屋をあとにしてからわずかな沈黙があった。

 そうしてから口を開いたのはセラだ。

「ズィーもケン・セイもいないってどうしてなの? キノセに言ってた戦いの準備と関係してる? そういえば、キノセが評議も開けないほどって言ってた……」

 問いながら、彼女は超感覚と気読術を用いてスウィ・フォリクァに意識を巡らせた。確かに戦闘に長けた賢者たちの気配はほぼ皆無。それに加え……。

「……イソラとか、マツノシンやシーラ=ノーラ、ピョウウォルも……だいぶ人がいないんだね……もしかして、わたしの出発前に戦士を集めてた『夜霧』との戦争が長引いてるとか?」

「色々知りたいことだらけだね、ははっ」

「……ごめん。せっかくみんなが二人っきりにしてくれたのに」

「いや、いいんだ。隣、いいかい?」

「うん」

 セラはわずかに体をずらし、隣にユフォンを受け入れた。

「確かに君と二人きりになれるのを長いこと待ち焦がれてた。でもただ待ってたわけじゃない。君が出発した日に、僕はジュンバーの補佐になるようゼィロスさんに言われてね。今じゃ上下関係なく、それぞれに仕事を任されてるよ。自慢になっちゃうけど、だいたい第一位、第二位評議に呼ばれるのは僕の方だけどね」

「ほんと? すごいっ」

「まあ、そういうことだから、今じゃ結構色々知ってるよ。えっと、何から話そうか……でも大体は一つの事柄だから、まずはイソラについて話すとするよ」

「うん」

 セラは片膝をベッドの上に乗せ、彼の方へ身体を向ける。

「あの子は、『異空の悪魔』の方の応援に行ってる。ルピさんもそうだよ。仲いいんでしょ?」

 セラは声なく頷く。とにかく話を促す。

「僕はまだあったことないけど、サパルさんって人から評議会に連絡が入ってね。君の兄弟子の剣が呼ばれて消えたとかで、応援を要請してきたんだ。それで二人が向かった」

「イソラとルピだけ? 相手はエァンダと怪物なのに?」

「探すってことに重点を置いたんだ、彼女の鋭い感覚で。なんでも、剣が呼ばれたってことはエァンダさんの方が怪物より優位になってるから、あとはソウ・モーグ・ウトラ(扉の森)の二人が彼を引き戻すだけらしいんだ。まあ、それが大変なことではありそうなんだけど、ルピさんの感じだと」

「そっか……だからかな、エァンダの声がしたの」

「どういうことだい?」

「フェリ・グラデムでエァンダと話したの。幻聴にしては本当に話してるみたいで、それが、エァンダが優位になってるからかなって。……続けて」

「続けて、といってもイソラに関してはこれで終わりかな。三人からはまだ連絡ないし。今は待つしかないね」

「そっか。じゃあ他のこと教えて」

「もちろん。さっきも言った通り、君が訊いた他のことは全部繋がってるんだ。今、評議会は大きな戦争に人員を割かれてるんだ」

「さっきも訊いたけど、わたしが出発する前の戦争?」

「ううん、違うよ。さすがにその戦いは終わってる。ズィプも参加してね、大活躍だって。……それで今、評議会が参戦してるのが『白輝の刃』と『夜霧』の戦争さ。白輝側についてる」

「それにズィーやケン・セイたちも行ってるってことね」

「そう」

「でも、賢者たちまで出向かないといけないなんて、よくない状況ってことよね」

「まあ、よくないというよりは、均衡してるってことかな、休戦を挟みながらずっと戦ってるんだ。『夜霧』の占領世界だったところに『白輝の刃』が攻め込んだことが始まりなんだけど、どっちもなかなか退かずにね。そこで『夜霧』が部隊長たちを投入して白輝が押され始めたんだけど、評議会が助太刀したんだ。うちとしては部隊長クラスの敵を捕まえて情報を得ようって魂胆だけどね」

「それと『白輝の刃』に恩を売ることも、たぶん、ゼィロス伯父さんは考えてるんだと思う」

「確かにあの世界の軍事力が味方になれば大きな戦力だ。考えてみればそうだ……真っ先に協力を頼みに行くよな」

「伯父さんは何度も輝ける者たちのところへ行ってるんだよ。でも、全然ダメ。あそこの上の人たちは、自分の世界のことしか考えてないから。だから今回はいいチャンスなのかもしれない」

「まあでも、そういう裏の事情はさて置いて、今は表面上の戦争を終わらせないとだ。あ、そうだ。この戦争、今ではビュソノータス(三つの蒼)の人たちも参戦してるんだ。あそこは白輝と同盟関係にあるからね。ま、筆頭のジュラン・コフェノーズは評議会が参加したから参戦を決めたみたいだけど」

「そっか、ジュランたちも……ねぇ、その戦争、わたしも行っていいのかな?」

 多くの仲間たちが戦っている状況で彼女がじっとしていられるわけもなく、当然にその考えに至る。

 わずかに疲労は残っているが傷はユフォンたちのおかげで治っている。数日休んだ後ならば、万全能状態で赴けるだろう。

「どうだろう? 僕としては君も来てくれることは嬉しいけど、ゼィロスさんが許すかなぁ?」

「今夜、伯父さんに訊いてみようっと……って、君も?」

 訝んだセラに、ユフォンは苦笑ぎみにははっと笑った。

「キノセの率いる中隊と一緒に僕も行くんだ。後方支援と記録をしにね」

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