歪んだ時間
ベンチに近づくにつれてその影の後ろ姿もはっきり見えてきた
ベンチの所で、話している二人組は真と痲璃亜だった
後ろから声を掛けると
二人はいきなりでびっくりしたのか肩をビクつかせると、すぐにベンチから立ち上がり何やら円陣を組んで何かをこそこそと話していた
しばらくすると、話し終わったのか円陣を組むのをやめ、少し顔をうつむかせて横に並ぶ
そして、真であろう人物が合図を鳴らすと、勢いよく二人は後ろを振り返る
真らしき人は、サングラスにちょび髭をつけていて、痲璃亜らしき人は、鼻眼鏡をつけていた
そして、映画のセリフのような言葉を言う
「いたずら好きの大スターっすよ!」
「みんなのヒーロー、悪いやつを許さない!一つ残らず滅ぼして見せるぜ!」
「「二人合わせてイケメンなおじさん!略しておじメン!」」
しばらくの沈黙の後、真と痲璃亜はほっとやり遂げたように安易の息を漏らしていた
「真、痲璃亜 もういいか?」
呆れながら二人に言うと
「「えぇ!」」
二人は驚き、鼻眼鏡やサングラスは目から傾いていた
二人に聞いてみると、勝手に遊園地に入った為 俺の事を管理者だと思ったらしい
「で?お前らは一日ここで何をやってたんだ?」
二人は、俺の質問が分かっていないようでお互いに顔を見合わせ首を傾げていた
「俺たち、一日もいないっすよ? ここに来たのお昼っすから」
真の一言から、今度は俺の方が疑問でいっぱいになった
意味がわからない、真達はここに来て一日はたっているはずだ
ここに来て何かが可笑しい
時間がわからないのが時間を狂わせているのか?
いや、真達だって長い間ここにいれば可笑しい事に気づくはずだ
「真達は、携帯持っているのか?」
「うーん、俺のは壊れちゃったみたいなんっすよね〜 真っ黒い画面のまんまっすしー」
「俺は、携帯持ってねぇしな」
「そうか」
俺は、二人にすぐ山を降りようと言った
真は、まだ遊びたりなそうだったが家族が心配していると言うと納得してくれた
この遊園地は、森の中にある
今、森を降りないといつ暗くなるか分からない
それに、自分の危険信号が早くこの遊園地をでないと危ないと発信している
俺は、早々とゲートに向かっていった
俺達が、ゲートに着いた時にはライトはまだ光っていたが辺りは暗くなり、少し寂れたゲートも冷たくなっていた
少し手が震えながらも、ゲートに手を伸ばすと後ろから声が聞こえた
「無駄だと思うよ、そのゲートは開かないから」
後ろから声が聞こえ、周りを見渡すが声の主は見つからない
「何処見てんの!下だよ下!」
声の通りにしたを少し向くと、うさみみパーカーを着て耳にヘッドホンを付けている
小学生くらいの男の子が俺らを少し睨みつけるように見上げていた
「お前は?」
名前を聞いてみるが答える気はないのか沈黙するばかりで何も言わない
じっと見つめられるだけだ
「着いて来なよ」
男の子はそう言って、スタスタと遊園地の中に進んでしまった
俺たちは、少し顔を見合わせ戸惑いながらも男の子の後について行くことにした