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碧き舞い花  作者: ユフォン・ホイコントロ  訳者:御島いる
第二章 賢者評議会

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筆師の中書き 割愛とその理由等

 やぁ、皆さん。突然だけどユフォン・ホイコントロだ。ははっ!

 これから彼女の新しい旅立ちがはじまる、といったところだけど申し訳ない。ここからおおよそ四年ほどの物語は本編では割愛させていただきたいと思う。

 というのも、その歳月は『夜霧』に関わる大きな進展がなかったからだ。セラが関わっているところでは、という但し書きは必要だけどね。


 彼女が関わらなかったところでは、まず『夜霧』の占領地を解放するために、評議会が戦力を送り込んだ。セラが関われなかったのはゼィロスがそれを認めなかったからだ、まだその時ではないとね。

 評議会の隊はいくつかの世界を文字通り解放することに成功する。新たな英雄の誕生、評議会の名の拡大といった成果を伴うものだ。しかし、反面、大敗してしまった戦いもあったことはしっかり書いておかなければいけないだろう。美談だけを知りたければ、『英雄の集い ー賢者評議会の栄光ー』なる書籍があるからそれを読めばいい。あんな駄作を読む人間が異空のどこにいるか知りたいものだけどね。

 勝利、敗北に関わらず、戦いに伴い多くの戦士の命が散った。スウィ・フォリクァには彼らの名が刻まれた墓標が立てられ、色とりどりの光に照らされている。いつまでも冥福を祈られていくことだろう。


 次に誰もが気になっているであろう、捕虜プルサージに関するその後だが……。

 これに関しては本当に進展がなかった。

 サパルとルピは『追憶の鍵』を持ち出すことを許されなかったのだ。それでも諦めず他の手を尽くす評議会は、催眠術を得意とする世界の者の協力を得たが芳しくなかった。

 プルサージが幻覚を掛けることのできる男だったことが、不幸だった。彼のそれは催眠術を上回ったのだ。術中にはまる前に、自身に幻覚を掛けて情報を偽りに染めてしまったのだ。

 気魂法が使えるのでは? と考える方もいることだろうが、気魂法は使用者に掛けられた幻覚しか吹き飛ばすことしかできないのだ。残念なことにね。

 結果、プルサージは物語の再開の時点でも口を割らず檻の中。評議会は幻覚を解けるものを探している。


 さて評議会についての大きな出来事はこのくらいにしておこうか。細かいところまで評議会に焦点を当ててしまうと書くことが増えてしまうからね。

 しかしまあ、取りあえず詳細は省いて概要だけ書くとするか。それも一部だけね、ははっ。

 ジュコ組による多人数同時異空転送機、開発(これはロープスとは別の物)。『白輝の刃』とゼィロスの会合。ビュソノータスより雲海織りの提供。『夜霧』によるヒィズルの再侵攻と評議会の防衛。評議会の議題に『異空の悪魔』が取り上げられる。コクスーリャ・ベンキャの治める拠点の発見。トゥウィントより薬品の提供。『鋼鉄の森』より武器の提供。ジュコ組、メィリア組他による異空意思疎通装置の試作機完成。旅商人組合より情報網とバッグの提供。

 といったところだろうか。なるべく今までの物語で出てきたことのある名詞が含まれる出来事を選んでみたつもりだ。もう一度書くけど、それでもほんの一部だけどね。


 はてさて評議会の中で大小さまざまなことが起きている中、セラが何もしていなかったはずがない。

 約束していたズィーとの修行も含め、彼女は修行と協力者を集うという評議会の仕事をこなした。

 単独ないし仲間と複数で多くの世界を巡り、様々な経験をする。もちろん『夜霧』の情報収集も出来得る限りしたし、なんならエァンダのことさえ探した。

 トゥウィント、メリィア・クースス・レガスといったすでに物語に名の記されたことのある世界をはじめとし、未だ見ぬ数々の世界に触れた。彼女に足りなかった異空に対する見聞が大きく満たされたのはこの数年の期間が大きいだろう。

 本編では割愛させていただくと先に書いたが、それはどこにも書かないと言うわけではないから安心してほしい。別の形で彼女の数々の心躍る冒険譚を記したいと思う。


 さて、僕が中書きを長々と書いても面白くないだろうからこの辺にしようか。

 物語を再開させよう。




 時は軸歴775年、セラフィ二十二歳の年。彼女がホワッグマーラを訪れるところから綴るとしよう。

 なんせ、これを機にホワッグマーラ組が評議会に参加することになるのだから、重大なことだ。そう、思わないかい? ははっ!


                          『舞い花に誘われし筆師 ユフォン・ホイコントロ』

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