奇妙な噂
カチッカチッ
静かな部屋で白髪の少年が椅子に座って何かを打ち上げていた
彼の名前は本橋 真 歳は、16歳で光神高校1年生だ
今、彼がしていたのはホラーゲームの製作である
今日も、学校が早く終わり早速ゲーム作りをしていたのだ
幸い、今日は金曜日なのでゆっくりと進めていた
彼の作っているホラーゲームは、中高生の中でも人気絶頂なのだがネタがないのか作っては消しの繰り返しをしていた
「ふぅー、疲れたっす」
椅子にもたれかかり大きく背伸びをする
長時間座っていたせいか、肩や手から骨の鳴る音が聞こえた
多分、2時間くらいはここに座っていたと思う...
やっぱり、ネタがないと結構キツイっす
いいネタが無いかと思い製作をいったん止め
インターネットで検索をしていた
しかし、どれも有りがちなものでゲームで使ったものばかりだった
暫くすると、いつもゲームをしてくれる人からメールが届く
開いてみると、この近辺で可笑しな噂があるという
それは、森の中にある遊園地の一つのアトラクションが奇妙だと言う
そこにいった人は、行方不明になったり 帰って来ても怯えて何も話そうとしないらしい
しかし、森は濃い霧で覆われておりすぐに行けるわけではないらしい
すぐに、興味を惹かれた俺は前髪を上げてピンで止め、少しだけ癖っ毛の髪をといて、お気に入りの星のついたジャンパーを羽織り飛び出すように部屋を出た
外に出てみると、まだ冬に入る前だというのに口からは、白い息が出ていた
俺は、首を縮こめながら歩いて行った
暫く歩いていると、見覚えのある人物が目の前に立っていた
「あれ? 真?」
そう声をかけてきたのは、夜桜 清蘭 歳は、22歳で浜水大学の4年生
ふわふわの金髪の髪が肩まで伸びていて横をリボンで縛っていた
服などもレースなどがついていて、いかにも女子だったら可愛い感じだろうが、この人は残念ながら男だ
前に料理教室で一緒になった時に知り合い今でもそこそこ仲は良いと思う
けど、俺は清蘭が苦手だった
見た目も苦手なのだが、この人の中身はは変態なのだ
前にも、俺に変な雑誌を見せようとしたのだ
それからは、苦手になり、ちょっと距離をとっている
「ねぇ、真 コンビニに行かない?」
「えー、嫌っすよ 俺、用事あるっすから」
「まぁ、いいじゃない 何か奢ってあげるから」
清蘭は、口元に人差し指をあて、語尾に音符がつきそうな感じで言った
迷った俺は携帯をポケットから取り出し時間を見た
時間は2時を指していた
「まぁ、大丈夫っすよね そんなに遠くないっすし」
「真〜、行かないの〜?」
いつの間にか、清蘭は少し離れた所まで進んでいた
何か、行くこと決定してないっすか
少しため息をつき「行くっすよ!」と言い清蘭の元へと走っていった
コンビニまでは、そんなに遠く無かったのですぐに着いた
寒かった俺はすぐにコンビニの中に入っていた
清蘭も遅れてコンビニの中に入って来た
俺は、早速飲み物を買うため飲み物コナーに来ていた
暖かい飲み物にしょうとココアを取った
清蘭は、雑誌コナーで本を読んでいた
飲み物を持って行くと、それだけでいいの?
と言われてしまった
「俺もそこまで、図太くないっすよ」
「あはは、そう? 」
清蘭は、笑いながらも会計を済ませてくれた
外に出ると、はいっとさっき買ってくれたココアを渡してくれた
ありがとうっすと言いながら受け取ると
「ねぇ、真 学校は?」
「あぁ、今日は早く終わったんっす 清蘭は?」
「あぁ、私? 今日は大学休み」
そんな事を話していると、ココアもなくなりコンビニのゴミ箱に捨てた
「ねぇ? 真 何か用事があったんじゃない?」
暫く沈黙をして考えていると、あぁ!と思い出したように声を上げた
「そうっす!こんな事している場合じゃないっす」
時間は2時30分を指していた
まだ、間に合うっす
清蘭と別れ、先を急いで走りだした
先を急いでいると、曲がり角で誰かとぶつかった
「おぃ!何しやがんだ!」
上からは、相手の怒鳴り声が聞こえた
俺は、手で顔をさすりながらゆっくりと立ち上がった
「すいませんっす」
頭を下げ相手に謝る
「おい、真じゃねぇか?」
下げた頭を上げ前をみると知っている人物が
そこに立っていた
「痲璃亜!?」
「おぅ!」
そう、返事をしたのは真の同級生で同じクラスメイトの痲璃亜だった
痲璃亜は、銀髪の髪は少しぼさついており首にはチョーカーを付けていた チョーカーには鎖がついていた
身長は、真より高く180cmぐらい、すらっとしていてモデル体系並みだ
顔も整っており普通ならモテるだろが、
しかし、目は鋭く、その鋭い目には、誰も寄せ付けない雰囲気が漂っていた
一見、誰もが不良に見えるだろう俺も最初は痲璃亜の事を不良だと思っていた
しかし、根は凄く良い奴で仲良くたび最初にあった恐怖心は消えていった
今では、クラス中でも一番仲が良いと言うほどまでになった
「なぁ、何処に行くんだ?」
痲璃亜は、俺が走っていたので何処かに行く所なのだと思っているらしい
もしかしたら、痲璃亜と一緒に行ったら楽しいかもしれない
俺は、痲璃亜に事情を話した
痲璃亜は、目を輝かせ面白そうと言いながら
ついて行きたいと言った
俺は、痲璃亜と一緒に例の森へと急いだ
森へと着くと中へとさっそく足を進め奥へと進んでいく
大分、奥へと進んできた頃、情報通り濃い霧が森の中を覆った
痲璃亜は、不安そうに大丈夫か?と心配していた
「大丈夫っすよ!」
強気で言ってはみたがあまり自信はなかった
そんな、心配を胸に抱きながらも前に進んで行った
暫くすると、あんなに濃い霧は晴れいつの間にか遊園地のゲートの前に立っていた
後ろを振り向いてみると痲璃亜が少しだけ眉をひそめていた
「どうかしたんっすか?」
「いや、これ 入れんのか? いかにも壊れてそうだぞ?」
確かに、外から覗く限りではアトラクションには電気が通っている感じはなく、錆びていて今にも壊れそうな雰囲気だった
でも、ここまで来たんっす!
不安も少し抱きながら、ダメもとでゲートを数回ガシャガシャと揺らしてみるが扉はビクともしなかった
開かない事にショックを受け肩をガックリと落とし痲璃亜に帰ろうと言ったその時だった
〜♪
携帯の音楽のようなメロディーが遊園地の中から聞こえてくる
「誰かいるんっすか!」
俺は、声を張り上げ中にまで聞こえるように言った
遊園地は、それに反応したように中にあるアトラクションは動きだし、まるで、誕生日のサプライズのように中の明かりは綺麗にライトアップされ、ゲートは微かだががチャリと音をたて少しだけ開いた
まるで、そこに招き入れるように......
しかし、真は疑いもせず中に入っていった
痲璃亜も、それにつられるように中に入っていった
「次、あれ行こうっす!」
真達は、時間を忘れ次から次へとアトラクションに乗り楽しんでいた
最初は、痲璃亜も、不安そうにしていたが遊んでいくうちにその気持ちも無くなっていったようだ
しかし、流石に遊び疲れたのか二人とも近くにあったベンチに座り休んでいた
「はぁー、結構疲れたっすね〜」
「そういえば、今何時ぐらいだ?」
真は、んー と言いながらポケットから携帯を取り出して固まっていた
どうかしたのか?と言いながら痲璃亜が画面を覗く
そこには、真っ暗な画面が写っていた
「どうしたっていうんだよ」
「画面が、画面が、つかないんっすよー」
真は、半泣きになりながらも電源ボタンをカチカチと押していた
痲璃亜は、あははと笑う
「お前がどっかにぶつけて壊しただけじゃねぇの?」
「笑い事じゃないっすよ〜」
そんな会話をしていると、カサッと後ろから足音が聞こえ
「真......? 痲璃亜....?」
そう、名前を呼ぶ声が聞こえたんだ