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碧き舞い花  作者: ユフォン・ホイコントロ  訳者:御島いる
第二章 賢者評議会

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250/535

246:順調に調達

「あーでも」セラは葉っぱを薬カバンへしまいながら言う。「色々調べたりとかするとなると一枚じゃ足りないんだけど、もっと貰える?」

「えっ……!? いや、俺が使う分がなくなるわっ。まあ、デラバンに頼めば貰えるけど……」

 ズィーはわずかに苦い顔を見せる。

「ちょうど来るみたい」

 セラは言って扉の方へ目を向ける。彼女の超感覚と気読術が部屋へ向かってくる知り合いの竜人を捉えたのだ。そしてふと思ったことがあった。

 ジュサの時に感じた、どこか知っている気配を感じなかったのだ。あれは竜人特有のものではなかったのだろうか。それじゃあ、何なのか……。

 と彼女が考えていたところに、威厳ある竜人が部屋に入ってきた。

「待たせたな、ジュサから『夜霧』のことを聞けたか……ん? なんだ?」

 扉を開けたら、先に中の二人が視線を向けていたことに首を傾げるデラバン。

「セラは感覚が鋭いんだよ。ちょっと前からデラバンが来るのが分かってた」

「おお、そうか」

「ところで、デラバン?」

「なんだ、急に改まって」

 ズィーは言い辛そうにして、頬をかく。

「あー……葉っぱって採っていっても、いい?」

「なんだと? お前、そんなに竜化してるのか? ちゃんと決まりごとは守ってるんだろうな?」

「守ってる、守ってるよ! 確かに、俺も使った分補充したいけど、今回はセラが……」

「セラが? 馬鹿を言うな……」デラバンはセラに目をやる。もちろん、彼女は真剣な眼差しを返す。「本当、なのか」

「はい。わたしは使うと言っても毒の研究が主だと思うんですけど……やっぱり駄目ですよね。ごめんなさい、無理言って」

「いや、この際持っていくといい。と言いたいが、研究目的での採取となれば、庭園管理班の管轄だから、俺から掛け合っておこう」

「ちなみに、俺は?」

「戦闘目的のお前は俺の許可があれば問題ないだろ。ただし、わきまえろよ」

「うっす」

 ズィーはデラバンには見えないように小さくガッツポーズをした。

「それで、『竜宿し』の方だが」

 デラバンは本題を口にする。

「問題ないそうだ」

「……。やった」

 あまりにもさらりと言われたことで間ができたが、セラは胸の前で拳を握る。

「これで毒の確保は出来たわけだ」

「うん。薬の方も今作ってるし、これでホワッグマーラが救える」

「団長もホワッグマーラには縁があるらしくてな、若ければ自分も駆け付けて尽力したいと息巻いていたぞ」

「縁? 大会にでも出たことあんのかな?」

「『夜霧』のことがあるまで、あまり異世界に目を向けてなかった俺と違って、団長は異空旅行が好きだからな。旅で訪れたのかもしれない。あの人が武を競うことに参加するとは思えんしな」

「そっか、シァンが旅に出たいって言ってたのも、お義父さんの影響なのかも」

「ああ、そのシァンちゃんだが」デラバンは少々呆れ気味に言う。「竜毒の話をするときに席を外してもらったんだが、外で盗み聞いててな。セラが『碧き舞い花』のセラだと知って、興奮していたぞ」

「あれ、わたしシァンの前でナパード使たんだけどな……」

「ただの渡界人だと思ったんだろ、せっかちな子だからな。誰彼構わず声をかけて……」弾息交じりに、疲労を匂わせるデラバン。「最近は見る目が付いたのか無くなったが、小さい頃は裏社会の人間にまで声をかけてな、何度か誘拐されたことがある。まあ、誘拐した奴の組織は全部、団長命令で容赦なく壊滅させたけどな」

「あはは……大変だったんですね」

「まあ、誰とでも仲良くなれるような性格ではあるんだ。こんな顔の俺にだって恐れず声を掛けるんだからな……って、君たちにはどの竜人の顔も恐ろしく見えてるか、ははは」

「いや、デラバンは特別怖い顔だから。初めて会った時、裏の奴らの仲間だと思って攻撃したろ、俺」

「ああ、そんなこともあったな」小さく笑うデラバン。パンと手を叩く。「じゃあ、行くか。『竜宿し』取りに」

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