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碧き舞い花  作者: ユフォン・ホイコントロ  訳者:御島いる
第二章 賢者評議会
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137:二人一組

「捜索グループは数人ずつに分かれて各地に跳ぶことになる。これから各賢者たちの呼びかけで戦士が集まるだろうが、それまではこの六人だ。といっても、俺とカッパは基本的にスウィ・フォリクァにいることが多くなるだろうから実質は四人だな」

 ゼィロスのもとに集ったのはセラとズィー、それからイソラとカッパといった見知った顔ばかり。唯一セラが知らなかったのは鍵束を首からぶら下げた女だった。ファスナーだらけの服を着ている。

「賢者はわたしとゼィロスさんだけ? 大丈夫なの? ほとんど子供じゃない」

「あんただってそんなに歳いってるようには見えないけど?」

「あら、嬉しいこといってくれるじゃない、紅髪くん」

「彼女はソウ・モーグ・ウトラの賢者。『鍵束の番人』ルピ・トエルだ」とゼィロスが割って入る。

「ソウ・モーグ・ウトラってポルトーの世界じゃん。『扉に覆われし園』」

「やっぱり! 鍵持ってるからそうじゃないかなって思った」

「へぇ、二人、あの自由人を知ってるの? どこ行くとか訊いてない? どうせならあいつにもこの仕事やらせたいんだけどね」

「さぁ、わたしは」言ってセラはズィーを見やる。

 どちらかというと、セラよりもズィーの方が彼と仲良くしていた。

「俺も知らねーよ。鍵が向く方へとは言ってたけど」

「……ッチ、自由なヤツめ」

「……ひとまず、このメンバーでの組み分けだが、俺とカッパ、セラフィとズィプガル、イソラとルピ。二人ずつでいいだろうと考えている」

「ちょっと待って! 一番の子どもじゃないかい」

 ルピが反発の声を上げる。それに対してイソラは声は上げずともムッとした表情を見せる。

「まあ選別の理由を聞いてくれ」ゼィロスが宥めるような声で言う。「慣れている者同士が組んだ方が調査がうまくいくと思ってな。俺とカッパは元より『夜霧』を探っていたし、セラとズィーは幼い時からの付き合いだ。言葉は悪いが、必然的に余った二人が組むことになる。だが、イソラはこの中で一番他者と合わせるのがうまいと俺は考えている。それに、一番若いのは確かだが、彼女は『闘技の師範』ケン・セイの一番弟子であり、『神降ろしの巫女』ヌォンテェに並ぶほどの超感覚を持っている。文句をつけるのは一緒に行動してからでも遅くはないと思うぞ」

「……ゼィロスさんが言うなら仕方ないね。ま、戦士が集まれば変わるかもしれないんだろ? それまで我慢してやるよ。わたしは大人だからね」

「よろしくっ、ルピさん!」

 ゼィロスにその実力を褒められたことが嬉しかったのか、いつの間にか表情を明るくしていたイソラ。

「足引っ張るんじゃないよ」

「えへへ。もちろんっ!」


 そのあと、ゼィロス・カッパ組以外の二組がそれぞれ向かうべき世界を決めた。

「やむを得ない場合を除いて、まだ戦闘は控えてくれ。こちらの戦力が揃うまで、極力調査のみだ。いいな」

 最後にゼィロスがそう言って。捜索グループは解散した。

 訓練グループもすでに話し合いは終わっているらしかったが、運営グループはどうにもそうではなかった。「よかぁ! よかぁ!」というテングの笑い声ばかりで話が進んでいないようだ。

 今はゼィロスが加わりようやく話が転がり始めた。そして、大した時間もかからずに終わった。

「では、これで今回の議会は解散だ。各々、役目を果たしてくれ!」

 運営組の話し合いを終えたゼィロスが声を張ると、部屋を出る者、談笑を始める者に分かれた。

「俺たちはすぐに出発かな?」

「どうだろう、ゼィロス伯父さんがすぐに出られるかどうか」

「じゃ、俺はンベリカと話してくっかな。ゼィロスさんが来たら呼んでくれ」

「分かった」

 捜索チームは二人一組なのだが、二人がゼィロスを待つのにはもちろん理由がある。

 そう、彼女たちが最初に向かう世界は『動く要塞』、ジュコだ。

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