余興
扉を開けてみると、随分使われていなかったのか足を踏み入れただけでも埃が宙を舞っていた
ギシギシと床がきしむ中ゆっくりとだが一歩一歩足を踏み進めて行く
階段を降りようとした時、いきなりライトがこの建物を照らしていく
そこまで、眩しい光ではなかったのだが、ずっと暗い中にいたせいかさらに眩しく感じられ目をとっさに閉じてしまう
しばらくして、目をそっと開けると目の前には舞台
椅子はまるで映画館のような椅子だった
初めはビックリして固まっていたが管内放送が始まると同時に止まっていた時間も動き出した
「席にお座りください」
管内放送がそう繰り返していた
誰が放送しているのかも気にはなったがそこにあえてツッコミを入れず一番真ん中の席に座った
座ってじっとしていると、ブーという音で舞台の幕が上がっていった
幕の中央には、人が立っておりタキシードを着て不思議な仮面をつけた青年が立っていた
「本日はお集まりいただき誠にありがとうございます、私は、ここの語り手をやらせていただいております 道化師という者です。
この映画館では青年達の物語について上映しております。
本日の話は青年達が自分の友達を疑いあい疑心暗鬼に陥る話でございます。」
「では、今回の話の登場人物は本橋 真、天野菊、滋野 無月、神野 俊、痲璃亜 この五人でございます。どうぞ、この五人の運命を見届けて下さいませ」
道化師はいい終わると、頭を下げ舞台の裏に行ってしまった
ブー
映画館の上映が始まる
私は、視線を舞台に向け映画の上映を待った